見出し画像

もらえるものはもらおう!

 文化庁芸術活動の継続支援事業の3次募集が終わった。
 どうやら、申請件数が当初の目論見に達せず、4次募集も見込まれているらしい。
 これは、募集する側がクリエイターのことをまったく理解していない、要項の文章が難解、入力時の時間制限と幾重にも張り巡らされた壁が原因だと思っている。しかし、もらえるものはもらわないともったいないので、芸術活動をしているという自覚のある方には、ダメ元で申し込むことをおすすめする。
 私は2次募集で無事に支援金をゲットしたので、これから申請する方のお役に少しでも立てればと思い、自分なりに理解したことを書いておく。
 ただし、2次募集のときのことなので、今は改定されてもう少しお金が出やすくなっているものもあるらしい。あくまでも参考として読んでいただきたい。

①「コロナ対策を踏まえた活動をするための支援金」と理解して

 この支援金は、持続化給付金とは違い、ただお金をくれるというものではないということを理解しよう。
 公演なり、展示なり、イベントなり、セミナーや合同練習会のようなものでもいい。とにかく、活動をするための支援金なのだ。だから「事業計画」をベースに考える必要がある。
 なんのことはない、何かやればいいのだ。
 折角の機会なので、公のお金で自分の活動を世に知らしめるための機会なのだと思えばいい。
 私の場合は、ちょうど新刊出版の時期と2次募集の締切の時期が近かったので、新刊出版記念個展でこの支援金をもらうことにした。
 気をつけなければいけないのは、作品制作のための費用は出ず、あくまでも「展示開催のための費用」なのである。そして、物販や作品販売に関する費用は出ない。なので、書類を書くときに有料で販売するものにかかる費用は除外しなければならない。無料で配布する図録の費用は出るが、図録を販売する場合は出ないのだ。図録販売で収益を上げている作家は少なくないと思うので、理屈としては???なのだが、とにかくそういうことなので、辻褄を合わせるのが書類作成のポイント。繰り返すが、
 「無料で配るものの費用は出る!」
 私の場合は、DM制作費、ノベルティー制作費、作品プリント代、会場周りに掲示するポスター制作費が認められた。これらの印刷物の印刷代はもちろん、デザイン料、作品タイトルの題字を頼んだ書家に支払った揮毫料も認められた。

②催し物は有料で!
 この支援金は舞台関係者の支援をベースに考えられているので、展示中心で活動している場合は、舞台なら出るお金をどう展示に置き換えるかを考えながら書類を作った。
 そこでキーポイントとなったことは、その催しを有料でやるか、無料でやるかということである。
  私が書類に不備があるとして再提出を求められたことは、展示に入場料を設けていたか否かであった。入場料なりチケット代を徴収して催し物をやることが「芸術家として活動している」という実績の判断になるらしい。
 幸いなことに過去に2回入場料を設定した個展を開催していたので、その時の入場料の表示のあるDMをスマホで撮影して、画像をメールで送っただけですんなり通った。
 

③A-1でも事業計画書を。
 金額低いA-1で申請する場合、事業計画書の提出は不要である。しかし、何も書かずに金額だけ書いても審査は通りにくい。
 私は、この書類を「20万円のギャラが出る企画書作成」という仕事だと思って作成した。
 書類作成に1時間以内という時間制限もあるので、まずはワードで書類を作ることをおすすめする。
 何が、こういう理由で必要なので、こういう費用がかかるという書き方はA-1でもA-2でも変わらない。ただ、A-1だと箇条書きだけでも済んでしまうので手間としては格段に少ない。
 多少の手間がかかっても、1円でも多くもらいたいということであればA-2をおすすめする。(ただし、20万円以下ならA-2にする必要はない)
 この申請の一番のハードルは、要項を読み解いて、自分の活動にどう当てはめていくかを考えることなので、書類作成の手間はさほど変わらないと私は思っている。
 

④会場費、人件費はユルい
 この支援金でもっとも出やすいのが、会場費と人件費だ。
 といっても無尽蔵に出るわけではないので、要項の中にある「費用の目安」みたいなものを踏まえた上で算出する必要がある。
 が、逆に考えるとこの基準に合ってさえいればこの2つの費用が認められやすい費用の代表格である。

 この機会にハードルが高かったギャラリーでやるも良し、仕事がなくて困っている知人に日当を出すも良し。
 会場費に関しては、予め費用の建て替えが必要なので、元手がないと厳しい話かもしれないが、自分の活動をステップアップするにはもってこいの機会と考えていいだろう。

 以上、自分が申請書を作るにあたって理解したことを書いておいたが、これを読んでもチンプンカンプンなのが実情だと思う。
 それでも、もらえるならもらったほうがいいと思うので、これから申請をされる方には頑張っていただきたい。

 文化庁がこの予算を使い切らなければ、以後、似たようなことがあってもこのようなことに予算を割くことをしなくなってしまうかもしれない。
 私が個人的に恐れているのはそのことなので、クリエイターの皆様、とにかく申請しましょう。

 フォーマットや要項は払う気がなさそうな空気を出しているが、審査をする人たちはなんとか払えるようにという姿勢でいるように感じる。書類の不備に関しては「どうしたらこの申請が通るか」という指導のような形で対応してくれているので、まずは申請を!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?