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SONYα7SⅢを映像制作の現場で使用して感じた良さをレビュー。本当にオススメです。

こんにちは。
ミュージックビデオを中心にフリーのビデオグラファーとして活動しております、まきおと申します。

今年の2月にα7SⅢを購入して、
・ミュージックビデオ4本
・企業PRムービー制作
・YouTube制作諸々
などなど、たくさんの映像制作に使用いたしました。

それなりにリアルな使用経験がたまってきた中で、本当にビデオグラファーにとって最高のカメラだと感じているので、その良さについてレビューしていきたいと思います。

YouTubeに動画レビューもあげましたので、ぜひそちらもご覧ください!

そもそもSONYα7SⅢとはどんなカメラか?

α7SⅢってどんなカメラか?っという基礎知識について、ご存知の方も多いかと思いますが軽く触れておきます。
「十分知ってるよー!」という方は、飛ばしていただいて大丈夫です。

SONYのフルサイズミラーレスカメラにはいくつかラインナップがあり、まずざっくり特徴を記しておきます。

■α7シリーズ(無印)
フルサイズミラーレスの中で標準機種。何かに特化するではなく、スタンダードな良さを追求しているモデル。α7Ⅲが最新機種で完成度も高くユーザーも非常に多い。
■α7R(Rシリーズ)
フルサイズミラーレスの中で高解像度に特化している機種。最新のα7RⅣは6100万画素(α7Ⅲは2420万画素)と非常に高解像度で、大きなポスター印刷や編集時にクロップ耐性に強い。
■α7S(Sシリーズ)
フルサイズミラーレスの中で高感度(暗いところに強い)に特化している機種。Rシリーズとは逆に解像度は1210万画素と低い一方、感度が強くダイナミックレンジが広い。
■α9シリーズ
フルサイズミラーレスの中でスピード重視。高速連写に強いので、鳥の写真を撮ったりする人に人気。
■α1
フラッグシップ。全てが最強な機種。スーパーサイヤ人みたいなカメラ。

上記に記載したとおりですが、SONYのカメララインナップの中でもα7Sシリーズは「低解像度・高感度」が特徴です。
本来Sシリーズは動画専用カメラというわけではないのですが、この低解像度・高感度という特徴が、動画撮影に非常に向いているので、ビデオグラファーに人気となったわけです。
そのSシリーズに最新の技術を纏って登場した一番新しい機種が、α7SⅢ(Sシリーズの3世代目)というわけです。

なぜ低解像度・高感度が動画に適しているのか?

そもそも高感度にするには低解像度にしたほうが有利です。
詳しい説明は省きますが、解像どが低いということは
同じセンサーサイズの中に存在するピクセルの数が少ない=一つのピクセルの面積が大きい
ということになります。
言うなれば人口密度みたいなものです。
同じ街に家の数が少ないので、一軒の敷地を広くできる、そんなイメージ。
「一つのピクセルの面積が大きい分、光をたくさん受けられるんだーだから暗いところでも光をたくさん受けられて明るく撮れるんだー」
くらいに思っていただければ大丈夫です。笑

で、写真の場合は低解像度はデメリットになる場合もあります。
例えばポスターのような大きいサイズで印刷しようと思うと、相当の解像度が必要になります。Sシリーズの1210万画素ではちょっと厳しい。
なのでそのような写真家さんは解像度の高いRシリーズを愛用されています。
一方動画はというと、非常に高画質な4K動画でも、必要な画素数は800万画素程度です。
つまり、動画の方が写真よりも必要な画素数が少ないのです。

一方で、動画は写真のようにシャッタースピードが変えられません。
また、写真のようにフラッシュを使用することもできないので、明るさに対する柔軟性は、写真より動画の方が低いといえます。
明るすぎる環境で設定やNDフィルターなどで光を減らすことはできても、暗すぎる環境で光を増やすことは難しいです。
なので、動画を撮る上で暗いところでも綺麗に写る“高感度“という性能は、写真よりも重要になってくるわけです。

まとめると、動画は
・写真ほど解像度は要らない
・写真より暗いところに弱い
という特徴があるので、解像度を捨て高感度に振っているSシリーズがビデオグラファーまとめから人気が出たわけです。

なのでSONYさんもビデオグラファー向けに、4K60fpsや手ぶれ補正の強化といった動画向けの最新機能が、SⅢには搭載されています。

カメラの説明が長くなってしまいました。
ここからレビューに入っていきたいと思います。

感度の高さは撮影自由度の高さ

やっぱり1にも2にも、SⅢの良さは感度の高さです。
ISOを上げていってもノイズに対する懸念が少ないのは、やっぱり安心感があります。

このビデオなんかは特に、明るさの変化が大きく、スローモーションも多用したため、ISOを12800程度まで上げていますが、それでも非常に綺麗に撮ることができました。

正直に告白すると、α7SⅢのISOに対する信頼感が高いので、ISOはずっとオートで撮影しています。(もちろん、上限値は設定していますが)

特に僕のような個人のビデオグラファーの場合、予算や時間が限られた撮影現場というのは非常に多いです。
そうなってくると、カメラの設定変更や機材準備などにかけられる時間は最小になってきます。
照明が変わるたび、またスローモーションと行き来するたび、ISO/絞りを調整するのは大変ですが、ISO感度をある程度カメラ任せにしてしまえば、より現場を回す方に意識を向けられます。
大きな制作会社が入る現場ではなく個人のビデオグラファーが回すような現場であれば、細かいカメラの設定に気を配りすぎるより、現場に意識を向けた方が良い作品が作れるな、と感じています。

そういった意味で、SⅢは僕のような個人の小規模で制作を行うビデオグラファーには最適じゃないかと感じます。

アクティブ手ぶれ補正、優秀!

α7SⅢから搭載されたアクティブ手振れ補正がこれまた優秀です。
「手振れを抑えるならジンバルを使えば良いんでしょ?」
と思ってる方も多いですが、ジンバルにもデメリットがあります。

■ジンバルのデメリット
・レンズを変えたり、ズームレンズでレンズ長が変わる場合は、都度ジンバルの設定をしなければいけない
・向きや動きのコントロールは手持ちの方が思い通りに動かしやすい

機材というのはそれぞれの向き不向きを理解して、適材適所で使うべきで、「これを使えば全部OK!」というのは難しいところです。
例えば以下の動画の制作現場の場合。

職人さんの仕事現場に密着し、ドキュメンタリー的に撮影しています。
そうなってくると、仕事中の職人さんの動きは読めないですし、なるべく遠くから狙えるようにズームレンズが必須になります。
また、
「今の瞬間を撮影したい!」
といった、瞬発力も必要になります。
その度ジンバルの設定を変更していたら、貴重な瞬間を逃してしまいます。
こういった場面では特に手持ちの方が有効です。

この企業PRの撮影時は、α7SⅢにハンドルとマイクを乗っけて手持ちでひたすら撮影を行なっておりました。

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そんな時に、α7SⅢのアクティブ手ぶれ補正は強力で、しっかりと構えていれば十分手振れを抑えた映像を捉えることができます。

ただ、パナソニックやオリンパスのようなマイクロフォーサーズ陣営の手ぶれ補正ほどではなく、歩きながらの撮影にはジンバルを使用した方が良いです。
MVのそういった場面なんかではジンバルを使用しますね。

グリーンバック(クロマキー合成)に強い

α7SⅢの初仕事は、前編グリーンバックのMVの撮影でした。

そこで痛感したのですが、α7SⅢは二つの理由でグリーンバックに強いです。

理由① 10bitでの撮影ができる

α7SⅢは、SONYのαシリーズとして初めて10bitでの撮影が可能です。
bit数の説明は非常に長くなってしまうので簡単な説明で済ませてしまいますが、
簡単にいうと「記録できる色の種類が多い」という意味になります。
8bit収録の場合1600万色の記録に対し、10bitでは10億色の色表現が可能です。
わかりやすい例えでいくと、グラデーションがより滑らかになるイメージです。

グリーンバックは、どこまでが背景の緑でどこまでが被写体かを厳密に指定してあげる必要があるため、8bitで撮影するより10bitで撮影した方が綺麗にグリーンバックを抜くことができます。

理由②感度が高い

さて、なんでここでも感度のお話が出てくるのかというと。。。
グリーンバックで撮影する際は、シャッタースピードを通常より早めに設定した方が、綺麗に抜けやすくなるんです。
シャッタースピードを上げると残像(モーションブラー)が少なくなるので、要は被写体と背景が混ざり合う瞬間を減らすことができる、そんなイメージです。
大体1/100sくらいに設定すると、グリーンバックを綺麗に抜きつつ不自然じゃない映像で記録できます。

また、背景がボケるとこれまたグリーンバックが抜きづらくなるので、絞りもある程度絞った方が綺麗に抜けやすくなります。

で、シャッタースピードを上げて絞りを絞るとどうなるかというと。。。
そうです、暗くなりますよね。
なので必然的にISOを上げる必要が出てきます。
そんな時にα7SⅢの高感度耐性を持ってすれば、ちょっとISOが上がったくらいでもノイズが出ないので、安心して撮影ができました。

(シャッタースピード、絞りのお話がイマイチ理解できないというかたは、以下の動画で詳しく解説しておりますのでよければご覧ください!)

まとめ

α7SⅢは大変高価なカメラではありますが、それだけの価値はあるカメラだと思います。
本格的なシネマカメラに負けないような性能があると考えると、40万円という価格も高すぎるわけではないな、と思います。

「高いカメラを買ったから良い仕事ができる」というわけでは一切ありませんが、良い機種を買ってバリバリ映像の仕事をするぞ!という人は、思い切って購入しても後悔はないと思いますよ!!

最後までお読みいただきありがとうございました!
僕はミュージックビデオを始め様々な映像の制作を行なっております。
もし映像の制作をご希望の方、ご相談だけでも大丈夫ですで、メール等でお気軽にご連絡くださいませ!
makio.drums@gmail.com

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