見出し画像

#7 エレファント・ファイディング

※この文章は2013年〜2015年の770日間の旅の記憶を綴ったものです

エレファント・ライディング(象乗りトレッキング)をルアンパバーンのツアー会社で申し込んで体験した。

タイのバンコクでもチェンマイでも同様のツアーをあちこちで見かけたけれど、一人旅の身では一向に食指は動かなかった。こういうのは誰かと道中キャーキャー言いながら楽しむものだと思っていたからだ。けれどルアンパバーンに来てからなぜか気が向いて、半日だけのツアーに申し込んでみた。

参加者は予想通り全員ヨーロピアンでカップルとグループ。日本人でかつ一人参加はわたしのみ。でも最近は現地のグループツアーに一人で参加することが不思議と全く苦にならなくなってきた。よく日本語の通じる現地ツアーの代理店に行くと「一人参加の方も結構いますよ~」なんて言われるけれど、カップルや友人グループ参加に比べるとやっぱり圧倒的に少ない。でもわたしの場合はもともと日本にいる時から一人で見知らぬ人たちの集まりに参加すること自体にあまり抵抗を感じたことはない。

だからといって積極的に周りに話しかけて友達作りに励んだり、自分が中心になって輪を作るタイプでは全くない。単にマイペースが身についてるだけなのだ。

この日はメインのエレファント・ライディング以外に織物や酒造りの村を見学したり、小さなWAT(寺院)や洞窟の中の仏像を見に行くのも含まれたコースになっていた。何度も小さなミニバンを乗り降りしてボートに乗り換えたり、途中の食堂で一緒にテーブルを囲んでランチをとるうちに、英語が流暢に通じなくても何となくくつろいだ雰囲気になってくる。たまたま集まったこのメンバーで今この楽しいひと時を共有しているだけで十分。そう思えるのだからこういう点ではわたしはポジティブな性格なんだと思う。

象乗りは想像していたものの3倍くらい楽しかった。

エレファント・ライディング用の象の背中には人が2人並んで座れるくらいの大きさの木のイスが据えつけられている。乗り手はそのイスに座るか、その手前の頭の部分に直接またがっても良いと象使いの人が教えてくれた。

わたしは恐る恐る直接またがって乗る方を選んだ。その乗り方の場合は象の頭に両手を突っ張るように伸ばして前かがみになるのがコツらしい。

けれど最初のうちはその体制になろうとすると、象が頭を下げた時にそのままツンのめって頭から振り落とされてしまう気がして、恐くてなかなか前かがみになれなかった。それでも一緒に付いてくれた象使いから「大丈夫!大丈夫!」と励まされて徐々にその乗り方でバランスを取ることにも慣れてきた。

少し気持ちに余裕が出てくると象は身体が大きいのでかなり安定感があることがわかってきた。多少頭を揺らしたところでそう簡単に振り落されることはなさそうだ。少なくとも以前にチュニジアで体験したラクダの背中よりずっと安心して乗っていることができた。

このエレファント・ビレッジでヒトを乗せられるように調教された今いる象は現在3頭で、いずれもメスだという。近年はラオス全体で野生の象の個体数が減ってしまって保護活動が進められている、とツアーガイドが教えてくれた。その話を聞きながら、ふとアフリカのサハラ砂漠でラクダのオーナーを募り集めた資金を元に保護と飼育活動を行うプロジェクトがある、とどこかで聞いたことを思い出した。

一人で象一頭のオーナーになるのは難しいだろうから何人かでシェアする形だとして…オーナーになったとしても自分が援助している象に実際に会える機会は無いかもしれない。そうだとしても生まれてきた子象が成長していくための一助を担えるとしたら、それはとても魅力的なことだなぁと思った。

それくらいジャングルの中で小一時間わたしを乗せて散歩してくれた象のカムーンに愛着を感じたのだ。マイペースな彼女は決められた散歩道から何度も外れては好物のバンブーの葉をバフバフ食べていた。

エレファント・ライディングで象乗りの順番待ち
マイペース同士だから気が合ったんだと思う、彼女の名前はカムーン
乗せてくれてありがとう!カムーン

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?