ツイステの開発環境をなんとなく考えてみる

※これは元ゲーム会社勤務でソシャゲ開発に関わったことのある筆者が、スタッフ規模とかを見ながらなんとなくこんな感じの開発をしてるんじゃないかな?という憶測を並べたものです。
 あくまで一意見であり絶対ではありません。
 ツイステッドワンダーランド、及び開発会社、ディズニー、アニプレックス、スクエア・エニックス等とは一切関係ありません。

じゃあ目的は何かって言ったら、「ちょっとスクリプトどうなってるのか見てみたいと思った。その理由について」の記事となります。
その点、ご留意頂けますようよろしくお願いします。

「開発の苦労や事情なんて知りたくねー!」という方はブラウザバックを強く推奨します。

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0.はじめに

ディズニー・アニプレックスから出ている大人気アプリ「ツイステッドワンダーランド

割と久々に配信スケジュールをきちんと出してきたのでめちゃくちゃびっくりしました
これまでのツイステは、メインであれイベントであれ、ふわっと「○月上旬」くらいだけ書いていて、突然配信してくるような状態だったので、「ようやく内部が落ち着いて開発スケジュールを立てられるようになったのか……?」という気持ちで見ています。

今やっているハロウィンイベントも、メイン5章の間に挟まれたため、一部ユーザーからは「先に5章を配信しろ!」と言われている状態だったり、「同開発会社の他アプリゲーではスケジュールが遅れたりなんかしてない!」などと言われている本作ですが、かつてソシャゲの開発に携わっていた私から見ると、なんとなーくツイステの仕様的にこれ(開発が遅れたりスケジュールがごたごたする)は当然の流れじゃないかな、と思っています。

その理由を今から、現状の仕様を他のアプリなどと比較しながら上げていきたいと思います。

今一度書きますが、これはあくまでかつてクリエイター側だった人間が外部から「こんな感じではないか?」と憶測で語っているに過ぎない記事であり、擁護でもなければ批判でもありません。
どんな事情があろうと開発・運営側は状況をユーザーにできるだけ知らせるべきだと思います。
あとマジでデバッグ専門チームは用意した方がいいと思う。外部でもいいから。居るならちゃんとクレジットに記載しろ。

1.プランナーの人数

2020年11月2日現在の時点でプランナーは
・キャラクター2名
・ゲームシステム6名
となっています。
本作はバトル・音ゲー要素もありつつ、メインコンテンツはストーリー・キャラクターになるので、キャラクター専任プランナーが居るのは納得です。
システム系プランナーはおそらくバトル・リズミック・ガチャ運営・授業系などに分かれているのでしょう。

バトルも音ゲーもさすがに一人で取り回しはできないと思うので、最低二人ずつは配置されているでしょうし、残りでガチャ運営と、その他を取り回せばギリギリ足りるかな……?という人数に見えます。……いや、結構ギリギリだな……? 兼任してるのか? それだと余計にギリギリだな……?

念のためプランナーの仕事とは何かを確認しておきます。

会社や開発規模に依るのですが、本作くらいの規模であれば、プランナーの役割はいわゆる、「プログラミングとグラフィック以外のその他すべて」の業務を担当するようになるんじゃないかなと思います。

つまり、仕様書をきる、データ類の発注、入力、実装、管理、ボイス収録の立ち合い、売り上げデータ分析、それに伴う運営スケジュールの管理、外部会社との調整、お知らせ内容の記載、その他雑用に及ぶまでプランナーが管理する状態なのでは?という推測が立ちます。

まあ、大手でなければ、開発規模は大体そんな感じなので驚きはしないのですが……一人あたり結構な負担量ではないか、と思います。

2.ストーリーイベントの開発について

イベント(本項目ではストーリーなどを選択した際に再生されるシナリオイベントのことを指します)ですが、当然、これらの開発スピードやコストはどのくらい動きを入れるか、テキストの分量、ボイスの有無によって決まってきます。

スピードが早く、コストが少ないのは
・テキストの分量が少ない(1イベント当たりのタップ数が制限されている、シナリオを重視していないのでイベント自体短い、など)
・立ち絵の種類が少ない(表情変更がない、ポーズ差分がない、など)
・フルボイスではない
・動きがない(立ち絵を移動させたりエフェクトを入れたりしない)
ものになります。

逆に重い物は
・テキストの分量が多い(1イベント当たりのタップ数が制限されていない、1章辺りのイベント数が決まっていない、など)
・立ち絵の種類が多い(表情変更がある、ポーズ差分がある、など)
・フルボイスである
動きがある(立ち絵は上下左右に動くし、エフェクトが多い)
ものになります。

特に、フルボイスでシナリオ量が多いのはヤバいです。
何故なら、フルボイスである場合、外部会社との連携や声優さんのスケジュールを確保するなどの外的要因が大きくなるためです。
外部が関わっている以上、絶対にシナリオは期日までに完成していなければなりません。収録後にシナリオ変更をする場合、再度声優さんのスケジュールを押さえて……などかなりのコストがかかってしまうので、開発側としては極力避けなければならない状況です。
ぶっちゃけ、フルボイスでなければ、割とリリースギリギリまでシナリオ内容や演出の調整などができるくらいです。但しスクリプターは死ぬ。

シナリオの遅れが許されない状況だと、シナリオの執筆スピードを上げ、かつクオリティを落とさない為にはシナリオの分量自体を制限するのが手っ取り早いのかな、と。
シナリオライター側には文字数制限などがかかり、調整に頭を悩まされることになりますが、イベントを演出するスプリクター側にとっては作業量が確実に決まっているのでスケジュールの見通しが立てやすいですし、作業待ちの間にキャラクター設定・演出のコンセンサスが取りやすく、演出に注力しやすくなったり、新しい素材(イベント中表示される画像やSEやBGM)をたくさん発注したり、少ない人数でも取り回すことができます。

立ち絵については、どうやってデータを管理しているかに依りますが、差分が少ないほどコマンドが少なくなるので、当然管理も入力もしやすくなります。

反対に差分が増えると間違いが発生しやすくなります
特にこのポーズではABの表情が使えるけど、こっちのポーズでは使えない……なんかがぼんぼん出てきます。
それでも2Dタイプの立ち絵だと、データがポーズと表情で分かれてないと思うのでそこまで事故ることは無いと思うのですが、3Dとなると、ポーズと表情でデータが分かれている可能性はあります。
ということは、ポーズAで使えない表情を指定したら即バグの可能性があるということで。より複雑で事故りやすくなるでしょう。

3.ツイステの状況

さて、ではツイステはどうでしょうか?

・テキストの分量:定量どころか章が進む程、倍になってる。(多分、シナリオに字数制限が無い)
・立ち絵の種類:おそらく表情・ポーズ・衣装で別々のコマンドになっている。(入力するデータが多い)
・ボイス:メインはフルボイス
・画面:表示範囲は固定だけど、動くしエフェクトをバリバリ使う
・独自要素:セリフの途中で表情が変わる。

考えただけでクラクラしてきますね!

特にシナリオの量が増えているのとフルボイスなのはヤバいです。

例えば1ヶ月ごとに1章出そうと思ったら、2章、3章と進むほどに、タスクや登場キャラが増えるのに対して、開発期間とクオリティは据え置き、と考えると、シナリオもスクリプトもどんどん忙しくなるのが目に見えます。
画期的な開発手段でもない限り、スタッフの負担は増え、残業は増え、休日は無くなり、同時にイベントやパソステなどの実装を行わねばならず……というのが目に見えます。こわい。

立ち絵に関しては、Live2Ⅾの開発環境に居たことが無いのではっきりとはわかりませんが、ポーズと表情、服装を別々に指定しているように見受けられます。
(どんなポーズでも、どんな表情が出せているように見受けられるので、ポーズと表情が固定の個別の命令を用意するよりポーズと表情を別々に管理した方が作りやすいと思います。
つまり、100のコマンドを用意するより、10*10のコマンドを組み合わる方が管理しやすいだろうということ)

更にツイステは他のソシャゲどころかコンシューマーゲームでも滅多に見ない、セリフの途中で表情を変える手法を取っています。
個人的には内部でどういう指定をしているのか気になるところですが(基本的にADV形式で表情を指定する場合、1つのテキストに対して1個の表情しか指定できない場合が殆どです。FGOですらそうだったはず)、作業量だけ見ると、画期的な開発方法が無い限り、単純に作業量が倍になります。何行書いてんだ……?

この状態でシナリオやイベントのクオリティを落とすのは許されない……となると、定期的なリリースを諦めるしかありません。

事実、ツイステはリリース早々、1章ごとの配信ではなく1章を何部かに分けて配信する形式を取っています。それも、定期的なスパンではない状態で。

メインのリリーススパンを延ばすとすると、どうしてもユーザーにとってやることがなくなってしまう期間ができてしまいます。
それを防ぐためには、期間限定イベントの開催を行ったりしてユーザーを飽きさせない、離れさせないための工夫が必要になります。
が、同じスタッフがメインも期間限定イベントも担当してたら本末転倒なので、恐らく、スタッフもメイン担当チームと期間限定イベント担当チーム(あるいはサブイベもこっちが担当かも)に分かれている可能性が高いです。っていうかそうであってくれ。

分けることのメリットは当然同時開発ができること。
メインの開発が滞っている間に期間限定イベントを出して間を繋いでるんだろうな……と思います。

だから多分、今もハロウィンの裏でめちゃくちゃ5章の開発が進められている……と思います。

ただ、多分としか言えないのは、おそらくツイステはハロウィンイベントにめちゃくちゃ力を入れてきているので、リリースの後からずっと注力していたかもしれない可能性がある為です。
もしかしたら、メインシナリオチームもハロウィンに回されている状態で、5章がストップしている可能性も否定できません。

じゃあなんで5章とハロウィン被せてきたのかと言えば、多分運営にそのつもりは無くて、シナリオイベントのクオリティに注力してきた結果とコロナの影響で、当初の開発スケジュールよりズレまくってる状況だったんじゃないかな……と思います。

特に、コロナの影響は大きかったと思います。
密を避ける為に多くの作品がボイス収録出来ない状態でしたし、メインシナリオをフルボイスにしているツイステは影響を避けられなかったでしょう。

でも新キャラや新衣装は出来てたりするよ?と思うかもしれませんが、ああいうのは結構、半年〜3ヶ月前から準備していることが多く、コロナより前に収録が終了していた可能性が高いです。(あくまで憶測です)

だから、コロナによる密回避制限がだいぶ落ち着いてきた最近になって、ようやくスケジュールの立て直しが出来るようになってきたのかな……と思います。多分ね!

4.おわりに

何度も書きますが、これはあくまで私の経験に基づいた憶測、妄想であり、根拠は全くありません
これが仮に事実だったとしても、ユーザーに説明しない現在の態度は不誠実だと思いますが、これを元に問い合わせなどを行っても特に意味はありません。
また、「こういう事情があるんじゃ仕方ないね〜」と諦める要素でも無いと思います。ユーザーにとっては出されたものが全てなので。
じゃあ、なんで書いたかと言えば、やっぱり「開発環境(特にスクリプト)がどうなってるのか知りたい
に尽きます。特にスクリプト。
本当にどうなってるんですか? CEDECとかで公開してくれないかなぁ〜〜〜マジで
触ってみたい(趣味)

そんな感じのグダグダな日記のようなものでした!
お付き合いありがとうございました〜!

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