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「梅干し食べた」をイカします! #100日間連続投稿マラソン

 今日は個人的な感想さん からいただいたお題をイカします!個人的な感想さん、ありがとうございます(*´▽`*)




「梅干し食べた」

くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡💦ピューン

「かよ、見てみい」

 朝ごはんを食べていたじいちゃんがそう言うので振り向くと、じいちゃんは口を「い」のかたちにしてこちらにあごを突き出していた。上の歯と下の歯の間に、何か大きなものが挟まっている。近づいて見てみると、それはゴツゴツして、褐色で、樹木みたいな肌をした何かで、じいちゃんの白い歯にがっちりと捕まえられて動かなかった。

「なあに、それ」

「これは宝物なんだぞ」じいちゃんはそれを吐き出して言った。「見た目はただの種みたいでも、割ってみると中に宝石が入ってるんだよ」

「本当?」

「じいちゃんが嘘を言うか。いいか、ものによって入っている宝石の色が違うんだ。じいちゃんが見たのは、ルビーと、それからエメラルド」

「嘘!」

 かよは宝石のことはあまり知らなかった。ルビーは保育園の友達とやるしりとりの中でよく聞くし、エメラルドは竜巻に飛ばされて魔法の国に行く女の子の絵本で出てくる。でもどちらも本物を見たり触ったりしたことはない。去年の夏、プールの帰り道に落ちていた淡い青緑色のダイヤモンドは、ポケットに入れて大切に持って帰ったのにお母さんに捨てられてしまった。

 じいちゃんは最後の玉子焼きを口に放り込むと、味噌汁も一気に飲み干した。かよはさっきの宝物を触ってみた。ざらざらで、まあるい曲線、尖っているところが少し痛くて、やっぱり木の仲間みたいだ。ばあちゃんが新聞を取りに来て、「あんまり触るんじゃないよ、汚いね」と言って去っていった。

「じいちゃん、宝石みせて」

 かよがそう言うと、じいちゃんはワカメがこびりついたお箸で、小さな瓶の中から何かをつまみだした。赤みたいな茶色みたいな、変な色をしたしわしわの動物の赤ちゃんみたいなもの。ぽつ、と一滴汁が垂れる。

「この中に、それと同じのが入ってるんだ。食ってみい」

「じいちゃんのこれ開ければいいじゃん」

「だめだめ、それはじいちゃんのだ。ほれこっち来い」

 かよはじいちゃんのそばまで行って、目をつぶって口を開けた。お箸といっしょに、ひんやりとした空気が入ってくる。じいちゃんの掛け声で、舌に重みが乗った。

 その瞬間、目の前に白い星が飛ぶのが見えた。

 かよは背中から床に転げた。

 足が勝手にじたばた暴れる。両手が頬を叩く。視界がにじんだ。それでも我慢できず、床に吐き出す。赤い塊はかたちを崩して横たわった。じいちゃんが手を叩いて笑う。その声は天井まで響いた。かよは仇の太腿を蹴飛ばした。笑い声が止まらない。手の震えが止まらない。ばあちゃんがやってきて、仇の頭をはたいた。

「あーあ、これでもうじいちゃんのこと大嫌いだ、かよちゃん」ばあちゃんが床をティッシュで拭いてくれた。

「そんなことないよなあ」

「いや、もう嫌いだよ。ねえ、かよちゃん」

 かよは窓のほうを向いて涙を拭った。いつまでも泣いているので、ばあちゃんが濃いカルピスをつくってくれて、それをたらふく飲んだ。







 #100日間連続投稿マラソン 19日目でした!お付き合いいただきありがとうございました(*'ω'*)

 梅干しとの出会いってみなさんいつ頃でしたか?わたしはすごく遅くて、たぶん高校生くらいで初めて蜂蜜入りのを食べて悶絶した記憶があります…。あと、寮母さんにひどい口内炎のことを相談したら、「梅干しを貼っといたら治る」と言われて、実践して発狂しました。めっちゃ腫れました。おすすめはしません(*´ω`)

 急に梅干しトークをしてしまいました。

 それでは、また明日お会いしましょう(*´▽`*)/ 

 

 

 




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