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金沢、紅葉めぐり 〜黄變つ(もみつ)〜

金沢は、この時期、どこも紅葉で艶やかです。

「紅葉」は、日本では古くから親しまれてきました。
奈良時代の『万葉集』にもたくさん詠まれています。例えば、

わが屋戸に黄變つ(もみつ) 鶏冠木(かえるで)見るごとに妹を懸けつつ戀ひぬ日は無し

もしかして、もみつって?と思いませんか。
そう、この色が変わるという意味の動詞「もみつ」が、「もみじ」の語源です。

そして、平安時代の『古今和歌集』には、

見わたせば 花も紅葉もなかりけり 
 浦のとま屋の秋の夕ぐれ          (藤原定家)

とあります。
この歌自体は「わびさび」を詠んだものですが、花と紅葉が並列で扱われています。
花と同格で紅葉が美しいとされてきたということです。

さて、金沢、さすがに万葉や平安のお庭はありません。
でも、江戸時代からのお庭はいくつもあります。

お庭の他にも、街中の通り、公園、卯辰山と市内のいろんな場所で紅葉が楽しめます。
見ていきましょう!

1. 兼六園

日本三大名園のひとつです。
金沢城のお庭として、つくられました。

雪吊りと紅葉が一緒に見られます。
早朝開園であまり人がいないうちに、朝日を浴びる霞が池のまわりを歩くのがおすすめです。

金沢では、けっこうどんよりした日も。
でも、曇りの日には曇りの日のきれいさがあります。

霞が池と反対にある山崎山も、もみじが多いので、余裕があればそちらも回ってみましょう。

紅葉の期間中は、夜もライトアップされ、開園しています。週末には人が多いですが、食後のお散歩に最適です。

繁華街の香林坊から兼六園へ向かうと、しいのき迎賓館の手前で、アメリカ楓の木立があります。
ここも、プチ紅葉スポットです。

2. 松風閣庭園

江戸時代につくられた池泉回遊式庭園です。

江戸時代、加賀藩には、加賀八家という家老級の重臣の家が八つありました。
その筆頭が、本多家です。
五万石だったので、小さな藩の大名より多い石高です。

松風閣庭園は、加賀ハ家の庭園のうち唯一残っている貴重なお庭です。

すぐ後ろには、鈴木大拙館もあるので、そちらも立ち寄ってみましょう。

3. 卯辰山  

ひがし茶屋街のすぐ後ろにある小高い山が、卯辰山です。
登っていくのに普通の道路もありますが、細い道もあります。

山全体にもみじが多いので、歩いてたまに上を見上げるだけでももみじシャワーが浴びられます。

見晴らし台もあり、ここはお花見スポットでもあります。

市街地から近く、お城まで見渡せてしまうので、江戸時代には入山規制がされていました。
次は、そのお城付近です。

4. 金沢城公園

今月14日には、光の友禅流し、提灯を持って園内をみんなで歩こう!というイベントがありました。

提灯の色が、時間によって変わっておもしろく過ごせました。

ただ、提灯に注目しすぎて紅葉を写すのを怠ってしまいました。出直しです。

お城の敷地なので、金沢城公園はかなり広いです。
兼六園となりの橋から渡ったところから、反対側にある近江町市場の近くまであるので、入るときには気をつけましょう。

大手門から入ると、10月桜が咲いていて、紅葉と桜を合わせて見ることのできる珍しい場所があります。

お堀の石垣のところは、これまたお花見スポットでもあります。

5. 尾山神社神苑 

尾山神社は、和洋折衷で、ステンドグラスの入った神門が有名です。

この門を見て、お参りをして、満足して帰っていく人が多いですが、お庭も見逃せません。

いくつかある橋の上を歩くこともできます。池を上から見ると、それもまたもみじが華やかでいい景色です。

尾山神社のお庭については、こちらをどうぞ。

6. 天徳院

加賀藩前田家に嫁いできた珠姫ゆかりのお寺です。
徳川家康の孫だったということもあり、山門から立派です。

通常の天徳院山門

残念ながら、令和5年まで山門は修理中なのでその凛々しい姿が見られません。

現在修理中の天徳院山門

回廊を歩くと、お庭の紅葉が16羅漢の写真に映り込んでいます。

回廊からお庭へ出ると、真っ赤なもみじが。

山門の方を向くと、こちらもきれいです。
山門修理が終われば、なおいい景色になること間違いなしです。

※お庭訪問だけでなく、ちゃんとお寺に参拝をしています。

7.  紅葉豆知識 〜黄變つわけ〜

秋に温度が下がると葉っぱの色が変わるというけどなんで?と思ったことはありませんか。 

わたしも、突然気になって調べました。
そもそも葉っぱの緑色は、小学生の時に習った葉緑素の色です。

植物は、秋になると冬に向けて活動停止モードに入ります。
そして、葉っぱに水や養分が行かないよう葉の根元をブロックします。
ここまでは、黄色も赤色も同じです。

(黄色)
葉に残った葉緑素をエネルギーとして分解するため、葉緑素の緑色に隠れて見えていなかったカロテノイドという黄色い色素が目立ってきて、黄色の葉が完成です。

(赤色)
葉に残った葉緑素を分解する前に、アントシアニンが作られ始めます。
(その仕組みはまだはっきり解明されていません。)
アントシアニンは、ポリフェノールの一種でブルーベリーにも含まれている成分です。
このアントシアニンが多くなると、もみじのような赤色の葉が完成です。

ここで、食い意地が張っているので、ポリフェノールなら抗酸化作用もあるし、もみじは健康で美味しいのかもと思いました。

ありました。食べられるもみじ。
大阪の紅葉の名所、箕面の滝では「もみじの天ぷら」が売られていて、甘味があって美味しいとのコメントを発見しました。

そして、もみじの食品をネット販売している会社もあります。

この会社を起こした方は、以前、食べ物の栄養の研究をしていて、もみじのポリフェノールに効果があると気がつきました。

もみじの味に関しては、色が変わるにつれて変化していって、青臭い感じから、赤くなると熟しておいしくなるそうです。

紅葉の美しさに心惹かれつつ、いにしえの和歌にもロマンを感じつつ、現実的なところへ行きついた紅葉めぐりでした。
まだ紅葉が楽しめるうちに、食べられるもみじにもトライです。

ひとまずは、金沢らしく、いただいた紅葉のお菓子とお抹茶で休憩することにします。


参考
「紅葉の美学」

キャノンサイエンスラボ・キッズ
https://global.canon/ja/technology/kids/mystery/m_01_15.html
ライブドアニュース
https://news.livedoor.com/article/detail/17365781/

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