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「読書」「にきびができちゃった」「雨が降っている」をイカします! #100日間連続投稿マラソン

 イカってあの白い…?という方はぜひこちらからお読みいただけると嬉しいです(*'ω'*)


「読書」

くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡💦ピューン

7月11日(土)小雨のち曇り

 今日は、午前中に買い物を済ませた。お昼前にビビのさんぽに行った。おとなりの奥さんが畑に水をやっていてご挨拶。ミニトマト、茄子。大根が不作らしい。お昼はひとりでそうめんを食べた。ひるおびを観て(閣下が今日もかっこよかった)そのあとイタリアに行った。飛び入りで仮面舞踏会に参加してみたら、目の前で若いふたりが恋に落ちていた。なかなかのイケメンと、髪の長いかわいい女の子、まだすごく若い。舞踏会が終わって、気になって男の子についていったら、女の子の家の敷地内に忍び込んでいた…。やることなすこと全部若い。彼女は見上げるほど高いところにあるバルコニーにいて、彼は地面の植え込みに隠れながら、ふたりで話していた。お互いの苗字が変えられないだろうかとか、家がなんだとか話をしていた。女の子が終始変なことをしゃべって、なんであなたはあなたなの?って、13歳でまあ哲学的。難しい言葉をこねくり回してる。彼は彼で、喜びの言葉ばかり並べてあまり会話になってない。私はもうどうにももどかしくなってしまって、だってもう住居侵入してるんだよ、もう堂々と行くしかないじゃない。彼の近くまで行って「そんなところでコソコソしちゃだめだよ。家のチャイムを押してこんばんは、失礼します!って言ったほうが、親御さんへの心象も良いって」とアドバイスをかましたけど、彼には聞こえていないみたいだった。結局、女の子が乳母を使って返事をするみたいなことを約束して、別れてしまった。彼の背中はスキップで消えていった。丁度、夕飯をつくる時間だったので私も帰ってきた。両目がずっと上下運動をし続けていたせいか気づいたらすごく痛かった(旦那の目薬を借りる)。夕飯は面倒なので、またそうめんにしたら旦那が寝る前になってもまだ文句を垂れている。








「にきびができちゃった」

くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡💦ピューン

 美咲がずっと手で口を覆っていた。朝礼の時間も、現代文の授業中も、体育の準備体操が始まっても、右手はずっと顔にくっついたままだ。中田先生が美咲のところまで行って、耳元で何か言ったあと右手をどけようとした。彼女は激しく首を振って、二列となりの私のところまで走って逃げてきた。先生の尖った声。美咲は私の背中で小さくなってしらんぷりした。あいつらが冷やかした目で見ている。

 

 更衣室から帰ってきたのは私が一番だった。

 窓をすべて閉め、エアコンのスイッチを入れる。次の数学の教科書を出す。暴れていたカーテンが静かになった。ぽつり、ぽつりと人が戻ってきて、教室が少しずつにぎやかになる。あいつらは塊になって帰ってくると、エアコンの風がよく当たるロッカーの上に腰かけた。

「あいつどうしたん?」大きな声でひとりが言う。

「めっちゃ逃げてたじゃん、あれはやばい」とひとり。

「気持ち悪そうな感じだったね」ともうひとり。

「まさかとは思うけど」最初のひとりが笑いながら言う。「あいつ妊娠してんじゃね?」

 私は勢いよく立ち上がる。

 反動で椅子が倒れ、大きな音を立てた。会話が中断される。

 ロッカーの前を足早に歩き、教室を出る。両手で閉めたドアの、また大きな音。廊下の空気は教室より涼しくて、もっと爽やかで甘い。窓が開け放たれて、葉桜が風に揺れていて、雲が流れていて、いっそこの窓枠を蹴って飛び出したくなる。中田先生が角を曲がってこちらへ歩いてきた。私と目が合うと、近づいてきて「ねえ、美咲さんって・・・」私は小さな会釈を返して走り出した。うるさい、うるさい、みんな、うるさい。

 美咲は、更衣室の端に座り込んでいた。右手はまだ口元にある。私に気づくと、左手を振った。

「どうしたの、それ」

「何もないよ」美咲の声がいつも以上にくぐもっている。

「気分が悪い?」

「ううん、元気」

「じゃあなんで?」

 美咲はしばらく黙った。

「あのね、」大きな黒目が私を見つめる。「できちゃったの」

「え?」

「チョコレート食べ過ぎたみたい」

 右手がどけられる。いつも通りの厚い唇と、白っぽい肌と、頬の真ん中に赤い小さな斑点がひとつだけあった。

「え、それだけ?」

「うん」

「それでずっと隠してるの?」

「だってほっぺの真ん中なんてめっちゃ恥ずかしいじゃん!初めてなんだもん、もうすっごい嫌!朝からテンションめっちゃ下がったよ、だってこんなところに、もう絶対あいつらに何か言われるじゃん!」

 美咲は叫ぶみたいに話して、目を潤ませた。足をじたばたさせてロッカーに当て、音を立てる。

 私は着替えの袋から使い捨てのマスクを取り出してきて、彼女に手渡した。美咲は手を叩いて喜んで、私に抱きついてくる。香りが甘くて、湿っぽい花みたいだった。頭上で4限開始のチャイムが鳴った。

「ここ揉んで」

 美咲が右腕を差し出した。

「休み時間にね」

 私はそういうと、彼女を立たせて一緒に更衣室を出た。








 


「雨が降っている」

くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡💦ピューン

 私の部屋で一晩寝ていた姪っ子は、目覚ましよりもずいぶん早く起きてすぐに出窓へ直行した。カーテンを開けるように注文する。ご注文どおりにすると、彼女は身を乗り出して、そして泣き出した。姉がやってきて、パジャマを着がえさせ、母が(鼻歌で)用意した朝食を食べるようにうながした。たこさんウィンナー、甘い玉子焼き、ミニトマト、豆腐とわかめ(彼女の大好物らしい)の味噌汁、スプーンをかちゃかちゃやっている間も彼女はずっと目を潤ませていて、いただきますもごちそうさまも言えずしまいには姉に叱られて床に突っ伏してしまった。

「ごめん、私が公園行くって約束しちゃったから」

「いいのいいの、ほっといて。全部は思い通りにならないっていういい経験だから」姉は皿を洗いながら笑った。

 姪っ子は顔を赤くしたまま布団に転がっていた。大きなリボンがいくつもついた水色のスカートが太腿までめくれている。姉が結ったおさげは見事に崩れてしまった。

「愛ちゃん、残念だったね」

「いや!」

「でもさ、ほら、このスカートが濡れちゃったらいやでしょ。だからおうちで遊ぼうよ。このリボンがすごくかわいいね」

「いや!」愛ちゃんは向こうをむいた。

「お絵描きしようか?実はね、お姉ちゃんはいろんな種類のペン持ってるんだ」

 私は机の下から秘密の箱を引きずり出した。コピックのセット、細い色鉛筆、星型のハンコ、動物の絵のシャチハタ、ラメ入りのペン、一本で七色描ける不思議な鉛筆。姪っ子はのそのそ起き出してきて箱をのぞくと、コピックのRV25とラメのペンを選んだ。

 コピー用紙はみるみるうちに華やかになって、しかしすぐに捨てられて新しいものが出される。私も紙を一枚取り出すと、久しぶりに、星のハンコを押してみようかと手を伸ばした。

「だめ!あいちゃんの!あいちゃんがつかうからさわっちゃだめ!」

「愛!!!」

 台所から姉の声が飛んできた。姪っ子がまたびしょ濡れになった。







 #100日間連続投稿マラソン 8日目でした!お付き合いいただきありがとうございました(*'ω'*)

 イカ変態同好会のみなさんとのお話しが楽しすぎて、ずっとTwitterに貼りついていたらマラソンのほうが全然進みませんでした。危なかった(/・ω・)/

 イカって本当に、作者によってぜーーーんぜん違いますね。改めてその面白さに気づきます。小説のように書いてくださる方もいれば、四文字でガチッと表現される方もいて、イカって本当濃いなあと感じました(*´▽`*)noteの一部でイカが流行ってるよとおっしゃって下さる方もいて、めちゃ嬉しいです。。たぶん、はまってくださったみなさんの中にはイカ変態性が潜在していたんだと思います(*'ω'*)ウホホ

 こんな勢いだけの企画を面白がってくださったみなさん、本当にありがとうございます!大好き!!

 イカ変態同好会は再来週の日曜日まで生きてます!両腕両足おっぴろげてご参加をお待ちしております🦑🦑🦑

 では、また明日お会いしましょう(*´▽`*)


サポートをお考えいただき本当にありがとうございます。