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『架空OL日記』 さえちゃんの本棚

テレビドラマや映画の背景に映り込んだ“本”から、登場人物が持っている本を推測し、登場人物の自宅にある本棚を再現し、勝手にバックグラウンドを妄想していく企画です。

第一回は、2017年春に日本テレビ系列で放送されたテレビドラマ『架空OL日記』に登場するマイペースな天然キャラ、主人公の後輩であるさえちゃんの本棚を再現し、妄想します。

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「架空OL日記」公式サイト http://www.kaku-ol.jp/

銀行で働くOLである主人公・升野英知(演:バカリズム)の後輩である五十嵐紗英(演:佐藤玲)は、22歳。天然でマイペース、おっとりした性格で、グループ内の妹キャラ。作中では、思いがけないさえちゃんの行動に対して、主人公が頻繁に心の中でツッコんでおり、グループ内でもさえちゃんは、いじられキャラとしてポジションを確立しているようです。
しかし、主人公は心の中でさやちゃんをいじりつつも、仕事帰りに二人でジムへ行ってダイエットに励んだりしているので、なんだかんだで可愛い後輩のようです。

作中に登場した漫画たち

ドラマ内では、たびたびさえちゃんが主人公に漫画を貸しているシーンが登場します。
今回はさえちゃんがドラマ内で人に貸した・貸そうとした本をもとに、本棚をつくってみようと思います。

【 主人公・升野に貸した・貸そうとした漫画】

『天使な小生意気』全20巻(西森博之 著/小学館 刊)

『恋降るカラフル~ぜんぶキミとはじめて~』(水瀬 藍 著/小学館 刊)
※作中では6、7巻が登場

『名探偵コナン』全92巻(青山剛昌 著/小学館 刊)
※作中での発売巻数

『MIX』(あだち充 著/小学館 刊)

『4月の君、スピカ。』(杉山 美和子 著/小学館 刊)


【その他登場人物に貸そうとした漫画】

『アイアムアヒーロー』全22巻(花沢 健吾 著/小学館 刊)

『あずみ』全48巻(小山ゆう 著/小学館 刊)

《妄想1》さえちゃん家は一軒家?

ドラマでは、ロッカールームでさえちゃんが主人公に何か漫画を貸したり、おすすめするシーンが毎回登場します。

さえちゃんから借りた『天使な小生意気』全巻を持ち運ぶのに、主人公が肩を痛がるシーンがありますが、この他にも『名探偵コナン』全92巻をはじめ、『アイアムアヒーロー』全22巻、『あずみ』全48巻…と、かなり大作も所蔵しています。なかなかこれだけの冊数を一人暮らしで保管するのは難しい。

そこを考えると、さえちゃんは実家暮らしなのでしょうね。
それもあって同じく実家暮らしの主人公とは話が合うのかもしれません。さえちゃんの天真爛漫でかわいい性格を考えると、一人暮らしはしたことないのかなあとも想像します。

《妄想2》さえちゃんは仲良し兄妹?

ドラマを見ていて気になったのは、少年・青年漫画と少女漫画では勧める時のテンションが違うことです。

もちろん、どちらもさえちゃんにとっては大好きな漫画だと思うのですが、『恋降るカラフル』『4月の君、スピカ。』について話す時のさえちゃんの熱量は段違いです。そのことから、この2つはさえちゃん自身が好んで買っているのかなと思いました。

確かに、22歳のさえちゃんが『MIX』『あずみ』を読んでいるのは、内容的にも年代的にも違和感があります。ここに誰かの影響があったからと考えるとしっくりくるのです。
そうなると、さえちゃんには仲の良い男兄弟のいるのでは…?と考えるのです。

『天使な小生意気』は1999年に連載開始されていて、あきらかにさえちゃん世代より年上が読んでいる漫画のイメージです。
さえちゃんには、お兄さんがいるのではないかと思うのです。
そう考えると、2009年に連載開始の『アイアムアヒーロー』が自宅にあるのもしっくりきます。

でも、『MIX』の連載開始は2012年。
これだけ比較的新しい少年漫画なので、もしかしたらさえちゃんには弟もいるのかもしれません。いや、『あずみ』なんて1994年連載開始…となると、お父さんが無類の漫画好きという可能性も…!?

混乱してきましたが、とにかくさえちゃんの性格も踏まえて家族構成を妄想すると、おそらく兄がいる。もしかしたら弟もいるかもしれません。
家族全員が漫画好きの可能性もありますね。

はっきりとは断定できませんが、ひとつだけ確信を持っているのが「漫画好きの仲良し家族」ということ。
毎回、さえちゃんが主人公たちに気前よく漫画を貸しています。
おそらく自宅に家族みんなで使う大きな本棚があって、自由に貸し借りができる状況なのではないでしょうか。
家族に断りもなく友達に漫画を貸せる、それはお互いを信頼している仲良し家族にしかできません。

そう考えると、さえちゃんの家にある『名探偵コナン』全92巻(ドラマ内の巻数)は、幼少期のさえちゃんが兄弟と協力して、みんなでお金を出し合って集めた漫画なのかも!…そんな風に想像して、勝手に微笑ましく思ったりしています。

《妄想3》さえちゃんの彼氏になる男性は大変かも?

先ほど、少年漫画はおそらく家族が買ったもので、少女漫画では完全にさえちゃんの趣味だと書きました。
『恋降るカラフル』『4月の君、スピカ。』ともに、掲載誌は「Sho-comi」です。個人的な感覚ではありますが「Sho-comi(少女コミック)」の中心読者層は中高生ではないでしょうか。

そして、あらすじをみてもらえば一目瞭然、2作品とも中高生が夢中になるのは納得!の、超王道のラブストーリー! 

小学生のころ出会った男の子・青人(はると)に恋をした麻白。
転校した東京で、彼と全く同じ名前の結城青人と出会うけど、
彼は「人違いだ」となぜか麻白に冷たくて・・・。
けれど、クールに見えて本当は優しい青人に
麻白はどんどん惹かれていって・・・!?
迷子になった初恋の行方はどうなるの!?
『恋降るカラフル〜ぜんぶキミとはじめて〜 1巻』あらすじ
高校受験に失敗し、うっかり超進学校へ入ってしまった早乙女星(さおとめ・せい)。勉強にはついていけず、友だちともうまく会話できず、入学早々にも関わらず高校生活終了。そう、思ってた。ある2人組に出会うまでは・・・。
崖っぷちの星が出会ったのは、天文好きの無口な美少年・深月(みづき)と、口の悪い学年トップの秀才・泰陽(たいよう)の2人組。彼らは天文部に入る予定だという。
2人に誘われ、一緒に天文部に入ることにした星。居づらかった学校に、とっておきの居場所を見つけた星の毎日は、一気に輝きだす。・・・が!男子2人に女子1人、何かが起こらない訳ない!?
『4月の君、スピカ。1巻』あらすじ


しかし、22歳のさえちゃんが夢中になっている…。熱く語って、仕事仲間への布教に勤しんでいる…。

ドラマ内でさえちゃんのことを、主人公は「思ったことをすぐ言ってしまうタイプ」や、「彼氏と別れるときは”重い”と言われる」と話していました。
そんな彼女の性格から考えると、さえちゃんはドラマチックな恋を求める少女漫画の主人公になりたいタイプなのではないでしょうか。

私の妄想ですが…
さえちゃんはきっと彼氏にはサプライズを望むし、記念日はしっかり覚えておいてほしいはず。
生活の中でも恋愛の占めるボリュームは大きいのではないでしょうか。
なので、さえちゃんの彼氏にはマメさが必須です。あと、理想を叶えてあげられる包容力も。

《妄想4》さえちゃんファミリーはサンデー信者

さて、ドラマ内に登場した漫画一覧を見て確実に言えることがひとつ。それは、さえちゃんファミリーは熱狂的な小学館信者ということ。

ぶっちゃけ、原作の『架空OL 日記』が小学館から出版されたことが理由なのでしょうが、ドラマ内に登場する漫画もすべて小学館の作品です。

ということから考えると、たぶん漫画好きのさえちゃん一家の本棚には『MAJOR』もあるだろうし、『からくりサーカス』もきっとある。
もしかしたら『BLUE GIANT』『味いちもんめ』なんかもあるかもしれません。

現在公開中の劇場版で小学館以外の漫画が登場するのか。個人的に大変興味深いところです。

《妄想5》ドラマの時間軸は2017年冬〜春

さて、ドラマではさえちゃんが主人公に最新巻を貸すシーンがたびたび登場します。

『MIX 10巻』(2016/12/12)、『4月の君、スピカ。 7巻』(2017/1/26)、『恋降るカラフル 6巻』(2017/1/26)『名探偵コナン 92巻』(2017/ 4/12)、『恋降るカラフル 7巻』 (2017/5/26など。

ドラマの放送開始が「2017年4月13日」と考えると、視聴者よりも3カ月ほど前のお話だったと言えますね。

しかし、コミックの発売日も時間軸に合わせて、きちんと設定されていることに驚き…。

《おまけ》 なんだか心配な新人OLかおりんの本棚

『闇金ウシジマくん』(真鍋昌平 著/小学館 刊)

さえちゃんの後輩で、作中唯一(多分)の彼氏持ちであるかおりんが「彼氏の家で読んで面白かった」と言った漫画。

真壁香里 おとなしめだが、独特のセンスを持つ後輩
劇場版『架空OL日記』CAST情報より

そこまで親しくない会社の先輩に「おもしろい漫画」としてウシジマくんを薦めています。
そして、ウシジマくん全巻が家にある(多分)けれど、なかなか会えない彼氏の存在。
ゆるーい日常を描く「架空OL日記」の世界の中で、なぜだかかおりんについては危うさを感じてしまうのです。

映画公開までに間に合わなかった反省

ほんとは、2018年に書き出したこの記事。出産、育児…と、書きかけのまま放置したままでした。映画化の話を聞き、なんとか劇場公開日までには!と思ったけれど、間に合わず…。

作業量が多いのでそんなに頻繁に更新はできないけれど、
また、そのうち大根仁作品、細田守作品なんかでも、書いていきたいと思います。



静岡県東部で執筆・編集業をしています。みなさんからのスキが励みになります!