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移動に時間がかかっても、イライラしなかったキューバの友人

あっ日曜日だ! あわてて外に出た、友人と私。そのとき、ハバナの中心部近くに滞在していました。

いざ、「アフロキューバン」の音楽イベントへ! 

タクシーに10分も乗れば、会場の「カジェホン・デ・ハメル」に着き、「ルンバ」とよばれる音楽とダンスのイベントに間に合うはず。

すると、あら偶然! 夕方に会う約束をしていた、キューバ人女性の友人とボーイフレンドが、目の前にいるではありませんか。

キューバ人の友人は、デートがてら、早めに着いて、あたりを歩いていたようです。

「これからルンバのイベントに行く」と伝えると、「彼が場所を知っているので、一緒に行こう!」と言ってくれました。心強い!

彼女が、乗り合いタクシーをとめてくれたので、みんなで乗り込みました。

キューバは観光客向けのタクシーと、現地の人の乗り合いタクシーと2種類にわかれています。

前者はエアコンもきいている「モダンな」車で値段も高め。後者は、キューバ革命(1959年)より前から走っているクラシックカーが多くを占めます。

さて、私たちは静かな住宅街でタクシーを降りました。

しかし、そこはまだ目的地ではありませんでした。

はっと気が付いたのですが、観光客タクシーが目的地まで走るのに対して、乗り合いタクシーは決まったルートで客を乗せたり降ろしたりします。

次のタクシーに乗るために、ひたすら歩く私たち。いつの間にか、彼女のボーイフレンドは「ではここで、アディオス(さようなら)」と、いなくなってしまいました。

次のタクシーを待ちながら、時は刻刻と過ぎていきました。

ようやく会場につくと、演奏はあと1~2曲で終了というタイミングでした。

「ルンバ」の雰囲気は味わったし、彼女とも会えたし、イベントもまた機会があるので、まあよかった。

とはいえ、タクシーを待つ時の不安と、乗り継ぎで歩いた距離の果てしなさが印象に残りました。

移動に時間がかかっても、キューバの人たちはストレスにならないのかな。

さて、ところ変わって日本。

このキューバ旅行から少しあとに、私は都会から離れた、のどかな街に引っ越しをしました。

ローカルな電車は1本逃すとなかなか来ないし、都心まで電車を乗り継ぎます。

それまで、交通の便がよいところに住んでいたにもかかわらず、いつも時間ギリギリか、遅れがちだった私。

案の定、大丈夫ではありませんでした。

しばらくは、時間に余裕をもって移動することに、全力を注ぎました。

すると、出発時間のみならず、生活スタイルまで変わってしまいました。

予定をつめすぎない。体力を使い果たさない。なぜなら、移動中に具合が悪くなって、引き返したことがあるからです。

そんな生活にも慣れてきたころ、あることに気が付きました。

目的地にはやく着くのは、すがすがしい、ということに。

かつて電車がつまるとイライラしたり、待ち合わせに遅れそうで身の置き所がなくなったり、出口を間違えてあわてたり。時間を勘違いしてタクシーに飛び乗ったこともありました。

便利なときには大きかったストレスが、不便になって解消した。私にとっては、意外な発見でした。

時間だって、備えあれば憂いなし。

待つのも歩くのもいとわず、よろこんで案内してくれた、キューバの友人のホスピタリティをありがたく思い出します。

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