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【LIVE REPORT】MEGADETH @NIPPON BUDOKAN Feb. 27th 2023

30年は長い。その間にキャリアが終わっていても何らおかしくない時間。
終わりかけた時期もあったが見事にカムバックを果たし、当時と同等、あるいはそれ以上に強力な作品を携え、ついに武道館に戻ってきた男、Dave Mustaine。

MEGADETHの初の日本武道館公演に行ってきた。
大好きなバンドの来日公演なのだから最高なのはある程度織り込み済みなのだが、この場を彼らと共有できたことを心から感謝したい、そんな夜になった。

冒頭にあるように、30年前に霧と消えた武道館での公演であること、
来日公演も7年ぶりであること
昨年発売された最新作が素晴らしい完成度であったこと、
全盛期のMEGADETHを支えたMarty Friedmanとの23年ぶりの共演が発表されていたこと、
など、始まる前から「もうこれは最高な夜になるな」と思わせる要素が多数あったのだが、そんな期待を大きく超えた素晴らしいライブだった。

自分の席は1階スタンド東側。
ステージを横から見るような形だが、距離は感じなかった。

18時57分ごろ、「まもなく公演が始まります」というアナウンスが入り、会場のボルテージが一気に上がる。
ほぼ定刻に客電が落ち湧き上がる歓声。
オープニングSEは"Prince Of Darkness"。問題作とされている「Risk」の2曲目のヘヴィなナンバー。唸るようなDaveのヴォーカルからドラムとザクザクしたリフが入ってきて曲が一段盛り上がるぞ、といったところでDirkのカウントが入り切り裂くように始まったのは名盤「Rust In Peace」から"Hangar 18"。観客のボルテージはいきなりMAX。KikoとDaveのギターバトル、終盤の「MEGADETH!!」コールで大いに沸いた。

続くのはブレイクが印象的な"Dread And The Fugitive Mind"。ベスト盤の「Capitol Punishment」に収録の曲だが、色んなツアーでSetに入っている気がする。メンバーのお気に入りなのだろうか。中盤のメロウな部分はしっかり歌わせてもらった。全編で思ったのだがDirkのドラムがめちゃくちゃかっこいい。叩き方、煽り方がとても絵になる。そしてもちろん演奏も正確。

3曲目は前作「Dystopia」から”Threat Is Real”。前作の中でも好きな曲。アグレッションに溢れた曲はライブでさらに攻撃的に。ここでもDirkのドラムが心地よい。この曲が終わったところで最初のMC。オーディエンスへの感謝とこのショウがWOWOWで生中継され、全世界に生配信されていることを告げ、始まったのは”Angry Again”。個人的にはあんまり好きな曲ではないのだがこれもずっとセットに入ってる曲。続くのは新作「The Sick, The Dying…And The Dead!」から"Soldier On!"。跳ねるようなリズムとリフが特徴的な曲。この時点ではまだDaveのヴォーカルは自分の席からはそんなに良く聞こえてなかったのだが、とにかくバンドの演奏がタイトで楽器の音がとてもよく聞こえるので、ヴォーカルが聴こえなくてもあまり気にならない(失礼)。6曲目の"Sweating Bullets"(「Countdown To Extinction」)ではブレイクが多いのでDaveの声はさすがに良く聞こえたが、それよりもシャッフルのリズムがバンドのタイトさを際立たせていた。ミドルテンポなんだけど、もしかしたらこの日一番かっこいいと感じたのはこの曲かもしれない。普段すごい好きな曲というわけではないのだけど、めちゃくちゃよかった・・・。ライブになるとミドルテンポの曲が急にかっこよくなるこの現象はなんなのだ。

「Cryptic Writings」から”Trust”、「Dystopia」からインストの”Conquer Or Die”とグラミー賞受賞曲である"Dystopia"をぶちこんで、「Youthanasia」からバラードの”A Tout Le Monde”へ。この曲もライブで聴くとより心に沁みる…。

曲が終わると唐突にMarty Friedmanの過去の映像が流れる(加入当初の映像か?)。何が起こるか察知した観客から湧き上がる歓声。下手側から飛び出てくるMarty。ノースリーブのチェックのシャツは過去映像からそのまま出てきたかのよう。始まったのは「Countdown To Extinction」のタイトル曲”Countdown To Extinction”。彼らが30年前に武道館を掴みかけたアルバムのタイトル曲から出てくるとはなかなかシャレが効いている。決して激しい曲ではないけどメロウなコーラスがキャッチーな佳曲だ。そしてMartyがソロを奏でる。まさに歴史的な瞬間だ。

そして間髪入れずに名盤「Rust In Peace」の超名曲”Tornado Of Souls”へ。イントロが始まった瞬間に自分も含め観客は狂喜乱舞。Martyはまさに縦横無尽にステージを駆け回る。たまにDaveと向き合いながらギターを弾く姿が微笑ましいし、グッとくるものがある。そして遂に”あの”ソロへ。Daveはやや後方に下がり、Martyが主役となる瞬間だ。流れるようなメロディは美しいとしか形容のしようがない。おそらく、この日一番の歓声はこの瞬間だったのではないだろうか。

まさに竜巻のような”Tornado Of Souls”が終われば次は「Countdown To Extinction」から”Symphony Of Destruction”へ。恒例の「MEGADETH!!」コールで盛り上がり、曲が終わるとMartyはDaveとハグしてステージを後にした。あっという間の3曲だった。

「新作から最初にシングルカットされた曲だ・・・。普通はこういう曲はアルバムの前半に来るもんだが、この曲はアルバムの最後。俺たちはいつだって他のやつらとは違うことをしてきた」そんなDaveのMCから始まったのは「The Sick, The Dying…And The Dead!」から”We'll Be Back"。新作からの圧倒的なスラッシュチューンはデビューから40年近くが経とうとしているMEGADETHがあくまでも「現在進行形のバンド」であることを印象付けるには十分なものだった。

「Pease Sells…But Who’s Buying?」から"Pease Sells", 「Rust In Peace」から"Holy Wars…The Punishment Due"とライブでの定番かつ絶対に外せないMEGADETHアンセムが演奏され、大興奮の中、ショウは幕を閉じた。

アンコールなしでほぼノンストップで駆け抜けた90分。"Wake Up Dead"とか"In My Darkest Hour"とか"Skin O' My Teeth"とか”Reckoning Day”とか聴きたい曲はまだまだあるが、それでも最高な夜だったと言えるショウだった。超濃縮された、密度の濃い、90分だった。

印象的だったのは、バンドの演奏のタイトさ。特に自分はDirkのドラムに感銘を受けた。Daveが「今のラインナップは全盛期(Rust In Peace時に)に匹敵する」と言っているのは本心からの言葉だろう。Martyとのリユニオンが思いのほかあっさりしていたのもそのあたりにあるのではないか。呼び込みやMCも最低限だったし、ある種Martyのホームグラウンドである日本で彼にマイクを持たせることもなく、最後の"Holy Wars"や終演後とかにステージに戻ってくるのかな、と思っていたが、結局出てくることもなかった。でもそれはそれでいいのだ。MEGADETHはノスタルジーを追い求めるバンドではなく、常に前に進むバンドなのだから。そんなバンドだからこそ、30年の時を経て武道館をSOLD OUTにし最高レベルのクオリティのショウを見せつけられるのだ。

HEAVY METALを好きでよかった、MEGADETHを好きでよかった、心からそう思える夜だったのと、素晴らしいショウを見せてくれてこの特別な夜を世界中の人(Rest Of The World)に向けて発信してくれたバンドに心から感謝したい。

LIVE FOR METAL! DIE FOR MEGADETH!


MEGADETH @ NIPPON BUDOKAN Feb. 27 2023 SETLIST
・Prince Of Darkness (S.E.)
・Hangar 18
・Dread And The Fugitive Mind
・The Threat Is Real
・Angry Again
・Soldier On!
・Sweating Bullets
・Trust
・Conquer Or Die!
・Dystopia
・Countdown To Extinction (w/ Marty Friedman)
・Tornado Of Souls (w/ Marty Friedman)
・Symphony Of Destruction (w/ Marty Friedman)
・We'll Be Back
・Peace Sells
・Holy Wars... The Punishment Due


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