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それは流産からはじまった

「これでさえ、あなたへのギフト。。。」

36歳の時、11週目で流産をして
肉体的にも精神的にも
落ちて落ちてどん底で
立ち直れそうにないから
少しの間、休養しようと
妹がいるオーストラリアにむかっている
リムジンバスの中で
そんな声が聞こえてきた。

「え???
 何?
 私に言ってる?
 ギフトって何?
 まさか、流産した事?」

この声は、まぎれもなく私の内側から
響いてきていて、流産した事さえ、
私へのギフトだと言っている。

グッと奥歯を噛み締めて
もう枯れ果てたであろう涙が
又、後から後から流れてきた。

「これでさえ、ギフト」

あらゆる事は、全てギフトで
成長、進化する為のもの。
それはそうなんだけど、
この流産までもギフトだと言っている、
これは只事ではないと思った。

まだ、そんな風に全然思えないし
いつかそれがギフトだと思える日なんて
全く来そうになかったし
悪魔の声かもしれない、と
その声を疑って一瞬身構えた。

ただ、もし本当に、
この流産がギフトなんだとしたら
どんな風にそう思えるようになるのか
どんなギフトが隠れているのか
「絶対に知りたい」
そう強く思った。

オーストラリア行きの
リムジンバスの中では
ただただ、落ち込んで、
これからはじまる私の計画の壮大さに
まだ、気がつくはずもなく

この流産がギフトだと言ってくる
この声に、けんかをふっかけられたかのようで
ただ、挑んでいく事で
少しの力が湧いてきて
「知りたい、絶対に知りたい
 必ずつきとめて、
 納得したい。」

そう思いながら
リムジンバスは成田へと
向かっていた。

 







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