マキノ惠実

2008年、街の生活から一転、農民となる。身体表現と生活の諸々を淡々と。

マキノ惠実

2008年、街の生活から一転、農民となる。身体表現と生活の諸々を淡々と。

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沈澱

繰り返す息。静かに変わってゆく身体。

      • 空っぽの重さ

        重なり合う色調 複雑な音階のよう 無音以上に静寂を導く音もある きしむ たわむ その音は空洞を孕んでいる 空っぽを孕んで 重力に沿って 流麗に響く 何故か昔から黒を好む 空洞は陽の当たらない暗がり 節 また 節 記憶のような空間

        • 生活目線 #16

          農繁期に異例の外出、兵庫県立美術館へ。『スーラージュと森田子龍』。 どうしてもその場に身体を置きたかった。静かな奥行きを湛えた作品が観る側を内的に変える。 コレクション展、白髪一雄の珍しい白い作品は近く、遠く、角度を変えて、いつまでも観ていたい身体の現れだった。同じくコレクション展では菅井汲の抽象画、1963年のアクアチントに初めて出会い、思わず佇んで時間を忘れてしまう。 日常とは異なる時間の質。 理屈抜きに好きと思える世界をたくさん心に抱え、少々足早に美術館を出て約束

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          カラダ、身体、肉体、

          4月末、グループワークの1時間前に別室でカラダならし。 目的や意義を持たず、気晴らし。 散歩のように身体を運ぶ。 カラダ、身体、肉体、と微妙に使い分けているけれど、カラダという時は本質をさておいて軽さを纏(まと)っている。肉体には重さを感じ、身体というとき無難に感じている。 散歩/身体の景色

          カラダ、身体、肉体、

          mass

          量感。 量感と粒子。 拡散。

          棲家としての身体

          「ごめんなさい   今体調不良で   明日キャンセルかも   また連絡します」 大事な約束をドタキャンしてしまった。 心拍数が上がっている。あやふやな身体でも携帯の画面をタッチすれば、正しく漢字に変換されてメッセージが送れる。 滅多に行かない病院へ向かう軽トラの助手席でよその田畑の具合を眺める余裕なく約20分の道のりをひどく長く感じた。 待合の椅子で身体を丸めて横になってしまう初老の姿を見た看護師さんが速やかに点滴室へ誘導してくれた。またたく間に、身体に細いチューブが

          棲家としての身体

          生活目線 #15

          もろとも。

          生活目線 #15

          1 / f

          ゆらぎ 不規則性に身をゆだねて 生きてる

          老舗の音

          店主の足もと 調理をする手もと 微妙な音 お湯を切る音 盛り付ける無音 外に遠く雨音 湯気と香りが温かく いただきます ご馳走様でした 手を合わせて

          随に manimani #6

          知らせは不意にやってきた。 いつもコロコロ笑っていた幼なじみの友人。 当時の笑顔と目の前の表情が頭の中で重なる。 必ず戻ってくるであろう笑顔を 信じて待っていよう。 日々はめぐる。 *   *   * 近くに住むお婆さん、 ずっと遠い過去に伴侶を失い、 最近は息子も失った。 今も時折ゆっくりと一歩一歩、 ひとり畑へと坂を上る姿が美しい。 *   *   * 何十年も前、祖母が墓地に立っていた。 少し曲がった腰、細い身体、 小さな掌でお墓をつかまえ、 自身の重さ

          随に manimani #6

          西陽 #2

          空間への身体提示(背景のダンス)

          アダージオ

          “ゆっくり”の動き。 もったりと、ゆっくり空気を動かし、身体が情景となるまで…。 無垢な背中はありえるだろうか。 空っぽな身体、ありえるだろうか。 冬と春の入り混じる如月。 帰宅すると山に漂う靄(もや)が瑞々しい匂い。 移動するバスの中や、目覚めた夜中に思い浮かぶ言葉たちは、綴るよりも前に日常の雑事に追われて消えてゆく。けれど考察できる日々は幸福である。 何か大事なことを掴みかけた時、寡黙になる。 核心とは靄(もや)が晴れて現れるのではなくて、靄(もや)のような曖

          crawl

          “這う” akiko Gotoh emi Makino