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地域CLが、怖い。

金曜日の午後。

2日後に迫った甲府戦を前に、ためていた課題を一気に片付けるべくPCを開き、片手にスマホで何かBGM代わりになるものはないかとTwitterをザッと見ると、フォロワーさんの「アルティスタ浅間の地域CLがYoutubeで放送されるらしい」という呟きを見つけた。

正直、チーム名は知っていても実際の試合は一度も見たことがない。ただ下部カテゴリーとはいえ、長野県のサッカーチームである。「いっちょ見てみるか」という軽い気持ちでYoutubeを開き、課題のおともとして視聴を開始する。

開始10分で、吐きそうな感覚に襲われた。怖い。対戦相手の十勝スカイアース含め、とにかく怖いのだ。

「ドガッ!!」「ボコッ!!」というボールを蹴る音。「レフェリー!」と怒声をはらみながら聞こえるコーチの声。「ここ集中!!90分通してマネジメントしよう!」という選手同士の声。そしてそれがよく聞こえる無観客のスタジアム。極め付けは11月の冷たい秋風。

これらが渾然一体となってYoutubeの画面に醸し出す雰囲気。それは、僕が今まで見てきた山雅の試合、もっと言えばJ1・J2・J3のどの試合にもなかった異質なものだった。

サッカーを見ているというより、まるで生死を賭けたノーガードの殴り合いを見ているようだった。

前半の飲水タイムを告げる主審の笛が聞こえると同時に、僕はYoutubeをそっと閉じた。

あの怖さはいったいなんだろう。勝利を追い求める選手・コーチの狂おしいほどの熱量が、応援というフィルターを通さないとこんなにもダイレクトに届くのだろうか。もしかしたら「応援」という道具を使って初めて、僕はサッカーを「楽しむ」という観点から見ることができるんじゃないだろうか。

試合は0−0の引き分けだったようだ。アルティスタが勝てなかったことを残念に思う一方、あの激闘なら0−0という結果は妥当だろうと、ある意味納得する自分も確かに存在した。

山雅は、J参入以前に地域CLを闘っていたらしい。その時の雰囲気も、今日僕が感じたものと同じだったのだろうか。「生きるか死ぬか」。この言葉がぴったりな、地獄のトーナメントを生き残ってきたのだろう。

アルティスタをその当時の山雅に重ね、今の山雅にそのころの「怖さ」がないと素直に感じたのも、また事実である。

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