42/100 山本太郎「感染症と文明」/満たされない気持ちが満たされる
2021年1月末に4年所属していたコミュニティを離れた。未来永劫いるものだと思っていたから、まだ少し残念な気持ちがあるし心細い。
ただやはり未練が残るような場所からいちど離れたことで、新しい人間関係と思考が手に入った。この本もいま出入りしている場所で教えてもらって、気に入って、一気に読んだ。
書かれているのは、人類が今にいたるまでに経験してきた感染症の歴史。大半はジャレド•ダイヤモンドの「銃•病原菌•鉄」という本でざっとは見聞きした内容ではあったものの、それはあくまでも西洋文明が世界を席巻した理由としてだった。感染症にフォーカスした人類の歴史を知ると、いかに今は平和なのかを痛感する。正直「コロナは風邪」と言われてもそうかも、と思うほど、今までに人類が翻弄された感染症の致死率がすごい。
そしてなるほどなあと思ったのが感染症を完全に抑え込むことが必ずしもいいとはいえないことだ。抑え込めば抑え込むほど、その病に抗体を持つ人を減少させてしまい、次の流行に大打撃を食らう可能性を作ってしまうともいえる。だから筆者は感染症と共存する、という視点も必要なのではと提言している。そしてそれは必ずしも人類にとって心地よいとはいえない、という注意と共に。
同じことが人生にもいえる気がする。あまりにも満たされていると、先の不幸に打たれ弱くなる気がする。何より満たされていないこと、それがエネルギーの源になる感覚がある。
元のコミュニティに属したままでも頑張れたらよかったのに、そう残念に思いながらも、やっぱりそれはそれで良かったのかも。少なくとも、満たされない気持ちが満たされる。
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