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漫画「秘密の間柄」:リアリティーのあるトクシックな関係性

「トクシック」な関係性とは「不健全」な関係性

初めての投稿が韓国のBL漫画紹介だと思いもしなかった、マコです。

BL漫画は本当に当たり外れのギャップが大きいコンテンツですが、最近ハマっているのは韓国の漫画である「秘密の間柄」。「恋愛」とジャンル分けされていますが、私は個人的に「人間ドラマ」と「サスペンス」だと思って読んでいます。

では、先に公式のあらすじを見て見ましょう。

あらすじ

貧乏な家庭に生まれ、バイトで家計を支えながらも、そんな家庭環境をうまく隠し、成績優秀で容姿端麗な優等生として学生時代を経て社会人になった「三浦 優斗」。 「優斗」の恩人であり、完璧な容姿で学校でも有名だった「仲田 馨」は、高校・大学時代の先輩として何かと「優斗」を気にかけ特別扱いしていた。 金持ちのボンボンに見えるのに、なぜか貧乏くさい行動をとったり、仕事でも個人プレーが目立つ「優斗」が気に入らない「優斗」の会社の同僚の「佐奈 崚平」。 「いけ好かない奴だと思っていたけど、本当は苦労人で優しいのか?」 予想外に動き出す感情──ドキドキの三角関係ラブストーリー!

ピッコマ

注意事項

ここから先はネタバレと自傷行為、DVなどのお話が出てきます。ご注意ください。

ストーリーの個人的チェックポイント

この長い長いあらすじでは三角関係と書かれていますが、実際は四角関係です。そのメインの四人は三浦優斗、仲田馨、佐奈崚平、と神埼愁ですが、私は主に優斗と馨の関係性をピックアップしたいと思います。

優斗と馨の関係性を一言で言うと、ズバリ「共依存」
優斗は高校生の時から家庭教師として馨にお世話になっていて、その生徒と教師の関係性を遥かに超えています。馨は優斗の家族トラブルに加入したり、服とか参考書など買ってあげたり、家に何度も泊まれさせたりと。。。馨は異常なくらい優斗を可愛がっています。その関係性は優斗が社会人になっても続いており、優斗が築いていく関係性に馨が必ず関わってきます。
優斗は馨が好きで、でも馨に相応しくないと思っているため告白ができない中、同僚の崚平との距離が縮まります。関係が深まるにつれ崚平は優斗が絡まっているドロドロの三角関係を知り、優斗をその沼から抜け出すのを手伝うストーリーだと思っています。だからこそ、エンディングでは優斗は馨と愁と縁を切り、崚平と一緒になるのだと考えています。

共依存

馨は本当に何を考えているのかわからないところが多いのですが、最近わかってきたのは馨は優斗に異常な執着心を持っていること。優斗を完全に自分のものにするために、他人を利用し優斗の感情をコントロールしようとします。
例えば、愁と付き合うフリをして優斗に自分へと関心を向かせたり、怒らせたと思わせて優斗に罪悪感を持てさせたりとメチャクチャです。特にぶっ飛んでいるのは、優斗が馨のアパートから出ていくと告げた時に自分の手をナイフで刺した時。
この行動からわかるように馨は優斗がいないと生きていけないと思い込んでいる節から、彼に相当依存しているのが伺えます。
優斗の場合、馨のことが好きなのもありますが、後半につれて馨に対しての不信感もあり、好きというよりも「お世話になったから」と見捨てられないように見えます。
崚平の存在が優斗の中で大きくなっているのは事実ですが、馨への感情もなかなか忘れることは難しいでしょう。しかも馨は優斗の感情をコントロールするのが上手いために、優斗が馨と縁を切ることが簡単にできないといえます。

自己愛性パーソナリティ障害

馨は境界性パーソナリティ障害も入っている自己愛性パーソナリティ障害者だと考えています。

馨から見られる境界性パーソナリティ障害の特性は:

  • 極度の気分変更

  • 自傷行為

  • 他人への態度の急変

  • 他人への強い依存

馨は優斗の些細な行動で急に不機嫌になったり、優斗に傷つけることを言ったり、自傷行為をして優斗を引き止めたりしています。

そして自己愛性パーソナリティ障害の特性は:

  • 他人よりも優れていると信じている

  • 人を平気で利用する

  • 脆く崩れやすい自尊心を抱えている

  • 常に自分に関心がないと気が済まない

優斗以外に全く他人に興味を示さず、優斗の周りに集まる人達をあらゆる手段を使って追い払い。そして優斗の関心が自分に向けていないと極度に怒るシーンなどが出てきます。

今作は細かく人物像を過去と現在で繊細に描いているからこそリアリティーを感じられるのだと思います。そしてこのリアリティーがあるからこそ優斗X馨と優斗X愁の関係性をロマンチックに見えるよりも、悲劇に見えてくるのだと思います。

「秘密の間柄」の本質

この漫画は「恋愛」として売られていますが、書いてあるように私は「人間ドラマ」と「サスペンス」だと思っています。これは優斗が馨、愁とのトクシックな関係性から縁を切り、成長する人間ドラマであり。そして、その手助けをするのが崚平なのです。
そして優斗に何をするのかわからない馨と愁の行動からは恐怖を感じますし、サスペンス映画を見てるかのようにハラハラさせられます。

BL、特にやおいはこの作品以上にトクシックな関係が描かれてい作品は多くありますが、今作は健全な関係を築けるであろう崚平と優斗エンディングを期待しています。

読者によって変わる考察

もちろん私は馨、愁との関係性がロマンチックと見えませんが、それはやはり読者によって感じ方が変わります。
例にストックホルム症候群をリアルに描いたBL(?)漫画である「キリング・ストーキング」さえも、そのカップルを応援し、「ロマンチック」だと語る読者もいるほどです。(ちなみに私は数話で「キリング・ストーキング」を読むのをやめました)。
ですから、このようなトクシックな関係性を扱う作品に遭遇した際、それをしっかりフィクションと理解すると共に、このような関係性は「ロマンス」は全くなく「悲劇」しかないと思うことが重要だと考えています。

どこで読める?

「秘密の間柄」はピッコマで配信中なのでぜひ読んでみてください!


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