仮面ライダーの話①

私は仮面ライダーに会ったことがある。しかも2人。


1人目は高校の時の数学の先生だ。
彼には愛してやまないものが2つあった。その一つは数学、もう一つは仮面ライダーだ。

どうも彼は愛するものを常に我が身につけておきたい人らしく、彼が着ている上下揃いの紫のジャージには背中に大きく「数」の文字が絵が描かれていた。

そして、彼が通勤で使うチャリのヘルメットは仮面ライダーだ。目が出ているライダーマンタイプと言えばわかる人はわかると思う。
わからない人はググって欲しい。

そんな彼の数学と仮面ライダーに関する愛は非常に強い。授業の中でその愛を語る時間が必ず取られる。
仮面ライダーのうんちくを必ず語る。語るけど授業はちゃんと時間通りに終わる。

そう彼は教えるのが天才的にわかりやすい先生だった。

そんな彼がある日、数学の公式を使った問題を出した。
当時自転車でふた山超えて駅に行き、30分電車に揺られ、更に違う自転車で20分かけて通学していた私は、授業中気を失いかけていることがままあった。

その時ももれなく気絶しかけてて、そんな中で出された問題。
私は公式をビタイチ聞いてなかった(オイ)

問題を見て、なんとか解けないかと、自分のできる限りで考えて解いた。

解いたはいいけど、こういう時は当てられるんじゃないかととてもドキドキする。
彼はいつも生徒を当てる時、将棋の桂馬飛びというトリッキーなルールで生徒を当てていた。

その順番で行くと絶対に私ではなかった。
が、その時に限って「順番忘れた」と言い出し、なぜか私が当てられた。

何故。。

仕方なく自分の解いた内容を発表した。

答えはあってた。
でも解く方法は完全に公式無視だった。

怒られるかと思ったけど、先生は

「この解き方もありだ。自分で考えてわかる方法で解いている。数学に対して愛がある。その姿勢が良い。皆も公式だけ覚えるんじゃなくて、こんな方法があることは忘れちゃいけない。」と言ってくれた。

いや先生ごめん、私寝ててん。。

でもこの時の先生の言葉は何年経っても、私の中に残っている。
私を認めてくれる。宝物のような言葉だ。

元々好きだった数学が、この先生のおかげでとてもとても好きになった。

残念ながら翌年数学担当が変わり、劇的に数学がわかりづらくなり、私の数学人生は高校1年で終わったけど。



高校2年の終わりに彼は他の高校に転勤になった。
最後の挨拶で涙ながらに「私たちが卒業する年までいたかった」と言ってくれてみんな泣いた。

センター試験の日は必ず皆の前を応援しに行くと言いながら転勤した先生。


センター試験会場に仮面ライダーの格好で現れた時には本当に度肝を抜かれたし泣いた。
しかも仮面ライダーの格好でベンチに登り、変身ポーズを決めてくれた。
先生、変身はライダーになる前にするものですよ。

あれきり先生と会ってはいないけど、私はその先生が今でも大好きだ。
仮面ライダーを見ると今でも思い出す。

あ、2人目のライダーの話はまたいつか。

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