見出し画像

(79)オランダ その2 真珠の耳飾りの少女を訪ねて デン・ハーグ

先週お話したオランダの旅の途中で、デン・ハーグへ立ち寄ったのは、勿論フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》に会いに行くためです。
「アメリカの推理小説家A・エルキンズは、その著書『一瞬の光』の中で、『ただ胸が痛くなるほど美しかった』と主人公に言わせている」、となにかで読んだことがあります。
うるんだ眼差しの美しさを表現したその一節は、まさに言い得ての妙。
私自身、ロンドンを発つときから、彼女に会えるときめきは格別でした。

その日のデン・ハーグのマウリッツハイス美術館は、快晴にもかかわらず私達以外はほとんど客はおらず、目の前のベンチソファに座ってしばしの間、彼女を独り占めすることができました。
もちろん《デルフト眺望》もゆったり観賞。

それからだいぶ経った2019年、彼女が来日した時、上野の美術館に駆け付けロープ越しに遠く一分にも満たないような再会を果たしました。想像通りあの時のような贅沢時間を過ごすことはできませんでしたが、「ゆっくり会えなくて残念。またハーグにいらしてね」と声をかけられたような気がしました。(笑)
観る人を「貴方は特別な存在よ」と見つめられているような錯覚に陥いらせる、まさに魅惑の瞳でした。

初めてフェルメールの本物を観たのはたしかハムステッドにあるケンウッドハウスの《ギターを弾く女》だったように記憶しています。そばには晩年のレンブラントの自画像もありました。
絵画を鑑賞した余韻に浸り、ハムステッドの森の中のカフェで過ごすお茶の時間は、まったりとした至福のひと時でした。

フェルメールの作品を意識して観に行くようになった頃、「フェルメール全点踏破の旅」というNY在住のジャーナリストの方の著書を買って一気に読んだことがあります。
www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%85%A8%E7%82%B9%E8%B8%8F%E7%A0%B4%E3%81%AE%E6%97%85-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB%E7%89%88-%E6%9C%BD%E6%9C%A8-%E3%82%86%E3%82%8A%E5%AD%90/dp/4087203581/ref=sr_1_1

40にも満たないフェルメールの全作品、実際観られたのは3分の2くらいでしょうか。

アムステルダム国立美術館

この旅程のアムステルダムでは、国立美術館で《牛乳を注ぐ女》、レンブラントの《夜警》も至近距離で観ることができ大満足の旅になりました。
ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%9B%E4%B9%B3%E3%82%92%E6%B3%A8%E3%81%90%E5%A5%B3
牛乳を注ぐ女 - Wikipedia

下の写真は、デルフト近くのレストランでサービスをしてくれた女性。
オランダの女性は額が美しい人が多いですね。
まるでフェルメールの絵から抜け出てたような素敵な笑顔の女性でした。

ちょっとした幸せ (71)ロンドン 笹山美栄先生の美術史講座

17世紀の北イタリア絵画に興味を持ちはじめたのは、ロンドン在住時代にお世話になった美術史研究家の笹山美栄先生の講座のおかげです。絵画を読み解いていく面白さを、軽妙な語り口で紹介していく、2時間まったく飽きさせることのない人気講座でした。

今も笹山先生は、駐在員家族向けに、(当時はピカデリー・サーカスにあった)日本人クラブで美術文化講座を担当していらっしゃいます。
www.nipponclub.co.uk/information/access.html
当時私は、現地日本法人向け日本語教師として働いていたり大学院生もしていて、かなりタイトなスケジュールでしたが、彼女の講座は万障繰り合わせて参加していました。
ナショナルギャラリー、印象場のコレクションが多いことで知られるコートールド美術館をはじめ、本物を目にしながらの圧巻の講義には多いに知識欲を刺激していただきました。
www.facebook.com/%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%B3%E8%A5%BF%E6%B4%8B%E7%BE%8E%E8%A1%93%E5%8F%B2%E8%AC%9B%E5%BA%A7-1454654031427341/

定期的に東京でも講義をされています。ご興味のある方は是非!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?