拾得物は闇の理事長
今回はゆるっとしょうもない話。
落し物、世の中にはたくさんありますね。
傘、スマホ、財布、定期入れ…
かつて築地場外市場では市場の性質上、落し物掲示板の内容が食べ物だらけだったとか。
そんな生活に身近な存在である落し物ですが、先日は私も風変わりな落し物体験をしたのでご紹介。
それは秋風心地よい夜のこと。
親友とお酒を嗜み、私達は心地よく帰路へ向かっていました。
「今日も楽しい時間だったね、夜風も気持ちいいしさぁ。」
ほろ酔いで親友に話しかけると、彼女の顔は神妙に。
「槇、あれさ。でかいゴミ袋が落ちてない?」
指をさした数m先の道端に茶色い膨らみが。
近づいてみると、ゴミ袋ではなくうつ伏せになった体格の良いおじさまを目視確認。
「ゴミ袋やない!人や!これは…アカンやつや!」
エセ関西人語が発動し、おじさまへ声をかけると自宅前で転び、掴まるところもない為うまく立ちあがれずにいたとのこと。
両手に持っていたレジ袋から商品が散乱しています。
幸い頭を打った様子や意識障害もなく、手足も問題なく動かせていたのでゆっくり起こすと、自力でなんとか歩けるレベル。
色々話し、独居の彼を徒歩1分のマンションまで荷物を持ち、腰を支えながら同行することに。
「そこ、私の家や…」
おじさまの住まいと親友の住まいはまさかの階数違い。
偶然なのか必然なのか。
これがもう少し若い男性だったら何かが始まっていたシチュエーション。
だが隣に立つのは、膝周辺の布がダメージジーンズ化した妙齢メンズだ。
同行中、だんだん元気になってきたおじさまは饒舌に。
「実はね、私はあのマンションの闇の理事長なんですよ、フッフッ」
耳を疑う私達。
経験上、様々な質問の経緯を踏まえると認知症ではない。
しかし冗談にしてもジョークレベルが高度すぎて笑えない。
闇の理事長ってなんぞ?
デュエルカードゲームのラスボスか?
トラブルを避ける為、「相手の話を否定しない」そう心に決めて相槌を打つ私達。
玄関前まで付き添い、扉を開けるとそこには…
骸骨とカラスが飛び交う部屋 ではなく、ありとあらゆる場所に山積みの新聞紙が。
闇の理事長、片付け下手か。
その部屋「火の用心、マッチ一本で大火事の元」だぞ。
「いやぁありがとうね!ちなみに私は本当に闇の理事長だからね!」
謎の念押しをして室内に消える彼を見送り、扉を閉める。
「すごい…濃い時間だったね…」
親友の部屋で暫しの徒労感を共有。
親友がバッグを手に取ると「知らないスマホ入ってる。これってまさか…」
闇の理事長phoneをどさくさに紛れ荷物整理の時にinしてしまった私達。
も、戻りたくない。またあの闇部屋に…
意を決し玄関前まで向かい、新聞紙入れにそっとスマホを戻し、脱兎のごとくその場を離れる。
ついさっきまで楽しいディナーだったのに。
締めのデザートが重い、重すぎるよ…
後日、闇の理事長は元気に近所を散歩していたと親友から報告を受けました。
昼間も活動するんかーい。
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