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後輩のお弁当をうっかり食べちゃった先輩社員、その時とった対応は。

私が以前パートをしていた会社でのお話。

技術系の職場で、1人で黙々と仕事をこなし、食事中もしゃべらないような人が多かった。

そこにいたSさん(男性)。
推定年齢29歳。

ロボットのように歩き、誰にでもロボットのような丁寧過ぎる敬語で話す人だ。

パートの私や、新入社員にまでロボット敬語で喋る。

マイペースにコツコツと仕事をこなし、とても真面目な人だ。

笑った姿はあまり見たことがない。

その会社は、お昼のお弁当を注文する人は朝一自分で名簿に丸をつける。
一人暮らしの人(特に男の人)はお弁当を注文する人が多かった。
お弁当を頼む人たちは毎朝習慣になっているので大抵忘れない。

だがある日のSさんは名簿に丸をつけるのを忘れてしまった。

名簿を集計する人も、誰が頼んで誰が頼んでないかまではいちいち把握していないので、丸がついていない人の分はお弁当がもちろん届かない。
そして配達されたお弁当は1箇所にまとめて置かれている。
注文した人だけがそこから取っていって自分の席で食べるというシステムだ。

Sさんは自分が注文し忘れていることに気づいておらず、いつも通りお弁当を食べた。

一番最後に食堂へやってきた同じ部署入社2年目のA君が「あれ?もうお弁当が残ってないです。俺頼んだんですけど。」と言い出した。

そうなるといつも総務の女性が登場する。
お弁当屋さんのミスなのか、自分の集計ミスなのか、はたまた本人の記入漏れなのか、確かめなければならないのだ。

お弁当代は給料から天引きされるため、真実を確かめる必要がある。
また、敷地内に売店などもないため、お弁当がないと食事を摂れない。午後のパフォーマンスが心配だ。
そのため、総務の女性が登場すると食堂にいる課長たちも集まり出す。

食べるのがとても早いSさんは同じ空間でそんなことが起きていることに気づいておらず、食べ終わったお弁当箱を片付けるためその横を通りかかった。

そしてA君に呼び止められた。
「Sさん?そのお弁当・・・俺のかもしれません。Sさん、名簿に丸ついてないですけど・・・。」
総務の女性や課長勢が
「あ。ほんとだ。Sくんお弁当頼んでないじゃん。」
そこで初めてSさんは自分がやらかしてしまったことを知った。

「あ!!!すみません!わたくし頼んでませんでしたか!Aさんのでしたか!申し訳ありません!ああ、どういたしましょう。
・・・
じゃーこれ、どうぞ。」
と1000円をA君に差し出した。
びっくりしたA君は思わず受け取った。

1000円。

確かに社食弁当は380円なので1000円もらえれば儲かる。
でもそういう問題じゃない。
すでに残りのお昼休憩が15分ほどしかない。
敷地外のコンビニまで行けば戻ってくる頃には午後の始業時間が過ぎる。
A君は1000円をもらい、その日のお昼ご飯は諦めた。

午後の仕事が始まって、私はA君に
「お腹空いちゃうね。大丈夫?1000円・・・ってねぇ(笑)。課長とか総務の人もちょっと昼休み伸ばしてくれて買いに行かせてくれてもいいのにねぇ。」
と言った。
でもA君はさすが若手社員社員らしく
「大丈夫です^_^!」
と言った。

偉いなぁ。

でもこの時Sさんはどうするのが正解だったのだろう?
確かに「お昼休憩長めにとって買いに行ってください!」と言えるほどの権限はSさんにはない。
お弁当も空っぽ。

せめて上司に相談して、A君のお昼ご飯を確保してあげるために時間の交渉くらいはしてくれても良かったのではないかと思うが。

私は社会人経験があまりないから正解はわからない。

でも1000円で解決した気になっていたSさんは笑えた。
ロボットみたいだし敬語が丁寧すぎて面白いから許せちゃう。
自分がA君の立場だったとしても文句言えずに「いいネタをありがとう。」
と許せちゃうんだろなと思った。

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