マキエマキ

写真家。昭和B級エロをテーマに女性ポートレートを撮影しています。集英社インターナショナルより作品集「マキエマキ」発売中。twitter @makiemaki50 展示、掲載情報など→@makie50kokuchi  HP makiemaki.com

マキエマキ

写真家。昭和B級エロをテーマに女性ポートレートを撮影しています。集英社インターナショナルより作品集「マキエマキ」発売中。twitter @makiemaki50 展示、掲載情報など→@makie50kokuchi  HP makiemaki.com

    最近の記事

    私がマキエマキであるために

     先日書いた記事「作家の壁」と重複するところもある内容だけど、やはりそこは譲れない、譲るべきではないと確信したので書いておく。  私が、私のことを全く知らない人に向かって「アーティストです」と堂々と名乗れるようになったのは、前述の島本脩二さんのおかげである。  島本さんは、森村泰昌氏の写真集の企画編集をされたこともあり、私の作品を新しい時代のフェミニズムアートと評価して下さった。折しも#me tooが日本でも興りはじめたタイミングだった。  「この作品を平成のうちに、大手出版

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      • 作家の壁

         2016年に50歳で作家として活動を始めた私が、作家として最初に心したことが「作品を見せる相手を選ぶ」ということだった。  それまでは請負仕事のカメラマンだったので、自分で自分の撮りたいものを撮るのではなく、依頼されたものを撮影するだけだった。当然、自分の撮影したものを見せる相手を選ぶなど考えたこともなく、提示された予算内で、仕上がりに支障が出ない限りは、クライアントの望むものを、クライアントが望むように撮影していた。  作家として活動を始めるまでは、仕事を引き受ける相手は

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        • 衣食足りてこそ

           SNSで定期的に起こる「奢り奢られ論争」を見るたびに、日本は貧しくなったと実感する。経済的にはもちろん、心が貧しい。   好意を持った相手にプライベートな時間を割いて下さいとお誘いすれば、男女関わらず、誘った側が接待すればいいではないかと思うのは、私が接待を受けたり、したりする立場だからというのもあるけど、それは社会人としてフツーなんじゃないのかな?

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          • 結婚とは?

            11月の個展は、つげ義春のマンガに出てくる「昭和の貧困層の女」をテーマに撮影をしている。 つげ義春の後期の作品には、しばしばそういう女性が描かれる。 働かない義父に虐待される息子を庇うこともできない母親像、自活できる経済力を持てずにやくざな商売の男の愛人になり、その男から当てがわれた相手と結婚することで生活の安定を得る女…。 私が20代の頃、女性が結婚することを永久就職と言っていた。それは、女性が自活できる経済力を持つことか容易ではなかったからだ。 翻って令和の今、女性も働

            2人の私

             女性が性に関する表現をしていると、それが汚いものであるかのように扱う人や、その人を低く見る人が必ず現れるのはなんでだろう。  私は27歳の時に独立して、フリーランスのカメラマンになった。  カメラマンとして現場に行けば「専門職の人」として扱われる。  代理店、編集者、クライアント、仕事相手は私を「プロ」として話をしてくるし、少なくとも仕事中は女としては見てこない。  仕事を受けれはプロとして、いただく対価に値することをやるのは当然のことだし、依頼する側も、要求したことがで

            身銭を切ってやってます

             個展を終えた翌朝、私はFacebookにこんなことを書いた。 (Twitterに書かなかったのは、おかしな読み方をされてしまう可能性の高い内容だと思ったから) 「安いギャラリーを借りた、内輪の文化祭みたいなグループ展に慣れているような人から勘違いされているみたいなので苦言。 ギャラリーは作品を売る場所であって、内輪でおしゃべりするための場所じゃないんです。 一等地のお高いギャラリーを借りて個展をやるのは遊びじゃできないんです。 ポトレ界隈の人にそういう傾向があるので釘

            個展期間中だけど腹が立ったので書きました

            個展を見に来てくれる人の全てが私のことを予め調べてから来てくれるわけじゃない。 それはわかっているけど、大手メディアのインタビューでも、NHKの番組でも「セルフポートレート作家」であることが異色だから依頼が来てるわけで、その本人に向かって、当の本人に「旦那さんがアドバイスしてるんですか?」とか「旦那さんが撮ってるんですか?」と聞いてくる人がいるのは、やっぱり怒っていいよね、と思って書いてます。 1人で作品は作れるけど、優れた協力者を得ることで作品はより発展していく。 自分

            中イキファンタジー

            自分は数百人の女を抱いてきたから女の身体のことはよくわかっていると主張する男性がいる一方で、女性と交際経験もないのに、自分とのセックスに依存させて性奴隷にしようと考え、抵抗されて殺人に至った男性がいる。 一見、正反対に見えるが、両者に共通していることは、相手の人格を見ていないということだ。 セックスのたびにイク、イかないに拘る男性にウンザリするのは、多くの女性が経験していることではないだろうか。 しかも彼らは中イキに拘り、潮を吹けば感じていると喜ぶ。 中イキなんて、はっ

            「自撮り熟女」やめます。

            「自撮り熟女」と名乗るのを辞めます。 「自撮り」と言うワードを使っていると、「スマホで自室でエロ写真を撮ってSNSに上げて低い自己肯定感をセフレ探しで埋めている」みたいなイメージで見る男性か多くて、エロ画像倉庫アカウントや無料出会い厨アカウントからの不快なメッセージが絶えないのです。  さらに笑ってしまうのは、さんざん自分で撮っているとアピールしているのに、作品の前で「自撮りはどこにあるんですか?」という人が稀にですがいるのです。 写真家よりもモデルとして認識されるのは、自分

            もうわきまえない

             フリーランスで仕事を続けていく上で「わきまえる女」でいることは重要なことだった。  私はずっと「わきまえる女」として社会の求めるステレオタイプの「女子力」「女性ならではの気遣い」を意識しながら商業写真家として生き延びてきた。  でも、もうそんなことはうんざりだ。  契約先の社長からの割り切ったおつきあいの誘い、広告代理店の営業担当者からの、断っても断っても繰り返されるセックスの要求、クライアントの社長から「ちょっと付き合って」と言われてついていった先はラブホテル…。  す

            「性格の悪いブス」になりたい

            先日、知人のツイートに「子供の頃、クラスの男子から性格の悪いブス」と言われたことがトラウマになっていると書かれているのを読んだ。 書いている本人にとって、その評価はとてもネガティブなものだったようだが、私から見ると、それは最高の賛辞だと思う。 クラスの男子から「性格の悪いブス」と言われるような振る舞いが堂々とできる女はカッコいい。 自分の子供時代や、若い頃を振り返ると、周りの大人や、大人になってからは周りの男性から「性格が良くて可愛い子」に見られたくて偽装しながら生きてきた

            国際女性デーに思ったこと。

            昨日は国際女性デー。  それを話題に出していると、必ずと言っていいほど「男だって生きづらい」「メンズデーはないのか」と被せて来る人が現れる。 メンズデーはあるし、男の生きづらさを改善したいなら、女性が自分の人権について主張している場で場違いな発言なんかしないで、自分でそういう場を作れと思う。 そして、男性の生きづらさについて聞いてみれば、ちんこのついてる苦しみだとか、弱音が吐けないとか…。 あんたらは同じ仕事をしているのに、理由もなく賃金低くされたり、大学入試で性別だけ

            ご清潔な世の中

             瀬戸大也選手の妻のインタビューを称賛する声が多く上がっているようだ。  あのインタビューを否定的にとらえる声もあるが、あれは「瀬戸大也選手の妻」という職業の方の、完璧な仕事だったと思っている。   著名人の不倫の話題がでるたびに、バカバカしいと思う。人の恋愛なんかどうでもいいじゃないかと思うが、スポンサードしている企業があればそうもいかないのが現実だ。そういう企業はそのアスリートや俳優に「ご清潔」で「ご誠実」であることを望んでいるからだ。

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            もらえるものはもらおう!

             文化庁芸術活動の継続支援事業の3次募集が終わった。  どうやら、申請件数が当初の目論見に達せず、4次募集も見込まれているらしい。  これは、募集する側がクリエイターのことをまったく理解していない、要項の文章が難解、入力時の時間制限と幾重にも張り巡らされた壁が原因だと思っている。しかし、もらえるものはもらわないともったいないので、芸術活動をしているという自覚のある方には、ダメ元で申し込むことをおすすめする。  私は2次募集で無事に支援金をゲットしたので、これから申請する方のお

            知らない人の都合なんて知るわけない

             展示をやっていると、その期間中SNSに 「行きたいけど〇〇だから行けません」 「本を買いたいけど家族に見られると困るので買えません」 などとコメントしてくる人が必ずいる。  それが知っている人ならともかく、知らない人がコメントしてくるので、こちらとしては頭がはてなマークでいっぱいになる上に、「お前の作品にはこちらが時間やお金を費やしてやる価値がない」とわざわざ宣言されているようでもあり、そういったコメントを見るたびにモヤモヤするのだ。

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            お風呂覗きとスカートめくり

             ドラえもんのしずかちゃんの入浴シーンや、スカートめくりがどうこうと言う議論を見るたびに、お風呂を覗くのは犯罪だし、スカートめくりは嫌がらせだと理解してほしいと思う。  実際にクラスメイトにお風呂を覗かれたら、ショックで学校に行きたくなくなるし、一生残るトラウマになる。スカートめくりが流行った昭和の小学生女子たちは、休み時間が来るたびに結束して自衛しなければならなくて、学校に行くのがストレスだった。  繰り返す。お風呂覗きもスカートめくりも娯楽ではなく、犯罪なのだ。だから