見出し画像

随に manimani #6

知らせは不意にやってきた。

いつもコロコロ笑っていた幼なじみの友人。
当時の笑顔と目の前の表情が頭の中で重なる。

必ず戻ってくるであろう笑顔を
信じて待っていよう。

日々はめぐる。

*   *   *

近くに住むお婆さん、
ずっと遠い過去に伴侶を失い、
最近は息子も失った。

今も時折ゆっくりと一歩一歩、
ひとり畑へと坂を上る姿が美しい。

*   *   *

何十年も前、祖母が墓地に立っていた。
少し曲がった腰、細い身体、
小さな掌でお墓をつかまえ、
自身の重さを支えている。

ゆっくりと左右に首を動かし
“見えなくなった目で”
私たち親族を探していた。

深く、印象に残る情景だった。

*   *   *

父は晩年、入院中に友人から電話を受けた。
二人ともすでに耳が遠くて聞こえなかった。
少しも言葉は通じなくても美しい行為だった。

*   *   *

風の便りに聞いたこと。
何十年も前に一緒におどった仲間の青年が
住職になったらしい。
当時は大学生、自分の内側を見つめていた。

今の背中を見たい。
読経の声を聞きたい。

*   *   *

顔、姿、身体、肉体、行為・・

日々が流れる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?