小声コラム#25 昼間の高速バスは思い出に向かう

高速バスがけっこう好きだ。(前も書いたっけ)
夜よりも昼の方がいい。流れていく風景と空模様の移ろいを窓からずっと見ていられるからだ。
前回のコラムに続き、また窓際が好きな話かいって感じだが、この窓際から眺める行為は本当に飽きない。

昼間の高速バスが好きな理由はもうひとつある。学生時代の感覚を思い出すからだ。
遠足、修学旅行、合宿など、バスを身内で貸し切って移動することがかなり好きだった。
ガイドさんが前で話す感じ、前と真ん中の小さなモニターで映画を観る感じ、誰か酔って前に移動する感じ、その空いた席を利用して好きな子と何とかして近づこうとする感じ。
そういうの全部が好きだった。

大人になると難しくなる。
本気を出せば開催できるかもしれないが、本気が本気すぎるので難しいだろう。
だからたまに乗る昼間の高速バスに乗っては、当時の感じを思い出している。
移動しているうちに夕方になって、ちょっと寂しくなれるのは大人の特権かもしれない。

いま夜行バスでこの文書を書いている。
隣の席のおっさんは靴下を前の席のゴム籠に干して、イビキをかいて寝ている。おっさんは太ってるいるため僕の席は少し狭い。
僕も大人と言われる年齢だ。寛容になろう。

しかしさっきから、枕代わりに頭に組んでいる腕が外れて、僕の肩にあたり肩パン状態になっている。ぶっ飛ばすぞ。

学生時代の高速バス旅行が恋しい。


#25 昼間の高速バスは思い出に向かう

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