【セルフライナーノーツ】#2.カッコワライ【「 」】
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【セルフライナーノーツ】#0.プロローグ【「 」】
【セルフライナーノーツ】#1.Twinkle【「 」】
毎週更新のペースなら全然いける!を目指して日々少しずつ書き足していくスタイル。怒涛の制作ラッシュも落ち着きつつあるので(まだ4曲ぐらい同時に動いてますが…笑)、今月はマジで仕事の進行を前のめりにコントロールするのが目標だ。
CDご購入はBASEのOnline Store「万貴音屋」から。よろしくお願いします。
決して損はさせませんぜ。
「カッコワライ」楽曲クレジット
作詞:小田貴音 作曲:小田貴音 編曲:万貴音
【楽曲解説】
極めて危うい音のバランス感覚でパッケージされたファンク/ロック楽曲。ひと歳取って俯瞰してみると、現代(当初)のメール文化にいちゃもんつけてるおじさんみたいですね。。笑
現在日常的に使っているLINEなんかは、カテゴリで言うと「メール」というよりは「チャット」なんだそうです。直接会って話をしてるのと同じように、一言二言をキャッチボールしあうような。対して、メールはタイトルがあって、ある程度整理された本文(内容)があって、内容に付随するデータが添付されていて、といった印象。
それぞれ自分なりの、あるいは状況に適した使い方をすればいいんだと思うんですけども、当時の自分は手軽になってラフになったやりとりに、何かが鼻についたんでしょう。笑
自分はiPhoneユーザーなので、デフォルトのSMSサービスで「メッセージ(iMessage)」があります。いわゆるショートメール。これ、今も入力画面は件名と本文で分けて入力できるようになってる。作詞作曲した当初は、届いたメールに返信すると件名に自動で「Re:」が追加されてましたよね。余談ですが、返信のことを「レス」と言ってたけど、「Re:」は「レスポンス」ではなく「リプライ」らしいです。
しばらくやりとりしてると、件名が「Re:RE:Re:RE:RE:RE:Re:Re:R」みたいなことになるわけです。字数制限に引っかかって端っこ切れてる感じの。
いっぱいお話したんだな、と思っても良かったんだろうけど、なんとなくこの「何について話してるんだっけ」っていう中身のなさや雑な感じに引っかかって、そこから生まれた曲(歌詞)です。
と、もう一つ引っかかってたのが、語尾につける「(笑)」という表現。これ、確か初出は何かの雑誌の対談記事じゃなかったかな。「あなたの言うこと面白いね」、あるいは「自分いま面白いこと言ってます、笑いながら喋ってます」というニュアンスを添える、括弧笑い。
前提として言っておきますが自分、今も昔も頻繁に使ってます。笑
その上での物言いというか皮肉だし、なんなら自分の文章見返して思う方が多いですが…
でも今俺ほんとに笑ってんのかな?相手はどうだ?と、今でもたまに気になることがある。この類の文字ってほとんど手癖のようなものだと思うんですよ。そこまで気にする必要なんて、ほんとは無いんだろうけど。
離れていても気軽に繋がってやりとりできる、というメール/チャット機能の便利さを自分も享受して生きてるけど、ふ、とそのやりとりの意味(中身)はあるのだろうか、と感じたことを、ある一面として書き留めたのがこの「カッコワライ」という楽曲です。
どうです、俺めんどくさいでしょ?笑
でもたまーに、当たり前のことを分解したり俯瞰したりすることも、意味はなくとも面白いんじゃないかなと思います。「呼吸のしかた」とか、「右手の上げかた」とか、そういうのをわざわざ考えてみるのに近いというか。
そんなの言わなくていいのに、ということは本当によくあります。他人に言わなくていい、を知らないと多分とても損をする。ただ、作品にして吐き出すことはいいんじゃないかな、と思います。これはそんな曲。
【音の解説】
隙間とトリックの多い、ややハイスピードなファンク/ロック。楽器の編成はシンプルにドラム、ベース、エレキギター数本、オルガン。そこにDTM環境になって使えるようになったデジタル楽器やサウンドエフェクトを実験的にちりばめて構成されてます。
若干変則的なビートのドラムに乗せて、隙間でベース、オルガン、ギターがあまり重ならずに飛び出したり引っ込んだり。コード感も最小限、これは小田・万貴音楽曲では結構珍しい「引き算」です。プリミティブなファンクとかR&Bを自分なりにイメージしてみたものの、実際どう受け取られただろうか。
メロディラインもメジャー音階なのかマイナー音階なのかかなり曖昧。機能的には「ブルースノート」なんだけど、半音で浮いたり沈んだりしてるって印象の方が勝ってる気がします。今ならもう少し整理して聴きやすくできたかもしれません。笑
不安定な平歌をしばらく引きずった後のサビで、いきなりギターはディストーションサウンドに切り替わり、スクエアなビートとリフのロックに変化。ボーカルも歪みのエフェクトを。この変化、落差をやりたかったのが制作時の一番のキモでした。こういった大きな改造はそれまでの制作環境ではなかなか出来なかったことなので、とことん実験してみた感じですね。
これは明確なお手本があって、Jamiroquaiの「Black Devil Car」です。
このスリリングな落差を自分でもやってみたかったのだ。
2サビ終わりのCメロ〜間奏部分はさらに雰囲気を変えてスペーシーな異空間に。ボーカルにはケロケロエフェクトが入ってたり、特にギターソロの部分はデジタルドラムとエフェクトの影響も含めてカオスなブレイクビーツ的になってたり、やりたい放題。当時の俺の頭の中どうなってたんでしょう。笑
と、まとまりの良さや聴きやすさ、ポップさをある程度犠牲にして、DTMで新たに出来るようになったことや思いついたアイデアを尖ったまま剥き出しにしてみたのが「カッコワライ」の全景です。この子、問題児。笑
最後にコードについて。普段は結構コード感やハーモニーを重視した楽曲作りをすることが多いんですが、「カッコワライ」のコードはCメロ以外全部「E」です。なんならCメロも「D、E」だけ。ワンコードでどこまで楽曲に変化をつけられるか、という実験も。こういうとこ、スガシカオさんとかめちゃくちゃ上手いんですよね。
【あとがき】
思春期バリバリのやんちゃな問題児、「カッコワライ」。こいつはライブでバンドスタイルでやると相当モテそうなポテンシャルを持っている、と親としては感じております。笑 サビに入った時とか相当気持ちいいだろうな。
今の自分の技術と感覚でリメイクしてみたらどうなるだろう、と思う曲としてもかなり上位ですかね。当時の精一杯の青さと熱さを感じていただけたら嬉しいです。
次回は「#3.寝癖」を解説します。アルバムのリード曲にもなる、4つ打ちポップロック。どうぞお楽しみに。
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