名字の話

一回目の結婚の際にあまりの改姓の手続きのめんどくささに元夫に愚痴をこぼしたことがあった。その時元夫は「○○(夫の名字)になるのがそんなに嫌なのか、普通は喜ぶはずだ」とキレていた。

まず私は「普通」という言葉が大嫌いだ。「普通」とは普遍的なものであり、「普通」という言葉を使う人にとっての「普通」が「普通」となる。要は価値観の押し付け。自分基準の大多数を盾に自分の持論を押し通す人が使う言葉だと認識している。(本当に「普通」だと思うならエビデンスを示して欲しい)
また、私は自分を「普通ではない」と認識している。バツイチだし、社長だし、実家は寺だし、アル中のメンヘラだし。世間大多数から放り出された、嫌逃げ出した存在であるという自覚がある。すでにそれを自認している私に「普通」という言葉は通用しない。また、私は良い意味でも「普通」ではないのだ。収入は日本人口の上位5%に入っているし、会社経費で収入以上の暮らしができている。この私の「普通じゃない」状況を共に享受した上で「普通」を語る男たちを酷く言うと浅ましく感じている。

話を改姓に戻すと、私は離婚して元の名字に戻ったときに「もう名字を変えることは辞めよう」と思った。シンプルに手続きがめんどくさいし(結婚の際の改姓と離婚の際の改姓どちらも経験した)、「普通じゃない」私と結婚したいと思う男が現れるとするならこっちの名字になるぐらいの覚悟をもってもらわないと困る。と思った。

現在私はパートナーと「事実婚」をしているが、これも名字のせいである。離婚時に、まあ次結婚するとしたら日本も選択的夫婦別姓になっているでしょと楽観していたら、私の想定よりも早く私はもう1度結婚をし、更に私の想定よりも遅く選択的夫婦別姓は日本では進んでいなかった。
またパートナーのお家事情があり、継がなくていけない名字が2つ、パートナーに兄弟はお兄さんが1人のみ。ということもある。また私の兄弟は長男長女(私)次女の3人兄弟であり、継がないといけない名字も特にない(父は2人兄弟の次男、母は詳細は忘れたが兄弟がとても多かった)。
事情を省みれば私がパートナーの名字になるのが道理であることはわかる。
しかし私は名字を変えたくないのである。あの糞みたいにめんどくさい改姓の手続き(特に免許・パスポート・銀行・クレジットカード)ももうしたくないし、私がこの家の世帯主だし、家も私名義で買っているし、あれ?名字変えたら会社の登記も変えなきゃいけない???
手間を考えると私の扶養家族であるパートナーが改正した方がよっっっっぽど手続きは簡略化される。
しかし、私は彼に改姓してほしいわけではない。お互いこれまで3~40年使ってきた名字をお互い変えずに新しい家族を作りたいだけなのだ。
日本の戸籍制度とかどうでも良い。正直○○家を継がなきゃいけないとかもどうでもいい。出来る限りストレスフリーに生きたいだけなのだ。

事実婚をするにあたり、婚前契約書をまいた上で役所で私の世帯にパートナーを入れた。その際「夫(見届け)の届け出書類」というものを提出した。
見届けを届け出るってどういうこと????矛盾してない??意味わかんないんだけど????
と思いながらも扶養にいれるだのうんぬんかんぬんがあり、おとなしく見届けを届け出た。
今のところ選択的夫婦別姓が日本で認められるか、子どもができるかしない限りはこのままの状況を続けるつもりだ。

ちなみに事実婚するにあたっては戸籍を弄ることはないので両親にはばれなかった。なので私の両親は娘が2回目の結婚をしたことを知らずにいる(事実婚でいいじゃないと言われていたのでバレても驚かないとは思うが)

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