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想定外の失敗をコント化する力

私自身は、準備をする際に多様なケースや流れを具体的に想定し逆算して準備を行います。
そのため、小さな予想外のトラブルは「なるほど」と理解し受け入れ対応してきました。

小さな我が子達を連れた旅の帰路、海外の小さな島の空港で、職員によるストライキと重なり飛行機が一日飛ばないと知った時も、イベントのお手伝いをしていて自分のPCに数時間分の録画を「いますぐ」しなくてはいけなくなったときにも、「あぁ、そうですか。」「そういうこともあるよね。」とすぐに理解はできました。

しかし、それでも我が家には想定をひょいっと軽やかに超えてくる人たちがいて「どうしてそうなった?」と理解できない事案が発生します。

寒い冬の朝、バスに乗って塾に向かった中学3年生で受験生の娘からLINEが入りました。

「やばい!」

「どうした?」

「バスにメガネを忘れた!」


かけているメガネを乗ったバスの中で落とし、なんとそのまま気づかずに塾まで徒歩で到着。
メガネを指であげようとして空振りし、はじめて「メガネがない!!」と気づいたと言うんです。

どうやら「外とバスの気温差でメガネが真っ白に曇り、無意識に外して膝の上に置き、その事を忘れて立ち上がりそのままバスを降りたんだと思う」と。

見えていない状態に違和感を感じない、という事実に理解が追いつかなかったのですが、裸眼では黒板の文字を確認できない視力なのも事実。

休日で自宅にいた夫が3km先の塾まで自転車でスペアのメガネを届け、夕方には電車を乗り継ぎ、バス営業所で預かっていただいていたメガネも回収してくれました。


「受験の日だったらどうするの?」

夜帰宅した娘に「行動を変えないのはただ落ち込んでいるだけ。対策を講じたり行動を変えるのが反省」と反省を促すと
「そりゃ反省したよ。」と一見しょんぼり風。
「受験の日だったら届けられないからね。自分でなんとかするしかないんだよ。」
とたしなめると、
「こうすると少し見えやすくなるんだよね。」
と目を上下に指で挟んで
「その時はこれで試験受けるわ!」

その姿を見て隣でお腹を抱えて笑う姉に気をよくして
「これで他の受験生も笑わせて邪魔もできちゃうよ。」
とおちゃらけはじめました。

あまりにも反省の色が見えず、私も負けて笑ってしまいましたが、
「仕方ないよ。」と淡々と活躍した夫が冷静に、
「両手で目を押さえていたら鉛筆持てないだろ。」
と指摘し「そうだった〜。」と撃沈。


メガネを頭に上げたことを忘れ「めがねめがね」と探し、
数年後にはメガネをかけたまま「めがねめがね」と探していた祖父を「超えたね。」と笑って終われたのでした。

叱らずに淡々と手助けした夫、心底おもしろがって笑いをこらえる姉。
この二人も想定をひょいっと超えてまさかの失敗をし、そのまさかの状態からすぐに取り戻してきた危機管理能力が高いのか低いのかわからない先輩たち。

そういえば彼らの想定外の失敗も、「不思議すぎて理解できない」とそのたびに思うけれど、同じ失敗は繰り返していないなぁと気づきました。

対策は大事だけれど「反省するんだよ」なんていさめずとも、きっと一度やった失敗はもうしないんだろうな(たぶん)。
笑えて終われるこの人達は強い人たちなんだな、と思ったのでした。

そして「こうやってお笑いの台本ってできるのかも」なんて、コントが生まれる瞬間に立ち会ったとも言える?とポジティブに意味づけしてみたり。

めがねを拾ってくださった方、預かってくださったバス会社の方、ありがとうございました。















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