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2021/7/12 ショパンとサンド

この日は会社の同僚からショパンコンクールがYoutubeでストリーミング配信されていることを教えてもらい、それだけでハッピーに過ごせた1日だった。
ショパンは昔から好きで、そしてショパンとサンドの物語も好きだ。

子持ちの既婚女性、ジョルジュ・サンドと恋に落ちたショパンは、ただし周囲の冷ややかな目に耐え切れず、彼女とスペインのマジョルカ島に逃飛行。そこで前奏曲第15番「雨だれ」という曲をつくる。

この曲は、サンドが出かけている間雨が降り、彼女の帰りを待っている間、窓に滴る雨粒をみながら作曲したと言われている。最初は雨に美しさを感じていたのに、だんだんと彼女が不在なことを耐えられなく思うようになり、雨音を不吉に感じ精神が不安定になる。。その後また旋律は最初のものに戻るのだけど、そこには先とは違い少し憂いがある。

この曲を聞くと、そんなショパンの心情と、完全にシンクロできる気がする。窓枠に滴る雨粒も、窓の外がどんどん暗くなってくる様子も、みえてくるように思う。


ジョルジュ・サンドのせいで、持病が悪化し、それで亡くなったと、ジョルジュ・サンドを悪女としてみる人も多い。まあ相手の体調などお構いなしの人のようにみえるからその側面はあると思うのだけど、逆にショパンはそんな女性と付き合ったからこそ、あんなに素敵な曲を多くかけたのだろうとも思う。

ショパンの人生は決して長くはないけれど、死んで200年弱たってもこんなに愛される作曲家なんてそうそういいたい。彼の音楽はきっとこの先もサバイブする。そしてそれは長生きすることと同じくらい、素敵なことなんじゃないかと最近は思っている。もちろん、長生きしていい曲を作って世間にも認められたドヴォルザークが、音楽家幸せランキングでは一位だとは思うのだけど。

今回集中的にショパンの曲を聞き、ショパンの曲を弾きこなすポイントはピアノ~ピアニッシモが指定されている旋律だと思った。ここをどう弾くかでピアニストの力量が如実に出る。

この日はANDRZEJ WIERCIŃSKI というピアニストのバラッドの第4番が素晴らしくて涙が出た。チャットのコメントをみると色々間違っているようで、決していい演奏じゃないみたい。それでも、私はこの人の作り出すショパンがすごく好きだなあと思った。

何が違うんだろう、と考えると、それは「音」の出し方だ。同じピアノなのに、ピアニストのタッチによって、音は面白いほど違って響く。この方の紡ぐ音はとにかくまろやかで、まがりなりにも「打楽器」なのに、こんな音が出るんだ、と驚いてしまう。

ショパンがピアノを弾くなら絶対こんな音だと、私はひそかに思っている。

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