【ネタバレ】Outer Wilds【親愛なる先人達】

「Outer Wilds」とはなんぞや。
という部分に関しては正直他の方々のレビューや紹介記事を読んでいただきたく思う。恥も外聞もなく、丸投げである。
そもそも何故自分が今これを書いているのか。
それはsteam版の発売に合わせてプレイしたこのゲームが大変面白かったからであり、航行記録完成の実績解除に至った自分へのメモ代わりといったところ。

但し、まず一点。恐らく殆どの人がこのゲームを薦めるにあたり書いているであろうことを記しておく。
【このゲームは予備知識が少なければ少ないほど、得られるものが大きい】
要はちょっとでも気になってるならネタバレ踏む前にやってみてね、ということ。これより下は読む必要がない。
クリアはしたけどどういうことなのってなった人(筆者もそのレベルと言えばそのレベル)、もしくはなりふり構わずこのゲームに関する情報を知りたい、やりたいけど3D酔い耐性が足りず自分でプレイすることは不可能な人、なんかは読んでもいいのかも?
こんな駄文を読むくらいならプレイ動画や実況動画を漁った方が良いかもしれないので責任は負いかねる。

また、謎解きの解法的なものは書いていないのでそういう方向のネタバレをご所望の方は他を当たるように。文章にしろ動画にしろ探せば直ぐに見つかるはず。




それではまず、このゲームを(概ね)遊び終えて、心底凄いなと思った点。それはどこなんだろうというところから。
ここまではプレイ前でもまだ、ギリギリ読んで良いかもしれない。人によってネタバレのラインは様々なので自己責任で。




「曲が良い」
いの一番にこんなふんわりした事柄で恐縮だが決してふざけているわけではない。
メニュー画面、そしてプレイ中の楽曲たち。
これらに第一印象で「好き」と感じたのであれば、やがて迎える正規エンディングでは何とも言い難いクソデカ感情のビッグウェーブが押し寄せることになる。
そのくらい「音楽」が大きな要素として扱われている作品である。

「プレイによって得られるもの」
これがある種「何も手に入らない」のである。
装備も、道具も、一切手に入るものはない。
一時的に何かを手に持って移動することはあるけれど、その程度。
インベントリという概念が存在しない。
しかし、それなのに、「絶えず得られるものがある」。
それが「知識」であり「情報」である。
大昔に生きていたらしいNomaiという高度な知的生命体の足跡。
時間経過によって変容していく星々の姿。
様々な場所を、様々なタイミングで観測することによって見えてくる、星々の仕組み。
「どうやってあの中に入るのかなぁ」とぼんやり眺めてみる時間の大切さ。
観測、考察、試行。とにかくこれに尽きる。

「目的なんてなかったはずなのに」
最初に目覚めた時に言われる「発射コードを貰って来い」。
このゲームで他者に何かを指示されたのはこれが最初で最後ではないだろうか。
わけもわからず、操作も覚束ない状態で会ったHornfelsには「お前は宇宙で何をするんだ?」と聞かれるが、殆どのプレイヤは思ったのではなかろうか。
「こっちが聞きたいんですけど」と。
それなのに、途中で折れない限り、全員が一つのエンディングに向かってゲームを進めることになる。(実際はマルチエンディングだが)
エンディング到達を100%とすると、60%くらいの時点まで「進んで…いる…のか?」という気持ちで筆者はプレイしていた。
「この順番で進めて下さい」という補助が無い(実は無いわけでもない)ので、情報を整理しようにもあまりにバラバラ過ぎるのである。
探査艇の航行記録とにらめっこしている時間も長かった。
それでも粘り強く、根気よく「まだ知らないこと」「まだ行ったことのない場所」を潰しているうちに、Nomai達の物語が脳内で急速に組み上がってくる瞬間が訪れる。
そして、そのNomai達の物語と、主人公の現在おかれている状況とが、脳内で繋がる瞬間が訪れる。
ここに気持ちよさをどれだけ感じる事が出来るか。
これこそがこのゲームの心臓部かもしれない。

「ちゃんと怖い。ちゃんと難しいし、ちゃんと優しい」
別にホラーゲームではない。
しかし探査艇一つで、宇宙空間へ飛び出すのだ。
それはもう、太陽の引力に負けて溶けるし、酸素が無くなったり、地面に激突したり、とにかく死ぬことになる。死んで死んで死にまくる。宇宙がちゃんと怖い。
慣れない人にとって無重力空間での一人称視点操作は結構な難易度だろう。
それでも優しい部分もある。
酸素や燃料は宇宙服だけの話であり、探査艇自体はいつまでだって(皮肉)自由自在である。(仮説:もし22分以内に活動限界を迎える船があるならそれは欠陥品である)
我々の宇宙とは違い天体から天体へ気軽に移動出来る距離だし、天体1つも実に小ぶりで歩いて見て回れる。
難易度高めな場所への道のりなんかも、実際行き方がわかってしまえばそこまでシビアな要求をされることは、実はそんなにない。
(時間という意味で言えば「灰の双子星から太陽ステーション」や「湖底の洞窟」「太陽のない街」がシビアかもしれないが、これも理解が先立てば容易だろう)
絶妙なゲームバランスを練られているように感じるし、「あのBGM」が流れ始める瞬間に何度思ったことか「ちょっと待ってくれ!!今!?」と。

「ホラーゲームかもしれない」
ジョークなので気にしないでいただきたいのだが、ホラーを感じたところは一点ある。
木の炉辺に標本があり、燃え盛る双子星に化石があり、
闇のイバラに居る、そう、アレだ。アレに初めて襲われた時は心底怖かった。その名前もあまり呼びたくないほどのインパクトだった。あんなものには恐怖しかない。
必ずアレの空間をすり抜ける必要が生じるのだが、対処法を完全に把握している今でもアレの息遣いにはイヤホンを外したくなる。

さて、未だに未プレイのまま読み進めている人がもし居るなら、ここで引き返してプレイしてもらいたい。
ここまではやんわりした書き方にしたつもりだが本題に入ると共に、全力のネタバレに入る。
少なくとも正規エンディングに辿り着いた、ゲームクリア者向けの文章になる。





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「親愛なる先人達」
航行記録を完全に埋め、あとはのんびり実績解除していこうか。(残る実績はホットショットとビギナーズラック。ホットショット難し過ぎん?)
そんなことを思っていた時にふと思いついた。
航行記録には本当に重要な事柄のみ、しかも極端に要約されて残る。
でも、結構な人数の、そして結構幅広い世代のNomai達が居やしなかっただろうか?
プレイ中は22分間という制約に追い立てられ、読み飛ばした記録も多かったように思う。
それが気になってNomaiの記録を改めて読み直す旅に出た。(実はまだ全ては読み直せていない)
既プレイ者はご存じの通りこのゲーム結構和訳が危ういので、誤訳や誤読があるかもしれないが、とにかくメモしておく。
そして「灰の双子星プロジェクト」に関して「恐らく理解した」と思うのだが、もうちょっと上手く説明出来ないものかと自問している。
あと、時系列は割とよくわかってない。

ということで、親愛なるNomai達の物語。

眼からの信号を受け、Nomaiの他部族への報連相を怠りとにかく慌てて船でこの星系に長距離ワープしてきたのはESCALLを長とした部族である。
こっちに着いてから連絡すればいい、と思っていたら到着した先は眼ではなく闇のイバラ。イバラに船が侵食され、脱出ポッド3基にわかれて船を捨てることに。
FILIXが他部族へ救援を要請しようとするも機器故障で送信出来なかった痕跡もある。
他部族にとっては「忽然と消息を絶ち一切連絡が取れなくなった部族」となっており、その後「ESCALLの神隠し」などと語り継がれている。
神に隠されたわけでも何でもなく、自ら行方を眩ましてしまっただけである。

脆い空洞に不時着した脱出ポッド1。
FILIX、PLUME、THATCH辺り。
脱出ポッドに乗っていたイコール船に乗っていた、いわば第1世代である。
地表下に一時的なシェルターを構えたが定住は断念し、空中都市を建設することとなる。
アトルロックに眼信号探知機を建設したメンバーとかなり面子が被る。
脆い空洞における南部観測所は、アトルロックの失敗を受けて改良版を作るべく建設された。

燃え盛る双子星に不時着した脱出ポッド2。
他の場所でも名前の登場頻度が高いのはMELORAE、COLEUS、ANNONA辺りか。
全員いわゆる「師匠」クラスであるのは流し読みしていてもわかるかも。
COLEUSはMELORAEの弟子でありCYCADの師匠でもあるので第2世代とも言える。当時はまだかなり若い。
太陽のない街を作り、湖底の洞窟で量子の法則を見つけ、量子の月探知機なんかも太陽熱に苦戦しながら作った。街を作る前から既にアンコウの化石は発見していたのでこの世代で研究している。

闇のイバラから出ることの出来なかった脱出ポッド3。
ESCALL、SECCA、DIN。
PLUMEが身を案じていた兄KEEKも乗っていたと思われる。
イバラへの衝突及びアンコウの襲撃により移動系統、通信系統、生命維持系統が損傷。端的に言えば「致命傷」に他ならない。
ビーコンを頼りに船へ戻る以外の選択肢を失う。
エアー残量が僅かということもあり、重複信号のうち近いものを辿るもイバラの種の中へは入れず彼らは力尽きる。これが記録上のNomaiの墓。

誰がどのタイミングで「灰の双子星プロジェクト」を立ち上げたのかが筆者にはいまいちはっきりと見えていないが、とにかく動き出したプロジェクトの中心人物はYARROWであるように見受けられる。次点でRAMIEだろうか。
この名前を見て、そしてこれから出てくる名前を見てわかるように、船がこの星系に来てから結構な年月が経過している。船には祖母が乗っていた、この星系で私は産まれた、などという記述も散見される。
それはそうだろう、あの規模の居住地や研究所などの施設が一朝一夕で出来るわけがない。この星系での生活基盤が整ってからのプロジェクト始動である。
COLEUS、CASSAVA、DAZ辺りが年長者ではないだろうか。最年長はCOLEUSだろうか。
若い世代は眼の探索という命題に対して猜疑的であったり、ベテラン世代には流石に疲弊してしまっているNomaiも見受けられる。

ともかく、アトルロック及び南部観測所での眼探索失敗、ホワイトホールステーションでのワープタイムへの疑問、高エネルギー研究所でのPYEとRAMIEによる検証結果。これらの複合が引き金となって動き出したように見える。

順番はさておき各所で行っていた準備は以下の通り。

【木の炉辺】
灰の双子星コア部分を超新星爆発から一時的に守る為の防護殻素材採掘。
COLEUS、CYCAD、OENO。
Hearthianの祖先にあたる生命体を発見し配慮したのはCOLEUS。
空洞のランタン内でROOTがこれら素材の耐熱テストを行っている。見落としがちだが空洞のランタンにも着陸出来る場所はある。

【脆い空洞/ブラックホールの鍛冶場】
ワープの塔やワープ先に使う各ワープコア、そして先進的ワープコアの生成。
ANNONAの弟子であるPOKEを責任者としたチーム。CRALYやROOTも。ナーバスになっているPOKEの記述は覚えている人も多いだろう。

【巨人の大海/建造ヤード】
軌道探査砲の建造。作成したパーツを竜巻で周回軌道上に飛ばし、現地で完成させた。
CASSAVA、PRIVET、AVENS、MARROW辺り。
AVENSとMARROWが恋人同士、AVENSがなんとなく記憶に残っているであろう「出力上げたいマン」である。

【巨人の大海/彫像島】
記憶の像の作成。
DAZ、PHLOXくらいしか名前が出てこないがそんなに人数をかける部分でもないといえばそうかもしれない。PHLOXはPLUMEの息子。
LAMI達の名前が出てくるが、空中都市に残る子供特有の文字に比べて成長したように見受けられる。

【太陽ステーション】
ご存じ、太陽を超新星爆発させるための施設。
PYEとIDAEAの凸凹コンビがメイン。IDAEAはこの計画に賛成していないが、計画成功に向け尽力している。


そもそも灰の双子星プロジェクトとは?
あまり自信は無いがやんわりと。
①太陽を超新星爆発させる
②そのエネルギーを先進的ワープコアに注ぎワープホールを開き、22分前の軌道探査砲に発射命令
③軌道探査砲が眼を探すべく探査機を発射
④発射から22分後、再び(という認識ではない)太陽を超新星爆発させる
⑤そのエネルギーを以下略で22分前に発射命令(新たな方向へ)と探査データを送る
⑥ひたすら繰り返し続ける(繰り返していると体感する者は居ない)
⑦眼の座標が確定する(もしくは致命的な失敗を検知する)と記憶の像が起動する
⑧記憶の像とペアになった者(PRIVETなど)が探査機追跡モジュールにて眼の座標を確認、プロジェクトを終了させる。勿論太陽も爆発させない。失敗の場合は中断、調査、改修といったところか。

ざっくりこんな感じだろうか。成功(または失敗)するまで仮面(プロジェクト)は探査機追跡モジュールとだけペアになっている。Nomaiの感覚的には急に軌道探査砲を一発だけ打ったら座標が判明してた、という感じのはずだ。多分、概ね合っている筈。
最終的に太陽は無事であるというこの計画だが、この方法は倫理的に如何なものかと思っていたのがIDAEAだ。

そして既プレイ者は全員知っているように、Nomaiは失敗した。

太陽を超新星爆発させることが、出来なかった。
トリガーである超新星爆発が無ければ、プロジェクトは起動すらしない。
相当に落ち込んだものと思われる。しかしこのゲームをプレイする我々以上に、知的好奇心の塊である彼らはたまたま飛んできた彗星(侵入者)のために一旦このプロジェクトを休止。
PYE、POKE、CRALYといった女子力全開の編成で探索に向かった。
CRALYがシャトルに残り、PYEとPOKEは地表下へ。
2人はこのコア(が内包する物質)がとてつもない危険を孕んでいる可能性が高いと判断。
PYEは最後まで残り調査しようとし、POKEは仲間達にこのことを知らせようとシャトルへ向けて引き返した。

そしてその刹那コアが破裂し、のちに(Hearthianによって)幽霊物質と呼ばれるものが一瞬にして拡散。
この星系のNomaiは何の対策も打つ猶予なく、瞬く間に全滅した。
どこを探しても幽霊物質についてNomaiの記録が残っていないのはこのためである。
研究することが出来なかった。身構えることすら出来なかった。この物質を認知したNomaiはPYEとPOKEの2人だけだったのである。

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それから30万年弱という時が流れ…。
COLEUS達の見つけた生物は進化し、知能を高め、二足歩行のHearthianとなっていた。当時水の中に生きていたからか、単純に耐性が強かったのか、その両方か、ともかく幽霊物質の拡散の中で主人公の祖先は生き延びたのである。

そして太陽が寿命を迎え、自然に超新星爆発を起こす。

普通なら星系が滅んでおしまい。となるところだがNomaiの作り上げた「灰の双子星プロジェクト」がこのエネルギーを受けて眠りから目覚める。
誰にも知られぬところでNomaiの悲願だった眼の座標の特定が完了し、(プロジェクトを止める為に)記憶の像が起動する。
その時木の炉辺では主人公が、巨人の大海ではGabbroが、たまたま近くに居てペアになってしまった。ただのたまたま、だ。
そして怒涛のループが始まったというわけである。
便宜上ループと表現するが、Gabbroも言っている通り記憶を過去に送り返しているだけなので肉体ごとループしているわけではない。(マルチエンディングのヒントでもある。肉体ごとループする方法は?それが成功するとどうなる?)

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「寿命」という止めることが出来ない超新星爆発に対して主人公が出来ることは無理矢理プロジェクトを止めて(先進的ワープコアを外して)ループしないように死ぬか、Nomaiの遺志を継いで眼への到達を目指すか。
ゲームとしては眼に到達して正規エンディング、となるわけだ。(その他のエンディングを体験していないなら、まだまだ試すべきことが残っている)

Nomaiの船の航行記録を解析出来れば眼ではなく他の星系へ長距離ワープが出来たかもしれない。
ただし、船に残っている通信記録(恐らくこれが時系列としては最新)でCANNAが言うように「この宇宙が死にかけている」ということであれば逃げた先も滅ぶ可能性が高いか。
誰かに安全な座標を教えてもらうことが出来ればあるいは。
しかし量子の月でのSOLANUMとのやり取りでもわかるように翻訳ツールは「読み」専用である。
そもそもFILIXが諦めたように船は送信機能が故障している可能性が高い。

つまり、かなり詰んだ状態で主人公とGabbroは「灰の双子星プロジェクト」に閉じ込められてしまったというわけだ。

ところで本筋にあまり関係が無いといえば無いのでスルーしていたSOLANUMについて少し考えておく。
(彼女と同じ運命を辿るエンディングも用意されている)

これまで名前を挙げてきたNomaiの中では若く、絶滅当時成人したばかり。
第4世代、くらいか。LAMIと同世代だろう。
眼に近接している量子の月で主人公が出会う、唯一の生きたNomaiである。
いや、生きたNomaiと書いたがSOLANUM自身も言っているように、果たしてSOLANUMは生きているのか?
量子知識の塔にはBELLSからSOLANUMへの激励メッセージが残っている。
つまりSOLANUMよりも後に巡礼の旅に出たNomaiは居ないのではないだろうか。
SOLANUMが量子の月へ行っている間に侵入者の爆発が発生したのではないだろうか。
だとすると量子の月の南極にあるNomaiの死体はSOLANUMでは?
眼に月がある場合は不明だが、他の場所に月がある場合幽霊物質は不可避だろう。
生きたSOLANUMに会う場所も結局南極なので、これがいわゆる「生きている状態と死んでいる状態が重なっている」ということだろうか、違うか。
シュレーディンガーのSOLANUM。(言ってて意味はわかっていない)

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現状筆者が把握している物語はこんなものである。
もっと具に情報を読み、しっかりと整理すればもう少し理解が深まるのかもしれない。
取り敢えずゲームクリアしたけど全然わからんかった、という人にとってこの乱文が一助になればこれ幸いである。
そして考察と呼べるような代物になっていなくて申し訳ない。


この素晴らしいゲームの制作者に多大なる感謝を。


マキノ


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