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「ビジネス」の罠 ~後編~
つづきです。
あの日からしばらくたったある日、
藤川から電話がかかってきた。
「もしもし? 今日の夜時間ある?」
その日はアルバイトが休みであったのでフリーだった。
「大丈夫だけど。どうしたの?」
「今日の8時から○○ビルの屋上の喫茶店であるビジネスの話があるんだけど、山本とまこ様にも来てほしいんだ。」
「そんな固いものじゃないから普通にお茶すると思ってきてよ。山本が場所を知ってるから
「ビジネス」の罠 ~中編~
つづきです。
藤川と山本と一緒に車に乗り込んだ。
この車は藤川の所有物なのだろうか。
先程、長時間ファミレスで話し込んでいた私たちはこんなささやかな質問を気軽にできるほどにまで仲良くなっていた。
文からはビジネスの話しかしてないように思えるが、思いの外打ち解けていた。
「俺の車だよ。でもこれはビジネスだけじゃ買えないしアルバイトして貯めたお金も使ったかな。笑」
それでも当時で21歳の私
「ビジネス」の罠 ~前編~
私はとあるファミレスで男二人に囲まれている。
一人は中学の同級生でもう一人は初対面で、聞くところによると隣の中学の同い年らしい。
なぜこのような状況になっているのか。
それは昨日に遡る。
ふだん渡辺以外からあまり連絡のこない私の携帯が鳴った。
マナーモードにしているので鳴ったというよりは震えた。
しかも、長い振動である。
メールではなく着信だった。
ディスプレイに目をやると見知らぬ番
「ビジネス」の罠 ~はじめに~
「ビジネス」と聞くとどのようなイメージを持ちますか?
日本人というものは英字の言葉を聞くとより賢ぶった印象を持つと言われています。
この言葉も例にもれず、
本来「お仕事」と訳されるべき
「ビジネス」という言葉によいイメージを持つであろう。
分かりやすく例を挙げてみる。
「ビジネスマン」
背が高くて眼鏡をかけており
髪の毛はピチッと整っている。
オシャレにスーツを着こなし腕時計が手で光っ