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夏に飲みたい日本茶 その2

HII-DEMONO SENCHA【ひいでもの煎茶】  (木花茶寮 渡邉拓哉)


選ばれなかったお茶



「夏向けのお茶を販売してみたいな」

お茶を作るときは必ず選抜ということが行われる。

例えばお茶を摘んできたとき、混入してしまった雑草や虫などをはずし、茶だけを選抜する。

一芯二葉の芽、柳、頭などと呼ばれる4~5葉目の大きな葉部分
茎、粉、ケバなどに分けられた中の、芽や葉を選抜して煎茶を作るなど。

今回のメインテーマが「夏に飲みたい日本茶」だとすれば隠れたテーマは
「選ばれなかったお茶」

工場で紅茶の乾燥を行う渡邉さん


日本で発酵茶を作る


2021年7月頃から度々訪れている静岡県富士宮市にある渡邉さんの茶畑

台湾で製茶から茶畑の管理、焙煎を学ばれ
日本に帰ってきてからは放置茶園になってしまった茶畑を整備し
日本茶の品種を使って発酵茶(烏龍茶や紅茶)を作っています。

山の息吹と呼ばれる日本茶の品種がありますが、この品種の特徴と言えば うま味が強く、キリッとした緑茶らしい味わい。
その品種で作られた東方美人(台湾烏龍茶の一種)を飲んで衝撃を受けました。

実は私、中国茶、台湾茶も其れなりに嗜んでおりますが
本場、台湾のクオリティと全く遜色なく、いえトップグレード級の茶だったのです。
というと失礼かもしれませんね。
製茶に関することだけにとどまらず、ご見識が広く、質を見極める目はたしかで、いつも学ばせて頂くことばかりです。


茶の苗を植える前に生えていた木を抜いて片付ける作業から関わりました。


茶畑での農作業


2022年7月上旬

服装や水分補給など十分に気を付けたうえで真夏の炎天下、茶畑に行って雑草取りの農作業をしてきました。

25mプール2枚分くらいの広さがあり、3月に茶の苗を植えに来たばかりの茶畑。

桜の花が咲くころ、茶の苗を植えました


雑草の根が深く、手では簡単に抜くことが出来ません。
鍬のようなもので掘り返すのですが、腰に負担がかかり長時間使用することが出来ず、額からは汗が滝のように流れます。
本当に目いっぱい頑張りましたが、予定の半分も終わらすことが出来ませんでした。

「茶農家なんて絶対なりたくない」

茶が好きで日本各地の様々な場所へ行って作業する私ですが
この時ばかりは本気でそう思っていました
自身の無力さと苛立ち。


茶農家の方は、どうしてこんなことが出来るのだろう。
心が折れそうになる時、どう自分を立て直し、また進んでいくのだろう。


苗を植えたのと同じ茶畑とは思えないほど雑草が生い茂っています。


珍しい緑茶


この日の夜、発酵茶を主に作る渡邉さんが珍しく緑茶を持ってきて淹れてくださいました。

心地良いうま味と、口の中に残り続ける余韻
このようなお茶には、ほとんど出会うことがありません。

土が良い、茶の根の状態がとても良いお茶だと確信した私は
これは何のお茶ですが?と尋ねると「出物(でもの)」

茶を摘んで、蒸して乾燥した後に ふるい分けされた
茎、粉、4~5葉目などの大きな茶葉が中心のお茶です。
このお茶の行方は一般的にTバッグ用の茶として加工されるお茶。


この緑茶の茶畑について聞いてみると、撒いている肥料の量は、
一般緑茶の茶畑の数十分の1

無農薬で育てているため雑草はたくさん生えるし、管理が大変ですが
与えた分の肥料が茶の木に十分に吸収されているため土壌が汚染されることなく、健全に茶の木が育っていると感じます。

長く飲み続けていても疲れることがなく、心地よい味わい、飽きない味。
そしてここまで口の中に長く続く余韻のあるお茶は大変珍しい。

心が折れそうになる時も、これが分かっているから続けていらっしゃるのかもしれません。

朝露がついた、つゆひかり という品種の茶畑

出物(でもの)ではなく、ひいでもの


この出物(でもの)と呼ばれるお茶は、高値で取引をされることがなく
いわゆる選ばれなかったお茶の部類。

ですが本当にそうでしょうか?

現在の日本茶市場の評価にこだわることなく
自身の目や経験でもってとらえた上質な茶がここにあります。

出物(でもの)ではなく、「ひいでもの」という名前で。
そのほうが相応しいですよね。


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