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名言「セックスしよっか」~新旧『東京ラブストーリー』比較~2話

フジテレビ『東京ラブストーリー』2020。1991版との大きな違いは、リカがカンチの先輩でかつ年上という設定。そのため、織田裕二・鈴木保奈美の二人はため口で対等にじゃれ合っているのに対し、伊藤健太郎くんはリカに対して敬語で話す。これが忠犬みたいに可愛くて萌えるのです。

そして一番大きな違いが、ヒロイン・赤名リカのイメージ。

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石橋静河さん。ノースリーブからすらりと伸びる腕は、その先に続く引き締まった肉体を思わせて流石ダンサーといった感じ。鈴木保奈美のリカは、甲高い声でハイテンションでエキセントリックな印象なのに対し、石橋静河さんは落ち着いた低めの声。バブルと令和の差がヒロイン像に如実に現れている。逆に言うと、平成はエキセントリックというエクスキューズが無いと、自由奔放に振る舞えなかったのかも。

第2話。三上とさとみが付き合い始めたことを知り、壊れたレコードのように「へえ~、そっか、そうなんだ…」と繰り返すカンチを「見ていられない」という表情で眺める石橋静河さんがとても良い。言動はぶっ飛んでいても、そこには優しさがある。「ねえ、失恋に一番効く薬って知ってる?」「え?」「なんだと思う?」「ええ?」「セックス」。ここで、あの名言が飛び出すのだ。「カンチ、セックスしよっか」。

1991版第3話は「ねえ、セックスしよう」でした。しかもけっこう唐突に言うんです。1991版が偶然とハプニングの連続なのに対して(三上とリカの初めての出会いは街頭でぶつかり、そのまま同窓会に同席というかなりの力技)、2020年版は丁寧に言葉や人物の心理をつなげていっている。

1991版の第1話は、最初のシーンから織田裕二と鈴木保奈美が空港で出会っているのに対し、2020年版は、まず主要キャラクターがどんな人物なのかを一人ずつ描いていっている。たとえばリカ。ホテルでセックスをする男女。情事が終わり、窓の外を見ていたリカが男の方を振り向いて、「もう会わないことにしよう。全然ワクワクしないから」と言い放つ。一方その頃、カンチは高速バスの車窓に映るオフィス街の灯りを見て「これが東京か」とでも言うように興奮している。「東京の女」と「上京したての若者」の対比。そして、第1話の中盤でカンチに対して「ワクワクしてるの」と言うリカ。冒頭の「ワクワクしない」と中盤の「ワクワクしてる」。点と点が一本の線で繋がる構成。

あと、主要キャストの脇を固める友人役・同僚役の役者さんがすごくいい。ただ単に主要人物の「都合のいい聞き役」「情報屋」になるだけでなく、それぞれのキャラが際立っている。

飯田隆裕さん!

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第1話のエレベーターのシーン、カンチとリカそっちのけで、この人の顔しか見てなかった(笑)。めちゃめちゃいい。1991版の中山秀征も主人公の同僚にありがちな陽気キャラで、「赤名さんはやめといた方がいいよ。和賀部長とデキてるって噂だから」という台詞も同じだけど、演じる役者さんでこんなに印象が違うんだな。ただの陽気キャラじゃない、ひとひねりあるタイプ。好きです。

手島実優さん! あ~、映画「カランコエの花」のあの人かあ!

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保育士であるさとみの同僚、北川トキコ役。園児たちに「お水かけないよ~」と注意するそのやる気のない言い方が、本当に最高!

総じて2020年版「東京ラブストーリー」、めちゃくちゃ良いです。アマゾンプライムで観られます。オススメです。

#ドラマ #東京ラブストーリー #石橋静河 #飯田隆裕 #手島実優

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