初音ミク曲の歴史①~初音ミク黎明期~

↑前回の記事です。今回はこちらの内容が前提の記事になりますので、宜しければご一読ください。


こんにちは。2007/8/31からの初音ミク中毒者のまきなLv39です。もうそろそろミクが世に登場してから13年ですね。本当にめでたい。愛でたい。かわいい。13年たってもこのかわいさは変わりません。

本日の本題ですが、初音ミク誕生直後のカオスな時代について語ろうと思います。まず、ぼくが使う「黎明期」という言葉を明確に定義させていただくと、初音ミク生誕(2007/8/31)から「みくみくにしてあげる♪」投稿(2007/9/20)までの約3週間ほどの期間を指します。というのも、「みくみくにしてあげる♪」が大量の新規リスナーを呼び込むきっかけとなり、ボカロシーンに新たな流れが確立された指標となるためです。事前にネットでいろいろと調べていたのですが、この時期について詳しく解説している記事が見当たりませんでした。みくみく以前はほぼ人がいなかった状況なので仕方ないといえば仕方ないのかもしれません。

では、もう少しだけ時間を巻き戻してみたいと思います。初音ミク発売前のDTM界隈は1つの問題を抱えていました。それは何だったか。少し想像されてから下へスクロールしてみてくださいまし。










その答えは何かと申しますと、

「歌モノの自作曲を作るためのハードルがものすごく高かった」

ことなのです。前回の曲紹介を見ていただけた方ならお気づきかと思いますが、確認した限り歌モノはございません。(声ネタが入っている曲はありますが)

そもそも自作曲を歌ってくれる人を探すことが大変で、かつクオリティの高い人となると輪をかけて大変でした。探し当てたところで次に録音して、声を取り込んで、加工して…その作業も現在ほど楽ではありませんでした。またVOCALOIDとしてはすでに「MEIKO」「KAITO」といった先輩方が存在しましたが、リスナー側からはあまり注目はされていませんでした(初音ミクほどの完成度ではなく聴き取りづらい、またキャッチ―な曲に向いているタイプではない、というのが大きいんじゃないかと思います。またMEIKOは当時のソフトとしてはヒットした部類であることは付記しておきます)。それらに対する1つの解として期待されたのが「初音ミク」。当時のDTMerの方々はミクのページに掲載されていたデモソングを聴くことで、その期待値がより高まったのではないでしょうか。かくいうぼくも、初めて聴いた初音ミク曲はこのデモソングです。

懐かしいですね。

そしてミクと切っても切り離せない関係になったのが、爆発的な人気となった「ニコニコ動画」。当時のニコ動の様子は下記の動画をご覧くださいまし。

この新たなプラットフォームに、我らが初音ミクは参戦していくことになります。当時もオリジナル曲で大盛り上がりだったんだろうなあ…と思われているそこのあなた。とんでもございません。

初音ミク発売当初は「オリジナル曲」なんて影も形もありませんでした。

では何が投稿されたかというと、ほとんどが既存楽曲のカバー曲(もしくはそこから派生したネタ曲)なのです。ニコ動で「初音ミク」タグを選択して「投稿日時が古い順」でソートをかけると一目瞭然かと思います。オリジナルよりもカバー曲が選択された理由としては、「単に注目されやすい」「みんな知っている曲だから触れてもらいやすい」「歌手と初音ミクの比較がしやすい」辺りではないでしょうか。初音ミクのポテンシャルを手探りで模索しつつ、また時としてネタとして扱われ…そのような立ち位置でございました。その中でもカバー曲として代表的なのが、皆さんご存じかと思われるアレです。

初音ミク=ネギという図式を定着させて、「はちゅねミク」を生み出した伝説の曲ですね(井上織姫さんごめんなさい←)。ニコ動の流れにうまく乗っかった曲とも言えます。ぼくは実はネギ嫌いだったのですが、初音ミクのおかげでネギが食べられるようになりました!愛の力は偉大ですね!!

そして発売から1週間ほど経ち、オリジナル曲も徐々に投稿されるようになりました。ニコ動で確認できる最古のオリジナル曲は下記。

ただ、カバー曲全盛時代でしたので、オリジナル曲という存在はそこまでウケたわけでもありませんでした。一部のミク好きが確認したくらいでしょうか。

以下は現存する最古の殿堂入り曲ですね。こちらもいきなり殿堂入りしたわけではなく7か月ほどかかっているそうです。(ニコニコ大百科から引用)

という具合に、オリジナル曲を取り巻く環境というのは厳しい、と言わざるをえない状態がちょっとの間だけ発生することになります。

その状況が一変したのが2007年9月13日。「みくみくにしてあげる♪」発表のちょうど1週間前ですね。オリジナル曲への認識を一変させた、間違いなく初音ミク史の1ページに刻まれるであろう曲が発表されます。その曲は…

「恋スルVOC@LOID」

個人的に初音ミクの歴史を語る時に「絶対に外してはいけない曲」だと思っているんですが、取り上げている人ってかなり少ないんですね。取り上げられていたとしても、2・3行ほどで軽く流されたりとか。なので

ぼくがこの曲の魅力をたくさん語ろうじゃないか!!

まずこの曲が成し遂げた功績を箇条書きで記載します。


・「初音ミク」という未知のツールが発売されてから僅か2週間での発表

・にもかかわらず、当時にしては異次元レベルの歌唱力を達成。「初音ミク」の持つポテンシャルを存分に知らしめる切欠となった

・「たとえオリジナル曲でも、しっかりと作り込めば評価される」という土壌を作り上げた

・初音ミクアイドルブームの火付け役となった

・ボーカロイドオリジナル曲としては最古のニコ動ミリオン達成済み曲…のはず(達成順としては7位)

・ボーカロイドオリジナル曲として、初めてニコニコランキング動画に掲載された(39位←)


特に当時のニコ動は多数のネタ動画に満ち溢れており、これらのネタ動画を押しのけて「純粋なオリジナルの楽曲」がランキング入りしたというのは、まさに快挙といっても過言ではないでしょう。ニコニコ動画におけるボーカロイドオリジナル曲の道を切り開いたパイオニアともいえる曲、それが「恋スルVOC@LOID」なのです。この曲が世に出なかったら、もしかしたら初音ミクはそのポテンシャルを十分に示すことができず、ブームは短命で終わっていたのかもしれない…そんな気さえします。ぼくが初めてこの曲を聴いたとき、「初音ミクについに夜明けの時が来た」と思いました。ガチで。本当の意味でミクガチ勢になった瞬間かもしれません。やったぜ。

そしてその1週間後、もはや語るまでもない曲が世に出ます。

この曲についてはもはや説明不要でしょう。この曲をきっかけとして、ボカロ界隈にたくさんのリスナーが集うことになります。

「ボカロオリジナル曲が評価される土壌ができた」「初音ミクに興味を持った人がたくさん増えた」この2点を起点として、初音ミク、そしてボカロの歴史は新たなステージに踏み出すことになります。ここをきっかけとして、ボカロオリジナル曲を楽しむという行為が普通に行われるようになるわけですね。

というわけで次回はこれ以降からメルト爆誕までの内容を書くと思います。ただ書くのは明日ではなさそうな気もするので、気長にお待ちいただければ幸いです…。本日も駄文長文にお付き合いいただきありがとございました。

最後に、ぼく一押しの初音ミクカバー曲を紹介して終わろうと思います。

ミクの声がとてもかわいいですね。えっ、聞こえませんか?そうですか…。

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