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英語スピーキング力を上げたかったら、日本語を見直す

こんにちは。
TOEIC500点台以上の方を、主に対象としている、スピーキング専門の英語コーチ高橋です。元アメリカの大学での英語スピーチ講師でした。クライアントさんの目標達成率90%。

初めての方はこちらから(自己紹介

月、木に上記のような方を対象に、スピーキング力、プレゼン力アップに関する記事を書いています。次は8/30になります。もう8月も終わり。早いですね。

ご質問などは、こちらまで

前の記事で、英語を話す力がついてきても、「それからの伸びを左右する要因」が3つある、と書きました。①知識、②ご自分の意見、③そして話したいという意欲の3つになります。

前回は③話したいという意欲、について書きました。こちら
そして話しの広げ方、について、今回は書くことをお知らせしました。

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しかあし、やや思うことがあり、母国語で苦手なこと、嫌いなこと、は、外国語(英語)でしても、苦手ではないだろうかと思いあたり、今回はそれについて書きます。

ここでも、例外はあるでしょう。外国語を使う時は、違った自分になる、と言う物です。あるいは母国語で しにくいこと、言いにくいことも、外国語でなら、できる・言える、です。

その場合は、それでいいのです。問題は、できない場合です。

人って そうすぐ変われるものではないのです。だから、何のために変ろうとしているのか、理解した上で(目標)、意図的に変るように、時間をかけて努力していく必要があるのです。

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最初に、言語習得にかかる時間から、考えてみましょう。
あなたの得意なこと、お仕事上でのスキルでも、趣味のことでも構いません、それを思い出してください。

次の質問です。その技術や知識などは、短期間でつきましたか、~分、~時間という範囲でついたでしょうか。つかなかったと思うのですね。

それならなぜ、XXするだけで、YY分だけで英語が話せるようになる、っていう安易な方向に 惹かれるのでしょうか。日本語だって、何年も、ネイティブスピーカーという地位にありながら、練習して、やっとここまで来たのに、なぜ英語だけ、短期間で習得できると、思われるのでしょうか。

まだ十代の方には、わからないかもしれませんが、努力して、時間をかけて何かを達成する、っていうの、今より私達の世代の頃の方が、重要視されていた感じがします。逆に、短時間の速習では、身につく物のレベルに限りがある、って 分かっていた人達が多かったということなのです。

もちろん、効果の出る画期的な方法は、あることでしょう。それを言うと同時に、今の日本人が、昔より、安易な方向へ、努力しなくていい方向へ流れていると思えることが、多いのです。

ですから、その結果、全体の質、が落ちてしまうのです。売れる物、人気のある物ってばかり追求していると、安易な方向に流れていくのが、加速してしまうって、危惧しています。プロとアマの力の違いが、そんなになくても、いい、とされてきているように思います。

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昔のやり方が、全ていいと言っているわけではありません。効率のいい勉強方法はあるでしょう。言っているのは、努力する、時間をかけて成し遂げる、ということの価値が、失われていると思われるのです。まあ、正しい、その人に合った方法で、努力を続けている人の力は伸びているのも、確かです。

見え方かしらね。私に気がつく所で、努力があまり言われていないように、見えるだけで、それぞれの分野で努力を続けていらっしゃる方達は、多いのかもしれませんね。

それならいいですね。それらの分野は、質が保たれ、芸術なり 技術なりがうまく受け継がれている、ということなので。

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もう1つ、気になっていることがあるのです。日本語を使う力の低下です。
具体的に言うと、4技能(読む、書く、聴く、話す)について、日本語を使う力が落ちていると、思われるのです。そして、日本語力がない方が、英語力を上げようとされても、大変なのでは、と予想されます。

具体的に、どこが気になるのか、書いてみましょうか。
1.読む:読書する人が減っているようです。本が売れない、というのそれを如実に表しているのではないでしょうか。字を読んでその内容を理解し、取り入れる、という能力の欠落につながります。字だけ読んで、それから内容を想像する、次はどんな展開になるのか、予想する、ことも苦手になっているのではないでしょうか。(今は、すぐ画像で色々な物が見られますから。)

あるいは、短時間で大量の物を読めない:知識の量を増やせないことにつながってきます。
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2.書く:メールやメッセンジャーの流行から、手紙を書く人が減ったようです。言いたいことを、内容をまとめて、分かりやすく相手に伝える練習が、減ってしまいました。漢字が書けなくなったと思う方も多いでしょう(私も含めて)。

1つの漢字に、色々な意味が集約されています。それを使う力が減ると、内容を集約する力も、減ってしまいます。これって、1つの英単語に色々な意味があるとき、そのなかから最適な物を選んでいく、そのセンテンスでは、どの意味になっているのか、選んでいく力の後退にも、つながりませんか。

日本語の文法や定型表現を正しく使えない場合も、散見されます。間違って使ったら、意味が伝わりません。これは、英語にも当てはまります。so ~thatという2つでセットなのに、最初のsoが、例えば抜けてしまったら、構文として意味をなさないのです。

言葉で言えばわかるのに、!や?がたくさんついている文が多くなってきました。質問しているのか、そうでないのかは、?がなくても、文章からわかると思うのですが。。。ぱっと見た瞬間のインパクトはありますが、記号(!、?)に意味を伝えさせる役割を、担わせていませんか。

記号や絵文字を使っても使わなくても、文章から(だけで)意図や感情が伝えられるようになるといいですね。記号に意味を伝える役を担わせないで、あなたの書く力で勝負するのです。

また これは、話す、の欄でもいいのですが(アウトプットする能力なので)、外来語(カタカナ語)を、日本語で言い直してください、と御願いすると、うまく言えない方が増えた気がします。
例えば、マインドは、心構え、サポートは協力、助力、等と言い換えられないのです。

これができないと、文章の意味が本当に理解できているのかどうか、確かめる時、苦労します。(講師をしているので、クライアントさんに単語テストなどすると、日本語に変換できない方達の割合が、増えているように思います。)あなたは、いかがですか。

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3.聞く:いわゆる話芸(漫才や落語を含む)や、読み聞かせの試みが減っているように思うのです。あなたが、最近、長い間、じっと誰かの言うことに耳を傾けたのは、いつですか。夜寝る前、お子さんにお話しを読んでいらっしゃる方、どのぐらいいるでしょうか。

長い物を聞く、そしてそれを覚える、という練習もあまりされないのではないでしょうか。これは、音を記憶する、という能力に関係してきます。

ある程度の長さの物を覚えて、必要な時にそれを言える力の減退につながってきませんか。
イギリス人がシェイクスピアなどの古典の一節を、引用したり、中国人には、それぞれ、好きな漢詩があって、暗唱できると聞きました。あなたは、そんな日本語の文章はありますか。諺よりも少し長いぐらいの。

これは、自国の文化を大事にする、誇りを持つ、ということにもつながってくると思います。

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4.話す:顔を見ないで、メール一本で済むため、人の顔を見ながら、長い間話すという機会が減っているように、思われます。あるいは、色々な場で、違う役割を演じながらその場にふさわしい話し方をする、という機会がないようです。

昔と違って、地域のお祭りに参加したり、兄弟が多くて、年長年少の人達に対して話すことなど、減ってきたからかもしれません。電話よりも、メールがいい、という方、いませんか。

また 昔ほど言われなくなったのか、きちんと敬語を使える方が減っているようです。いわゆるため口を 自分の「個性」のようにしているタレントさんが、いますね。頭のいい方で、お料理など他のことは上手なのに、そこだけは努力をやめているように、私には見えます。(そして周りもそれを許している。)
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また 標準語を話す、という意識も薄れているような。

ここは、考えが分かれる所だと思いますが、いわゆる流行のイントネーションというものがあって、標準語で話している時にも、そこだけ違ったイントネーションになっている(そしてそれに気づいていない)場合があります。

何が標準で何が標準でないか、話し分けられないと、イントネーションを学ばれる時、基準が曖昧になってしまうと思います。東京出身なので、「他のエリアの言葉を、下に見ている」、ではないんです。全国どこでも通じる標準語が、身についている、ということです。

私の父母の世代の方が、今よりも もっと「「標準語」は正しいので、それ以外のバリエーションは標準語に合わせる」、という価値観が強かったと思います。母が東北に疎開した時(戦争中は、爆撃を避けて、子供などが東京より安全な所へ、行く、という制度がありました。)、行った先の小学校などで、先生よりも標準語ができる、というわけで、国語の時間は読み方のお手本をさせられていたそうです。なので、イントネーションに関しては、うるさく言われていました。

このイントネーションの問題は、最近あまり うるさく言われないようです。米国に住んで居る時、日本の流行のアニメが来て、見ていたら、声を務めている方達の日本語のイントネーションが、必ずしも 標準語のではありませんでした。(言葉って変っていくのだなあ、と思って見ていました。また声優さんではなくて、女優、男優さんが声を務めていらした。)

日本語で イントネーションの違いを感じられない、あまり問題にしないでいると、英語で、違う部分を聞き分ける力が低下してこないかと 思うのです。

世界的な潮流は、ネイティブ英語だけでなくて、通じる、それぞれの人の母国語の影響があってもいい英語、グローバルイングリッシュの方へ移っているのも、事実です。

XX人の英語、って色々ありますね。私も日本語に影響を受けた英語の音を出している時もあるかもしれません。それでいいやとは、思わず、定期的に発音のチェックをしていこうと、思っています。できるだけネイティブに近づく、を目指しています。日本語と英語の音の出し方の違いがわかっていれば、解決できる問題かと、思います。
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1つの単語に 様々なニュアンスを表現させる傾向もありますね。やばい、という言葉には、8通りの意味があるそうです。その文面に最も適した、色々な単語が使える、というのが、言語力だと思いますが、それとは逆行していますね。

大きい、でも、big, huge, gigantic, enormous, outstanding, gargantuan...色々あるでしょう。それぞれの単語の持つフレーバーというか、単語間の微妙なニュアンスの違いなども、感じられる心を持ちたいと、思っているのです。

英語スピーキング上級者は、同じ意味でも、色々な単語で言い換えができるのです。そんな力を育むこととは、逆行している今日日の日本語です。

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今回4技能について、全て書こうと思ったのですが、長くなったので、それぞれにつき、日本語で上げていく仕方(そして それは英語にもつながります)を、次回は書きたいと思います。

「~をしていませんね、だからあなたの英語は・日本語は~」って、言いたいだけではないのです。真の目的は、「こんな風になっていませんか、ここに気づいていらっしゃいますか。でしたら、~風にすれば、力がつきますよ。」って言いたいのです。

それから、上の~していないでしょう、に対して、1つでも「いえ、~していますよ。」という方は、とてもいいことですね。国語力は考える基礎にもなるので、そのまま続けてくださいね。

ここまで お読みいただき、ありがとうございました。今回はこれで、おしまいです。暑いので、お元気で安全にお過ごしくださいね。ご感想、ご意見もいただければ、参考になります。

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