おしゃれになりたい

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Perch.のお手紙 #85

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最近、おしゃれになりたいと思っている。

どんな決意か、中学生か、高校生か、という感じだが、わたしは結構真剣に悩んでいる。

歳を重ねると似合うものが変わってくるよ、と聞いてはいたものの、こんなにもそれまで気に入って自分の人生や生活にぴったりとしていたものがしっくりこなくなる日がくるなんて、衝撃である。

この20年くらいお気に入りだったあのブランドも、大切に着ていたあの服も、突如として他人のような素振りを見せる。冷たすぎるよ、という気持ちになった。

そして、じゃあ今の自分に似合うものは何かを考えたら、この20年くらい、すっかりわたしは自分の定番だけを着て、おしゃれにまつわる新しい色々を探究してこなかったことに気づいたのです。そう、おしゃれ浦島太郎。


おしゃれになりたいなぁ、と考えて世の中のおしゃれな人々をじろじろと見まわして、私は思いました。

かけてる時間とお金が、全然違うわ、って。

これは仕事に関しても、趣味に関してもそうなのだけれども、自分自身で考えて、試行錯誤をして、お金を使って、たくさん失敗をして、そうして培ったものしか自分の本当の力にはならないよなぁ、自分の本当の成長にはならないよなぁ、と常々思っていたのに。

こと、おしゃれに関しては、そもそもおしゃれな人と、そうじゃない人がいるみたいに思ってしまっていたのよね。

というわけで、一足飛びにおしゃれになることはできないし、あれを着れば、これを買えば、おしゃれになれる、というものもないよなぁ、私は「私の好きな私」であれるように、ひとつずつ、うれしくなったり、失敗したり、時間とお金を使って、経験をして、積み重ねて、そしておしゃれになろうと思っているのでした。

時間はかかるけれども、きっとたどり着ける、という気持ちを、私はたのしい、と呼んでいる。