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告白雨雲

「わたし、アキラのこと好きかもしれない」
 ベッドに寝転がり、ほっぺに両手をあて、同級生のことを思い出していると、
『ポンッ』
 目の前に白い雲が現れた。
 身を起こして鏡をみると、それは頭の上にプカプカ浮かんでいた。変なの。

 授業中、アキラの方につい目がいってしまう。白い雲は日増しに大きくなっていく。これわたしの恋心に関係しているのかな? 想いは募る。雲は大きくなる。どんどん、どんどん。
 ある日、雲は重い雨雲に変わった。きっと募らせた想いを一人で抱えきれなくなったのだろう。告白、しよう。
 つけまつけて、マスカラ塗って、一番かわいい自分になった。あとは勇気を出して――。
「すき、です」
 校舎裏で告白した。そのとき頭上の雨雲から大量の雨が落ちてきた。想いが重すぎたのだろう。バケツをひっくり返したような雨。全身濡れネズミ。
 つけまは落ち、マスカラ、グロスでぐちゃぐちゃになって、茫然と立ちすくむ。
 アキラは大笑いしながら、
「おもしれえやつっ! 大好きっ」といい、ぎゅっと抱きしめてくれた。
 ハッピーエンド……なのかな?

『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』

たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に初参加しました。

【毎週ショートショートnote】『ショートショート書いてみませんか?』お題発表!10/23|たらはかに(田原にか)|note

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