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ベリーイッチー(短編作品)


 地元のお祭りが終わり、ベンチに一人座っていると
衝撃的な光景を目にする。
 明日菜ちゃんと慶太が手を繋いでいた。
それも、二人とも日傘を刺して。その瞬間、あまりのショックで心臓が痛くなる。
どうしようもない虚無感に襲われた。人ごみになだれ込み、いつの間にか家にいた。
ベットに転がり、汗でベトベトなはずなのに、気にせず死ぬように寝た。
そのまま、死にたかった。
そして、夢を見た。
 僕は椅子に縛られたいた。真っ暗闇で。突然、光を翳される。酷く眩しい
「死にたいか?」
突然、声をかけられる。聞き覚えのある声。その声は、
幼馴染の高人の声。
「うん。高人殺してくれるか?」
と僕
「いいだろう!これを飲め。」

プラッチックのコップを差し出される。中身は水のようだ。
「水じゃん」
「いや、違うよ。毒をが入っている」
僕は、飲んだ。
高人は嬉しそうに笑う。
暫くしたら、足の小指が痒くなってきた。

「高人!痒いっ!めっちゃ足の小指が痒いよ!」 
「痒いだろ?めちゃくちゃ」

僕は椅子に縛られているため、足をかけない。
「おい!なんだよっこれ!薬間違てんじゃん!」

「カイカイして欲しい!?」
「うん!して欲しい!頼む!早く!」

「カイカイしたら、もうどうでもよくなるくらい気持ちいいぞ!」
「だろうね!頼む!本当に頼むよ」
「生きたい!?」
と高人。

「死にたい!」
「じゃぁ、掻きむしるのをやめよう」
「わぁかった!生きる!生きるよ」

「明日菜は好きか?」
「大っ嫌いだっ!」
「はぁー、だめだ掻かない」

「明日菜、好きだ!!」
「よし、それでいい。よしお待たせ。掻いてあげよう。」

 目が醒めた。そして一気に足の小指を掻きむしった。物凄く気持ちい。痒みがなくなると、汗でぐっしょり濡れているのがわかる。不思議な夢だった。
しかし、僕は不思議と生きようと思えた。ゆっくりと起き上がり、シャワーを浴びることにした。
きっとすごく気持ちいいだろう。

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