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7つの大罪④日本人が英語が話せない理由~答えは1つだけだと考える~

こんにちは。
元アメリカ大学スピーチ講師、現スピーキング、プレゼン専門英語コーチの高橋です。このブログは、TOEIC500点以上の中級者向けに、月、木で
スピーキングやプレゼンの力がアップするために、大切なヒントを書いています。

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次回のアップは、7/26です。

この7つの大罪シリーズは、中級者のみでなく、初級者にも役にたつ、なぜ日本人が英語が話せないか、という7つの理由を1つずつ掘り下げるシリーズです。7つの英語が話せない理由はこちら

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さて、今回は4回目で、日本人が話す時、答え(言い方)は1つしかないと考えがちになること、についてです。

別な過去記事で、ある程度触れています:こちら


まとめると、日本の英語教育でいけないのは
①日本語の単語1つに英語の訳は1つのみ、だと教える
日本語と英語は1:1対応ではありません。
②日本語が名詞だったら、英語も名詞で出すべきだという考えを植え付ける(本当は、動名詞だって、句だって、意味が通じればいいのに)です。
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更に加えれば、日本語は、ロジックがゆるくても通じてしまうのですが、英語はそういう訳にはいかないので、もっと文と文をつなげながら、話す必要があります。言い換えれば、論理の飛躍がないように、確かめながらしずしずと行く感じです。

日本語と英語のロジックの堅さの違いに気がついていないと、日本語のほんわりした文のまま、字面だけ英語の単語に置き換えようとして、結局通じない英語を話すことになります。

●単語レベルでは、擬態語、擬声語を伴う形容詞などは、意味を考えて、英語にしないと、伝わりません。
例)あの人はきゃぴきゃぴして・どっしりしています。この2つを 通じる英語に訳せますか。

訳するには、本当に何を言っているのか、日本語でわかりやすく言い換える力が必要です。きゃぴきゃぴー>取るに足らないことにも、大騒ぎする。
どっしり->小さなことに動揺せず、落ち着いている、とすれば、

例)きゃぴきゃぴしている:She is excitable over small matters.
どっしりしている:Your friend is calm・together and quiet.等と言えます。

文章レベルでは、覚えた文章を、つないでいく、ということばかりやっていると、①1つのことを複数の言い換えで言えなかったり、②文と文、段落と段落のつなぎが疎かになったり、つなぎの語がなかったりします。

では、①言い換えできないと、なぜ不利なのか。相手の言ったことが、わからなかった時、言い換えを御願いしても、その言い換えられた答えもわからない可能性があります。一通りの言い方にしか、(自分の暗記したものしか)わからないので、応用が利かないのです。

また上級者になれば なるほど、同じことを同じ言い方では 繰り返さないので、上のレベルのリスニングをするにも、不都合なことが起こってきます。

次に②文と文、段落と段落のつなぎの言葉が疎かになると、なぜいけないのか。一定の量(以上)の話しをするとき、あなたの言う内容が、聴衆に伝わりにくくなるからです。

想像してみてください。あるテーマについて、話している際、それぞれのパラグラフが、きちんと論理的につながっていないスピーチを。全部の印象は、ばらばらで、一貫性がない物になります。

英語は日本語以上に、「A(という文・段落)の次にB(という文・段落)が来るんだよ。」、「そしてAとBの関係はこうなんだよ。」、と聴衆に先触れしてあげながら、話す物なんです。
AとBの関係を表すのは、connecting wordsと呼ばれる、接続詞などです(~and, but, or, because, in addition, therefore...)

なんとなく話していて、伝わってしまう日本語話者は、このつながりの部分を相手に示しながら話す、という意識が薄いのです。日本語は、ハイコンテクストカルチャー(high context culture)の産物なので、話者のほとんどが、歴史、文化、価値観などを共有しており、言葉であえて言わなくても、わかってしまうということがあるのです。

それに引き換え、英語はローコンテクストカルチャー(low context culture)を土台にしているので、日本語以上に、前と後をつなぎながら、1つ1つ 確かめながら話す必要があります。

この2つの文化の違いに気づき、どこまで説明したら、より英語で相手に伝わるのか、学んでいくようにするといいです。英語の文法や発音などができる方でも、
一定以上の話しをするとなると、このロジックの部分、つなぎの部分が弱い、欠けている方を何人も、見てきました。
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また最高の物は、1つ、正解は1つという考えの基に、スピーチ原稿などを共通にして、それを覚えさせて競わせるスピーチコンテストなどあるようですが、お手本をいかに上手に言うか、を競っても、自分の頭で考え、言いたいことを論理を整えていう練習には、なりません。自分で原稿を作って、添削してもらうという過程を経なければ。

ロジックを整え、自分の言葉で考えをつなげ、発表できる出場者が多く出ますように。また暗記で、皆が審査員の考える最高のスピーチにどれだけ近づけるかを計るようなスピーチ大会よりも、ディベートをする機会が多くできますように(ロジックを鍛える練習になります。)

伝統的な習い事は、例えば型がある、といいます。その型は、先生の言うものをそのまま、いかに上手に真似られるかにある、と思うのですが、英語も基本的な単語や文法を学び、真似ることは必要です。しかし、それだけに終始していては、自分で考え、自由に言葉を選び取って、話す、という練習が疎かになっていることに、気づいてほしいのです。

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また同調圧力の強い日本です。他と違う物の言い方、考え方をしても、認められていくといいなと、思います。

今回はここまでです。お読みいただき、ありがとうございました。
次回は、7つの大罪の⑤、英語を使う場が少ない、を取り上げます。

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