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拙い読書感想文「聖なる怠け者の冒険」森見登美彦

僕が大好きな森見登美彦さんの著書のひとつです。

森見さんの小説をはじめて読んだのは大学の1回か2回生の時でした。
当時は読書の習慣が全くと言っていいほど無かったのですが、友達から「この主人公お前に似てるで」と言われ「四畳半神話体系」を知りました。

そこから「夜は短し歩けよ乙女」「ペンギン・ハイウェイ」「有頂天家族」など、どんどん読んでいくようになりました。

四畳半神話大系と京都


「四畳半神話体系」はアニメから見始めたのですが、独特の言葉使いやテンポの良さ、時折クスっと笑ってしまえるような間合い、当時久しぶりの読書だったのですがあっという間に読んでしまいました。

森見さんの本は京都を題材にしたものが多く京都府庁を目指していた時にモチベーションアップのために読み直したりしていました。

京都はいいですよね。
「けいおん!」「涼宮ハルヒの憂鬱」を生み出した京都アニメーションもありますし。
大学生の時に空きコマを利用して河原町に行き、鴨川沿いを散歩しつつ等間隔に座っているカップルを背中に穴があくんじゃないかというくらいの勢いで恨めしそうに眺めていたこともありました。

大学生の時に下鴨納涼古本市に出かけたのも森見さんの著書の影響です。

本の内容と思ったこと

余談はさておきまして。
ここからは「聖なる怠け者の冒険」の内容を含みます。
ネタバレ注意です。

今回のお話はこれまた京都を舞台に怠け者を哲学的に貫き通している「小和田君」を主人公として話が進んでいきます。

紙でできたペラペラのお面をつけて京都中をかけまわる正義を名乗る謎のヒーロー「ぽんぽこ仮面」、週末をいかに有意義に過ごすのかについて人生をかけていると言っても過言ではない小和田君の先輩にあたる「恩田先輩」とその彼女である「桃木さん」のカップル、小和田君の勤め先である研究所のこわもてな所長(「後藤所長」)、さぼり癖のある探偵「浦川さん」と打って変わってやる気満々な学生アルバイトの「玉川さん」など愉快で濃ゆ~いキャラクターたちが今回もたくさん登場しました。

僕は恩田先輩カップルよりもどちらかというと小和田君のように休日は休日という名に恥じないようにしっかりとおうちで休むようなひきこもりタイプですので、小和田君の主張が自分考えと被るところもあり読んでいて楽しかったです。

なんでわざわざ休みの日に祇園祭のような人がたくさんいる所に行かないといけないのかとか休日は家で将来のお嫁さんとやりたいこと(お嫁さん候補もいないのに)を考えていて忙しいとか。

騒動に巻き込まれている最中にも関わらず物置の座布団にうずくまって居眠りをして南の国で満喫しているという妄想をしていたり。

眠っているうえに休んでいるなんてどんだけ休み好きやねんと突っ込みたくなります。

一方で恩田先輩、桃木さんカップルは週末に命を懸けているようにスケジュール帳にみっちりと週末の予定を書き込んでいます。
せっかくの週末を無駄にしないようにびっしりと詰める派のようです。
先輩たちはひきこもりがちな小和田君を外に引っ張り出そうとします。

ひきこもってばっかりの後輩を心配して外に連れ出そうとする良い先輩ですね。
状況によってはうっとうしい先輩に思えますが(笑)

そんな小和田君と恩田さんの上司に当たる後藤所長はこわもて。
ですが、丁寧な口調で若手である小和田君に冒険することの大切さを度々説きます。

年長の人生の先輩でもある上司からこういった助言をもらえる小和田君を少しうらやましく思いました。

無限蕎麦なるものを打ち続ける津田氏の愛くるしさやアルパカの顔をしているけれど真顔でやくざチックなことをしている五代目と呼ばれる人物?など他にも個性豊かなキャラクターが出てきます。

山の中を黒塗りの車からこちらを覗いてくる五代目にはぞっとしました。

読んでみての感想


難しいことを考えずに読める本でした。
かといって何も事件が起きないということはなくてんやわんやな事件も起きます。
ぽんぽこ仮面の正体は誰なのかぽんぽこ仮面を追いかけている者の正体は何なのか、などミステリー要素もあるので最後まで楽しく読むことができました。

テングブランやビールを飲みたくなったり、河原町をふらっとまた歩いてみたくなったり、祇園祭りの夜店に行ってみたくなりました。

あと森見さんの作品を読んでいると「海底2万海里」も読みたくなります。
未だに読んだことはないですので。

僕にとっても縁のある京都を題材にしている楽しい話でした。


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