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友へ

(体調不良により1週お休みをいただいていました。ストックを推敲する元気もなく、申し訳ありません。)

8月19日21時半、珍しい人から電話が入る。こんな夜に突然かけてくることなんてなかった。嫌な予感がする。

親友が亡くなった。親友なんて言葉では収まらないくらいの、私の人生の恩人。過去に固執して、身動きできなくなっていた私の縄を切ってくれた人。世界は楽しいと教えてくれた人。

何でも相談した。仕事のこと、家庭のこと、お金のこと、病気のこと。夫にも言えないようなことだって何でも話したし、何でも教えてくれた。歳はさほど離れていないが、私は恩師のように慕っていた。褒めてくれて、間違いはきちんと指摘してくれて、いつもそばにいてくれた。私の太陽のような人。

彼女の調子が良くないことは知っていた。詳しい理由は書かないが、太陽のように明るかった彼女は、34歳の若さで命を絶った。

毎日のように連絡を取り合っていたのに、この時は2週間以上も連絡をしていなかった。心が弱っていることは知っていた。「マコちゃんになら何でも話せる」と言ってくれた彼女の支えになれなかった。

今年の冬はミュージカルを見ようね、そしていつか一緒にヨーロッパに行こうねって約束していたのに。もし私が毎日連絡していたら、少しは気分も晴れたかもしれない。私は彼女と生きる未来しか想像していなかった。

生前、私たちはよく太陽と月で喩えあった。私は月で、彼女が太陽。私は自ら燦々と光り輝く太陽に憧れていたが、彼女は「太陽は、照らすもの(人)がいないと生きていると実感できないんだ。」と言っていた。今ならこの意味が何となくわかる。

もっと一緒に生きたかった。世界は楽しいって教えてくれたじゃん。人生にしなきゃいけないことなんてない、納得できたらいいんだって言ってたのに。

彼女を失った悲しみ、抱えていた苦しみを和らげることのできなかった罪悪感、将来への不安が一気に溢れてくる。

でもきっと、彼女はもっともっと苦しかったんだと思う。
受けた恩を返しきれなかった。本当にごめんなさい。

彼女が亡くなって1週間以上経った。外に出ると彼女がどういった気持ちで最期の瞬間を迎えたのかを考える。「もう彼女はご飯を食べることができないんだ」と思うと食事は喉を通らない。寝ている間に世界が変わっていると怖いので、なかなか寝付くことができなくなった。不安に襲われ、こういう時はどう考えたらいいんだっけ?と思い出すのは彼女の言葉ばかり。

正直彼女がいないのに生きていく意味なんてあるのか?とも考える。
しかし彼女がいなかったら私はとっくに死んでいた。それならば、彼女の分まで生きるしかない。そして、彼女が教えてくれたことを次の世代にも伝えていきたい。

友へ。辛いことは忘れて安らかに眠ってください。
私と貴女なら、生まれ変わってもまた出会えると信じています。

(写真は彼女と一緒に行ったカフェの写真です。素敵な思い出をありがとう。)

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