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嫌だけど、やりがいはある 2(短編作品)


私はカフェ店員だ。

 ここでバイトを始めて、早、2ヶ月経過したが、もうやめたい。
ホールを中心に働いている。ホール自体、本当はやりたくない。
けど、やる。

 キッチンでは、私と同い年くらいの女の子たちが、
女子会のごとくぶっちゃけトークを繰り広げている。
あの空間には入っていくのは億劫。

 だから、自ら進んでホールをやる。正直寂しいけど。
だから、今日も来店したお客さまの席へのご案内、オーダーの確認、
出来上がった料理や飲み物の配膳、テーブルの片付け、レジ業務などを行う。
閉店が近づくとトイレ掃除、店内清掃も進んで行う予定だ。
何故ここでバイトを始めたかというと家から近いこと。
制服がそれなりに可愛かったから。
そんな、浅い理由で始めた自分が悪いのだと、咎めながら今日も働く。
正直、孤独を感じることも・・・・・・

 だって、暇さえあればキッチンから笑い声がするから。
彼女らは、自身をアピールするのが得意だ。
あけっぴろげに出来事を話す。
そんな話題をこんな大きな声で、話していいの?と思うこともある。
彼女らは、誰が幸せかを競っているかのよう・・・・・・。
私があの輪の中に入って行っても、苦しくなるだけ。

居場所がないのを感じさせないため、ホールをやるのだ。

だけど、疲れてくると、対応が雑になる。
ちょっとしたことでも、イライラする。

疲れたときに限って、来客が多くなる。
心をすり減らす感覚が出てくる。

 だけど、時折お客さんが素敵な挨拶をしてくれることがある。
お礼を言ってくれることがある。
その度に、疲れが癒やされる
その度に、心が回復する。

これを「やりがい」と言うのなら、きっとそうなのだろう。
でも、「やりがい」って何?と聞かれたら自信をもって「やりがい」とは言えない。
だけど、嫌なことでも懸命にやっていれば、自然と幸せは見つかるんだなぁ
とは言える。

独り言のようにね。

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