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Netflixオリジナル短編アニメ「Love, Death & Robots」について語る


昨年3月に配信開始され、友人の激推しに惹かれてハマったNetflixオリジナルのSF短編オムニバスアニメ「Love, Death & Robots(ラブ、デス+ロボット)」について、推し文を記しておこうと思います。

Netflixを開くたびに、続編まだかな~とページを見に行ってしまいます。そろそろシーズン2制作決定のニュースから1年が経とうとしていますが、今年中に配信されたりしないかな~どうかな。


「Love, Death & Robots」とは

SF好きの方なら既に観ていらっしゃるのではと思いますが、もしも未見なら羨ましくて仕方ないです!

不気味な魔物、度肝を抜く展開、ダークな笑いなどデヴィッド・フィンチャーとティム・ミラーの世界観がさく裂。職場で視聴厳禁な大人のアニメを集めたアンソロジー。

初見の衝撃、興奮は、いまでも忘れられないです。どの作品も濃くて深くて、作品として「立って」いるのが凄い!

このシリーズは、『ファイトクラブ』を監督したデイヴィッド・フィンチャー、『デッドプール』を監督したティム・ミラーなどが、エグゼクティヴ・プロデューサーとしてチームを組んで制作した。どれも本能的に楽しめる(もしくは単に感覚的な)もので、しかも視聴者の五感に火をつける。

観るたび、友人と語るたびに新しい発見があって、本当に飽きません。シーズン1の全18話、本当にどの作品もクオリティが高くて素晴らしい!

1話ずつ10~20分程度なので、ちょっとした空き時間に観れるし、そして2話、3話と夢中になって、気が付くと結局、全話観てしまう。笑

オフィシャルトレーラー、まるで映画です。実写は「氷河時代」の1作だけで、あとはすべてCGやアニメ。クオリティが凄すぎます。これが実質無料(ネトフリ月額料金800円)で観れるって、本当に凄い世の中です。正直、これ1本で、それだけの価値を実感させてくれた作品です。


この記事を読んで、クオリティが高い理由がわかりました。「ファイトクラブ」大好きです。CGやアニメそのものの造りもそうですが、ストーリーの練り具合や人物描写が素晴らしい。本当に全話、恐ろしい程のクオリティ。大友監督の「MEMORIES」を観た時の感動に似てたかな。

「エイリアン3」「セブン」「ファイトクラブ」で監督を務めたデヴィッド・フィンチャーと、「デッドプール」で監督を務めたティム・ミラーが制作に携わる異色の短編アンソロジー「ラブ、デス&ロボット」

内容が濃いので、平均して15分程のコンテンツでも十分。これを2時間モノの映画にしようとすると、ちょっと冗長になるんだろうなと思います。エピソードとして面白すぎる!というパートだけをぎゅっと凝縮したストーリーだから、こんなに濃密な15分にできるんですね。

シーズン1:全話レビュー  ※以下、ネタばれあり※

表現は結構な「R指定」で、スプラッタあり、エロありと盛りだくさんなので、1話目で苦手意識を持たれた方は、ちょっと難しいかもしれません。私はゾンビ物、サスペンス物の映画が好きなので、全然平気でした。

スプラッタ系の作品は半数。特に好み!と思ったのはソニー、スーツ、わし座、海兵隊、魚夜、秘密戦争です(全然絞り込めてないな…)。 レビューも兼ねて、自分の感想をメモします。


1. ソニーの切り札(Sonnie's Edge)17m

凶暴な動物同士を戦わせる地下バトルで、ソニーは連戦連勝。そんな彼女の切り札は、絶対に知られてはいけない...。

5番目に好きです!17分というのが信じられないくらい、展開に次ぐ展開です。何回殺されかかってるねん!と突っ込みたくなる。笑 

クリーチャーのバトルシーンは燃えたなー。主人公の動物がエヴァ量産機というか、ポケモンのパルキアみたいで好きです。

突然の百合シーンがありますが、なんぞこのエロさは…と慄いてしまいました。あと、ソニーの仲間たちが本当にイイ奴。見た目は怖いけどいいやつ。


2. ロボット・トリオ(Three Robots)12m

人類が絶滅し、文明が終わりを迎えた世界。3体のロボットは、まるで観光客のように朽ち果てた街を見物して回る。

シュールだけど可愛い?お話です。ロボット達の会話がセンスありまくりで良い。自撮りする時の「はい、テラバイト」がめっちゃ気に入ってしまった。ラブデスファンの人と写真を撮る機会があったら積極的に使っていきたい。猫可愛いです。


3. 目撃者(The Witness)12m

殺人を目撃した女は、犯人から追われる身となった。現実離れした奇妙な街を、彼女はなりふり構わず逃げ回る。

これ良いです。近未来の香港っぽい世界観。なかなか良質なサスペンスです。映像はこの作品が一番好きというか、初見でかなり衝撃を受けました。細部まで「凄い」。できればスクリーンの、大画面で観たいビジュアル&音楽です。

あのふたり、延々と繰り返すループにハマってしまっているんだろうか。だから出鱈目な逃走ルートでも追っていけたのかな。


4. スーツ(Suits)17m

エイリアンが襲来し、農場主達は自作のロボットに乗って出撃。愛する家族を守るため、命懸けの戦いが始まる。

これは6番目に好き!!ストーリー的には一番好きかもしれません。ラストまで見て、本気でたまげました。

最初は「ちょっと昔のアメリカの農場が舞台なのかな」と思って観ていたのですが、話が進むごとに、本当に1分刻みくらいの展開ごとに「!?」「!!?」の連続で、そしてラストシーンで最大級の驚きがあるっていう。スゴイ。

普通(に見える)酪農家達がロボットスーツを着込んでクリーチャーと闘うという、非現実的なシチュエーションなのですが、あるシーン、奥様同士の会話で「お気の毒に…」って言うところがあって。そこ、もう、うわーってなりました。そんな、よくあるご近所同士…な普通の会話、このシチュエーションでする!?っていう。そこだけ現実的なんですよね。それがツボすぎました。面白い。


5. 魂をむさぼる魔物(Sucker of Souls)13m

遺跡調査で発掘したのは、血に飢えた恐ろしい魔物だった。懸命に戦うよう兵部隊の最終兵器は...まさかの猫。

粗筋でネタバレしてるやん?と思いつつ、今ふと、頭を過りました。もしかして私、ラストシーンでなにか見落としてる?もしかして「猫が黒幕」だったりする…?そんなことを思ってしまう、この短編集の奥深さよ。 


6. ヨーグルトの世界征服(When the Yogurt Took Over)6m

研究者達は、偶然にも超高度な知能を持つヨーグルトを生み出した。やがて、ヨーグルトによる人間社会の支配が始まる。

面白かったです。ヨーグルトに支配され、そして見捨てられる人類…。人形アニメーションっぽい絵柄なので、可愛くもシュールです。 

ラブデスは結構、ビジュアル的にヘビーな作品が多いので、こういう「ほっと一息」みたいな作品の存在がありがたい。笑


7. わし座領域のかなた(Beyond the Aquila Rift)17m

宇宙船の乗組員が目覚めると、船は異常事態に。光速移動中に航路を外れた船は、一体どこまで来てしまったのか。

最高です…!2番目に好きです。

とにかく映像が凄いです、圧巻。特にグレタの肌の質感ときたら!もう、本物の女性にしか見えない。特に泣き顔アップのシーンに鳥肌が立ちました。iPadじゃなくて大画面で観たいなあ…それこそスクリーンで。映画並みのクオリティの高さだと思います!こういうCGって、この尺だとそこまでの製作予算はかからないものなんでしょうか?知識がなくてわからないんだけど。このレベルの作品、もっともっと観たい。

これ、クリーチャー(蜘蛛かな)が何度も繰り返している理由…異種間恋愛に見えて、実際は、自分(雌)が受精するまで、種付けを繰り返しているのかなと。男が現実を受け入れるまで…というのはタテマエで、子供を孕むまで、何度も何度も、恐怖ではなく濃密なSEXをする為に。

友人が言っていたのですが、確かにグレタ(蜘蛛)は彼を愛していたのかもしれないけど、それは精力絶倫な男だからであって、他に精力満タンな男が巣に来たら、今度は彼を愛しちゃうんだろうなと。愛のすれ違い…萌えますね。

あとBGMがmuseっぽくて好きです。誰だろう?と思っていろいろ探してたら辿り着きました。サビのハスキーな声がカッコいい!

「Living in the Shadows」Matthew Perryman Jones


8. グッド・ハンティング(Good Hunting)17m

人々を悪霊から守る霊の狩人の息子は、人間に化けることが出来る妖怪と不思議な友情を育むのだが...。

これも展開が激しいアニメでした。なんという濃密な17分。妖狐と、ある男の少年時代(中国)から青年時代(イギリス)を描いています。タイトルの”良い狩り”の秀逸なことと言ったら。

ラストシーン手前の、妖狐が微笑むシーンがたまらないです。スチームパンク好きにはたまらない作品だと思います。


9. ゴミ捨て場(The Dump)11m

デイヴにとって、ゴミ捨て場こそが快適な我が家。立ち退きを要求する検査官に、つべこべ言われる筋合いはない。

ゴミ捨て場に棲みつく陽気なお爺さん達の話かな、と思ったら…!ブラックユーモアたっぷりのアニメーションです。

ラストシーン、デイヴに懐くクリーチャーがまるで飼い犬みたいで可愛かった。友達や役人を容赦なく食らった恐ろしいやつですけども。 


10. シェイプ・シフター(Shape-Shifters)16m

アフガニスタンの戦場に、超人的な力を持つ海兵隊員のコンビがいた。2人の前に、同じ力を持つ強敵が立ちはだかる。

最高of最高…!1番好きです。この題材で2時間モノの映画コンテンツとして観たい!

初見では、海兵隊員のふたり(人狼)は兄弟分的な関係性で、兄弟を殺されて怒り狂った主人公…という話なのかな、と思っていたのですが、友人から「ブロマンスの香りがする…」と示唆され、なるほどそうか!と膝を打ちました。鈍い。ラストシーン、えっ軍隊から出奔してしまうの?と思ったけど、たしかに、中盤で「俺はおまえを守る為に…」と言ってるものね。主人公が好みの顔立ちなこともあり、ちょっと堪らん気持ちにさせます。彼らの入隊前のストーリーも観たい。

友人はさらに、敵側の老いた人狼と若い人狼コンビにもハァ!?となった…と言っており、親子なのか爺と孫なのか、はたまた他人なのか、いろんな見方ができて、良きですね。短いながらも濃密な関係性を想像させる表現、最高です。

あと、ラスト、黙ってゲートを空けてくれた同僚…最初は嫌悪していたくせに、ひとりで敵討ちをしてきた主人公のことを認め、リスペクトしたんでしょうね。熱い。何度観ても新しい発見がある、スルメのような傑作です。


11. 救いの手(Helping Hand)10m

不慮の事故から、宇宙空間で身動きが取れなくなった宇宙飛行士。酸素が尽きる前に、体を張った決断を強いられる。

こうなったら嫌だなー!ということが次々に起こる、スペースパニック物。この短さだからいいですね。宇宙のただなかで泣き叫んでも一人、音も聴こえない。というのが恐ろしすぎる。「ゼロ・グラビティ」の一番スリリングな10分を映像にしました!という感じ。


12. フィッシュ・ナイト(Fish Night)10m

車が故障し、2人のセールスマンは砂漠で立ち往生。夜中に2人が目覚めると、そこには太古の海の風景が広がっていた。

3番目に好きです。本当に、映像が素晴らしく綺麗。魚が空中を揺蕩うシーンは、美しすぎて息が詰まります。

衝撃のラストですが、絵的にグロさは感じないので、初見の方はこの作品から観ると良いのでは~と思いました。(あと、これまでの11話分の濃密なグロと流血三昧で何かが麻痺してくるので、これ位のシーンでは何とも思わなくなる…笑)


13. ラッキー・サーティーン(Lucky 13)15m

乗組員の死亡事故以来、軍用機、ラッキー・サーティーンに乗る者はいなかった。この機体が、新人にあてがわれる。

この作品群の中では珍しく、清々しい気持ちにさせてくれる一品です。女性パイロットかっこいい。13かっこいい。彼女が搭乗するまでのジンクス、彼?自身も苦々しく思っていたのかもですね。

主人公と戦闘機の関係性、入江亜季の「北北西に曇と往け」っぽくて良いですね。


14. ジーマ・ブルー(Zima Blue)10m

世界中から注目を集める芸術家、ジーマ。最後の作品を公開する前に自ら語る、謎に満ちた過去と驚くべき歩みとは?

これも清々しい後味の作品です。絵柄も相まって、星新一のショートショートっぽいな、と思いました。ザ・SF短編って感じ。「ジーマ・ブルー」というタイトルの語感が最高です。


15. ブラインド・スポット(Blind Spot)9m

サイボーグの盗賊団は、重警備の輸送車を襲撃。素早く仕事を終わらせるつもりが、予期せぬ事態が待っていた。

ちょっと手塚治虫というか、昔のロボットアニメの香りがします。元気でいいですね。13から16までは、なんというかちょっと明るめなテイストの作品が続きます。

途中まで「ああーみんな死んでしまう…なんて無能なリーダーだ!」と憤慨していたけど、大丈夫でホッとしました。笑


16. 氷河時代(Ice Age)11m

若いカップルが入居したアパートの部屋には、古ぼけた冷蔵庫が。その中には、なんと小さな文明社会があった。

これも初見の方向きかと!この1作だけ実写ですね、冷蔵庫の中だけアニメ。

カップルのやり取りがキュートだし、冷蔵庫の中の文明の、戦争後の発展が凄く綺麗で圧倒されました。ミニ核の炎で焼かれた顔は大丈夫だったんだろうか???


17. 歴史改変(Alternate Histories)8m

もしもヒトラーが、あり得ない死に方をしていたら? その様子と結末を見てみよう。マルチヴァーシティへようこそ!

これだけ、正直、普通だったかな…。ショートショートっぽい作品です。6つのシナリオの、エロの部分がちょっと面白かった。 


18. 秘密戦争(The Secret War)16m

シベリアの古代の森を奥深く進む赤軍の精鋭部隊。おぞましき邪悪な怪物と遭遇し、凄惨な死闘が幕を開ける。

4番目に好きな作品です!けどインパクト的にNo.1。ラブデスといえば、この「秘密戦争」の絵がぱっと思い浮かんでしまいます、なんせ印象が強すぎる…。

ラストが堪らないです。隊長と若者の関係性を表すたった一言が、本当に胸に刺さる。あのシーンがあると無いとでは、この作品の深みは全然違ってきますね。

しかし気持ち悪いくらいの大群だったなクリーチャーども…まるで蜘蛛の子のようでした、しかも強いんだから絶望具合ハンパないです。全18話の中で、この作品が一番グロいかなと思います、私は全然平気でしたけども。


アメリカのレビューサイトを見ていると、7話の「わし座」が一番評価が高いんですよね。面白い!


いつかラブデスを映画館のスクリーンで観れたらな!と願いつつ、まずはシーズン2の配信スタートと、そしてシーズン3、4…の製作が決まってくれますように!と願ってやみません!


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