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一人娘の巣立ちで、本当の新生活が始まる

一人娘がこの春大学を卒業し、いよいよ就職のため、大阪の家を巣立っていった。
彼女が成人した時、すでに「子育て終了宣言」をしていたが、その後も一緒に暮らしているわけで、生活は何一つ変わらなかったので、正直、実感はなかった。

娘と自分は親子でありながら、性格が正反対であった。
娘は極度の内向型で、友人も少なく学生時代からほとんど学校以外家に籠っていた。自分から積極的に働きかけるということができず、そんな彼女を見て、イライラしていたものだ。

「もし同じクラスにいたら、絶対友達になっていない」と思う。
決して仲が悪かったわけではない。むしろ、会話は多い方だった。

それでも、就職したらさっさと家を出ていくだろうし、きっと寂しいとも思わないだろうと思っていた。

そして、その日はようやくやってきた。

今日からもう食事を食べさせなくてよい。
学費も払わなくてよい。
昼まで寝て、だらだらする姿を見なくてよい。

親としての役割を果たしたという、清々した気持ち。

だけど、ふと思う。

子供がいない生活は22年ぶり。
子供がいなかった時はどう生きていたんだろう。
32才だった。夫と二人暮らし。
二人での生活は楽しかった。
子作りに励んでいた?

今、54才。夫はいない。
85才の母と二人暮らし。

9年遠距離恋愛した彼とも別れ、1人ぼっちだ。

22年も経てば、自分だけの生き方なんて忘れてしまった。

娘は手紙を置いていった。
「今まで育ててくれてありがとう…」と。

まあ、義務ですから。
それに、嫁に行ったわけじゃないし。

いつでも帰ってきていいよ、とは言わなかった。

さて、結婚して作り上げた自分の家族は、夫の死と娘の巣立ちで、完全に消滅した。

そして、これから新しい生活のスタートだ。
54年生きてきても、また初めての経験なんだな~



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