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最期の手紙

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もし、この言葉があなたに届ける最期のものだとしたら、私は何をここに綴るだろう。
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【立秋】蒙霧升降 (ふかききりまとう)

ワクチンを打ってきた。 それは自分でも意外なことだった。当初私は「しばらく様子をみてからでないと怖い」という考えを持ち、少なくとも数ヶ月は見合わせようと思っていた。 しかし、知り合いのお医者さんが発信する日々の記録を目にするにつれ、そして医療の現場に近いところでお仕事をされる方から、行き先を見つけるのに何時間も立ち往生する救急車の話を聞くにつれ、考えが変わってきた。直接の知り合いにコロナに感染した人たちも増えてきた。家族を亡くされた方もいる。 ワクチンの接種については、

9月最初の日曜の手紙(2018年、O君へ)

おはよう。9月最初の日曜の朝だね。どんな時間を過ごしてる? この前ちょっと話した「インタビューして記事にするようなこと、また始めたい」って言っていたこと。ひとつ方法を見出しました。 それは「最期の手紙」というコンセプトで言葉を綴ることです。 具体的な人物に向けて、まるでその人のためだけに書くような気持ちで言葉を綴る。それも、もしかしたらそれが最後にあるかもしれないっていう気持ちを込めて。それって、取材するのとはまったく別のベクトルから、人を描き出す行為になるのではないか