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ゲーム中毒になった話

スマホ中毒に陥る子供たちへの悪影響は深刻な問題だ。

塾という、小、中学生と接する職場で働いている身としては、この問題を常に目の当たりにするわけで・・・。

ただ、彼らの中にはスマホ依存を自覚し、それなりに苦しんでいる子たちもいる。
話を聞くと、試験前などは、スマホを別の部屋に置いたり、布団の中に隠す、などと彼らなりに努力はしているらしいが、そんな生ぬるい方法はすぐに失敗に終わるようだ。

そりゃそうだな、と思う。大人でもそれは容易ではないのだから。

ふと思い出したのが、数年前、同年代のある女性がスマホ依存対策として、スマホを閉じ込める箱?を買って使っていると聞いた。

タイムロッキングコンテナとかいうらしい

これに一度スマホを入れてタイマーをセットすると、その間はぜ~~ったい開けられないとか・・・。

当時は「そこまでしないとダメなの・・・?」と、他人事のように半ば呆れて聞いていたが、自分がそれを切望する日が数年後にやって来るとは思ってもみなかった。

自分の場合はスマホではなく、TVゲームだったが。

しかもハマったのが40代。娘と共有のプレステだ。
当時も夜に働いていたので、昼間はどっぷりゲーム浸けだった。

自分史上一番「ヤバい」と感じた時のことは、今でも強く記憶に残っている。

朝、娘を学校に送り出してから、何時間も熱中していた。
家事もそっちのけで、お昼ご飯もパンをかじりながら・・・。

いい加減やめなければ。
日が傾き始めている。
洗濯物を取り入れて、夕食を作って食べ、仕事に行く準備をしなければ…。
気持ちばかりが焦り、「勝っても負けても次で終わり!」と決めても、いざゲームオーバーになるとその指はすばやく〈リトライ〉を押している。
〈ゲームを終了する〉ボタンをどうしても押せないのだ。

気づくと体が震え始め、

「誰か、止めて…」

と、口から洩れ出た時は、自分自身に恐怖すら感じた。

汗ばんだ手でコントローラーを握りしめ制御不能になった自分を、もう一人の自分が天井から見ている。そんな感覚。

(これが中毒ってやつ?)

この時、ふと昔見た、あるアニメを思い出した。

『×××HOLiC』の〈第6話タンデキ〉の1シーン。

インターネット中毒になり、子育てや家事に支障が出始めた若い主婦が、侑子さんに救いを求めるという話で、その解決策が衝撃だった。

スポーツ用品店で赤いバッドを購入してから彼女の自宅に訪れた侑子さん。

「本当にやめたいのね?」

と当人に最終確認をすると、何の躊躇いもなく〈斬鉄剣〉と名付けたそのバッドで彼女のPCを真っ二つに”切断”した。

イラストはイメージです

このシーンを思い出して、うちのプレステもぶち壊してほしい!と真剣に思った。
もしくは、自分でやってしまおうか、とも考えたが、プレステは娘も使うし、そもそもやっぱり自分ではできないのだ。
それが出来れば中毒になんかならない。

最後は、わずかに残っていた理性を絞り出し、体を震わせながら、電源を叩くように押して地獄のループから何とか這い出した。

幸い、50代になってからは、すぐに目や体が疲れるようになり、長時間できなくなったが、あの時の悍ましい体験は二度としたくないので、中毒性の強いゲームは買わないようにしている。

だけど、もしまたこのようなことが自分の身に起こったら、と考えると、子供たちのスマホ依存も他人事ではない。

ゲームなら、コントローラーを前出の箱に閉じ込めるか、家族以外の誰かに預けるか。

叩き壊すのはやはり人には勧められないけれど、気軽に預かるサービスがあったらいいのに。
そういうコミュニティがあってもいいな、とふと思った。
需要はないかな?




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