大人になろう

「大人になろう」これが私の今日までの人生におけるメインテーマだった。そしてこれからもこのテーマと付き合っていくことが予想される。

私は大人になりたかった。ずっと幼少期のころからそう思っていた。でもなれなかった。周りの大人っぽい同級生を見ては、なぜ自分はこんなにも子供っぽいのかと悩んだことが多々あった。

もう私は25歳。Facebookを見ると昔の級友たちはどんどん結婚していく。みんな大人の階段を登っている。対して私はどうだろう。大学院時代に統合失調症を患い、現在は就労移行支援事業所に通っている。社会人経験は0。そんな人間が大人であるわけない。

私には理想の大人がたくさんいる。アニメでいったら、エヴァンゲリオンの加持さんが理想だ。闇を抱えながらも飄々と生きている。そんな人間になりたかった。「人は悲しい経験をするほど、人に優しくなれる」そんなセリフをどこかで聞いた時から、この言葉は私にとって大切になった。今がどんなに苦しくても、きっとこの苦しさに耐えれば優しくなれると思っていた。

でもこれまでの人生において、私の優しさを必要とする人は現れなかった。私は浅く狭い人間関係でしか生きてこなかった。恋人はもちろん親友と呼べる人間に出会ったことがない。だから私は今まで自分の優しさを充分に発揮した機会がほとんどない。

話がそれてしまった。とりあえず私は大人になりたいので、大人になろうと思った。では大人になるためにはどうすればいいのか。私なりに考えていきたいと思う。

結論から言うと、大人になるには「わがまま」を捨てる必要があるのではないかと思った。逆に子供になりたければ「わがまま」に振舞えればいいのではないかと思った。

これはどういうことかというと、私が大人だなと思う人間の中で「わがまま」な人を見たことないことからそう思った。たとえばマイマザー、親愛なるお母さん。私がグーたら昼寝している間も彼女はせっせと家事をしている。家事なんて大変で面倒な作業にも関わらず、世のお母様方は何食わぬ顔で家事をしてらっしゃる。本当にすごいことだ。

お母さんは子供ができると大人っぽくなると言われている。守るべき対象が生まれると人は大人になるのだ。今まで自分中心で生きてきた人が、子供中心に考えるようになるからだと思う。その過程の中で、自分の「わがまま」な部分が削れていくのだ。

仕事をしている人の中にも大人っぽい人もいれば子供っぽい人もいる。自分の理想を人に押し付けている人はどう見ても子供っぽい。その反面、悔しい気持ちをぐっと抑えて、しっかり謝罪できる人は大人っぽいと私は思う。

ちなみに私は「わがまま」な人間だから、子供っぽい。経済的にも精神的にも自立できていない。すぐに自分のことばかり考えてしまう。昔サークルの先輩にも「君って自分のことしか考えてないよね」って言われたことがあった。

そんな自分が大人になるには「わがまま」な自分を無くしていけばいいのだ。だが、自分の性格を変えるのは難しい。人には変化を嫌う性質がある。わがままを無くそうと意識しても上手くいかないかもしれない。

ではどうすればわがままな自分から卒業できるのだろう。その方法の一つは、守るべき大切な存在を見つけることだ。恋人とか子供とか部下とかチームメイトとかである。しかし、これができるのは大多数ではない。私を含め、そうではない人はどうすればいいのか。

私が提案するのは、親や社長になったつもりで生きることだ。結局意識するしか方法がないのかと思われるかもしれない。確実性のあるアイデアではなくて申し訳ない。

ただ、社長になったつもりで行動しろというのはビジネス界でもよく言われているような気がする。それと同じで自分が社長や親になったつもりで、子供や部下といった大切な存在を想像上作ってしまうのが得策だと思う。

そうすれば、自分が行動で迷ったときには「自分が親だとしたら・・・」「自分が社長だとしたら・・・」と考えて行動することができる。常に意識することで思考が習慣になり、人格を変えることができるかもしれない。

私は今この文章を書きながら、自分が社長だったらどうするか考えている。そうすると、背筋がスッと伸び、何事にも真剣に向き合えるような気がしている。社長がすることをする。社長がしないことはしない。それが私の行動指針だ。これで少しは大人になれると考えている。

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