みんな大好き(?)ブルックナー

先日、妻が出演する演奏会を聞いてきました。メインはブルックナーの交響曲。久しぶりに生でブルックナーを聞いて、やはり良いものだなあと思いました。その前に聞いたのは、もう何年も前になりますが、シュターツカペレ・ベルリンの来日公演の8番でした。

クラシック音楽の歴史の中で、ブルックナーという存在は本当に独特だと思います。ベートーヴェンが作品ごとにどんどん新しいことにチャレンジして最後にあの「第九」にたどり着いたのとはかなり対照的で、基本的には同じような書法を何度も何度も繰り返して最後に未完の「第九」にたどり着いています。そしてその未完に終わった9番目の交響曲で、この世のものとは思えない深すぎる世界に到達しているのです。彼自身「愛する神に捧げる」と言っていたようですね。

日本の小学校や中学校の音楽教科書には、バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスは出てくるのですが、ブルックナーという文字は見たことがありません。他の作曲家のようなキャッチーな作品がないからでしょうか。私も、ブルックナーという作曲家を知ったのは大学オケに入ってからでした。入ってすぐに定期演奏会の選曲があり、ブルックナーの4番と6番が候補に挙がっていたので先輩から聞いておくようにと言われて聞きました。しかし、第一印象は「とにかく長い」「途中で眠くなる」「重厚すぎる」といったものでした。しかし同級生にブルックナー好きがいておすすめをさんざん聞かされた結果、だんだん好きになってきました。そしてこの定期演奏会ではブルックナーの6番を取り上げることになったため、毎週先輩の練習を聞いて楽譜を覚えるまでになりました(管楽器の1年生は選曲には参加するのですが、演奏会自体にはまだ出られなかったのです)。また、ブルックナーは宗教曲のジャンルにおいてトロンボーン3本を合唱の伴奏に用いた作品(モテット)が多く、トロンボーンプレイヤーとしては重要な作曲家です。

金管楽器にとってブルックナーの交響曲は難曲ばかりではありますが、6番や7番や9番はまだ演奏したことがないので、ぜひいつかやってみたいものです。今まで経験した作品も指揮者が素晴らしく、それぞれに思い出深いです。

と、こういうことをいろいろ書き連ねていると「ブルヲタ」とか揶揄されることがあるのですが、私はあまりヲタクと言われるほどの知識(版問題とか)もない、ただのライトなファンです。自分としてはもっとブルックナーの一般的知名度が上がってほしいと思いますが(いやクラシックファンにはすでによく知られているんですが)、理屈っぽく、作品によっては旋律が断片的、繰り返しが多く冗長に感じる、ゲネラルパウゼで唐突に場面が変わりすぎる、といった独特の語法のせいでとっつきにくいと思われているのかもしれませんね。

ところで、コンサートの時にできる「トイレのブルックナー行列」(男子トイレだけが異様に混雑する)、あれは何なんでしょうね。ブラームス大好きな私の妻は、ブルックナーについては「旋律がダサすぎる」と冷ややかです…



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?