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李禹煥展の感想 1/2(2023/02/13)

▪︎はじめに

 関西の美術館で美術鑑賞をすることが趣味の、芸術史初学者です。展覧会では簡単な感想メモを取り、それをもとに日記を書いています。
 今回は、2/12まで兵庫県立美術館にて開催されていた、「兵庫県立美術館20周年記念 李禹煥」の感想を一部アップしてみることにしました。
 手書きの日記を文字認識して書き起こし、校正なしに載せています。初学者ですので認識や理解の違いはあしからず。

▪︎展覧会全体の印象

 李は、瀬戸内の自身の美術館を安藤忠雄と共作で作り上げている。そのためか、安藤建築特有のコンクリートでできた県美と、李の作品の相性は非常によく思えた。「もの派」である李の思想と作品では、石・木・鉄・ガラスといった素材を用いているが、安藤もコンクリートにこだわる点では、素材感の意識という点で共通しているかもしれない。

 展示会場は非常に入り組んでおり、いくつかの作品群ごとに空間が区切られているように感じられた。(展示には李も口出しをしているはずなので、恐らく 意図された配置であろう)同じ構成を取れる展示会場というのはないはずで、県美のためのこの展示構成はそれ固有の意味を持ち、それもまた考察に値する。  

 特に、前半の≪関係項≫のシリーズにおいては、素材感の対比という形でその意味が表れる。11.関係項(於いてある場所)と12、IIは同じ空間にあり、それぞれ木材と鉄板という異なる素材をあつめたモチーフ群である。木と鉄、角材とうすい板、など、対比的に(観者は)2つを見ざるを得ない。

 スマホで聴ける無料音声ガイドは、ナビゲーター中谷美紀の話を中心に、作家解説・キュレーター解説も含む豪華で満足できる内容。(12.円形テラスを聴き忘れていたことが惜しい。)また、子供向け鑑賞ガイドも分かりやすく、大人も見るべし、な内容であった。

 展示内容としては≪関係項≫シリーズから、≪点より≫、≪線より≫、≪風より≫と絵画作品にうつり、最後に≪対話≫、≪応答≫と、彫刻→絵画、そして年代ごとに大むね並ぶ。コレクション展にて展示される李の2作も合わせ見るとなおよい。

▪︎関係項 於いてある場所 を見て 

 「もの派」なだけあって、石・木材・鉄・ガラス…と素材が並ぶ。ものをつくること(=芸術)の意味が閉われているように思う。ガイドによると、「つくる」は作家の意思をはみ出た結果になる(石をおとすとヒビが入るように)らしい。

 No.11、12(於いてある場所)は木と鉄それぞれの「もの」感がある。素材感をみつめ直すという意味で、例えばこの2作が工事現場においてあっても全く目も止めないだろうが、美術館にあることで見る価値のあるものとなる(李の著作の中の、レディ=メイドへの記述を参照したい)。木材(角材)と鉄板は、それがすでに自然のものを人間が加工し形にしたものである。鉄「板」は壁に立てかけたところから数枚がすべりおちたようにみえるし、木材は角があるからこそ可能な立てかけ方(鉄板と対比できる)をしていて、3本が寄りあって立つ。そこには木ならではの重さと軽さがあり、鉄板を同様に寄り合わせることが不可能であることの裏返しともとれる。

(1/2 続きは後日)

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