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コンテンツ月報:2024.5

今月は映画館で鑑賞した作品が4本。そして毎日、朝ドラと大河ドラマに心揺さぶられまくっています…!

本当は、2回目鑑賞をしたい映画もいくつかあったのですが、なかなか時間の捻出が難しく。
これから仕事の繁忙期に入ってくるので、一期一会と心得た方がいいなあと感じています。


1.悪は存在しない

めちゃくちゃ良かったです…!上映館が増えていますね。ぜひロングランしてほしい。
ストーリーについては、未見の方の楽しみを奪いたくないので触れません。とても、とても良かった!とだけ。

映像、そこからのアングルでそんな長回しするんだ…!?と驚く場面がちょくちょくあって、独特のリズムがある映画だなと思いました。
その効果なのか、ぐーーーっと没入していく感覚があって、いつの間にか、どんどん原沢の人達が好きになっていました。

濱口監督のインタビューで、制作の経緯を知るにつけ、「PERFECT DAYS」と似た構造を感じていました。“作りたくて作った”作品の方が、“商業”を意識しすぎたものより、良いものができるのでは?と。
商業と芸術の違い?アートとエンタテインメントの違いでしょうか?
でも、それは映画に限らなくて、なんでもそうなのかも、とも感じます。「ヒットを狙って作る作品」よりも、「伝えたいこと、見せたいものがあるから作った作品」の方が、目的と手段を履き違えていないから、より鋭角に刺さる(心に届く)のかもしれません。

自然豊かな高原に位置する長野県水挽町は、東京からも近いため近年移住者が増加傾向にあり、ごく緩やかに発展している。代々その地に暮らす巧は、娘の花とともに自然のサイクルに合わせた慎ましい生活を送っているが、ある時、家の近くでグランピング場の設営計画が持ち上がる。それは、コロナ禍のあおりで経営難に陥った芸能事務所が、政府からの補助金を得て計画したものだった。しかし、彼らが町の水源に汚水を流そうとしていることがわかったことから町内に動揺が広がり、巧たちの静かな生活にも思わぬ余波が及ぶことになる。

石橋がライブパフォーマンスのための映像を濱口監督に依頼したことから、プロジェクトがスタート。その音楽ライブ用の映像を制作する過程で、1本の長編映画としての本作も誕生した。2023年・第80回ベネチア国際映画祭では銀獅子賞(審査員大賞)を受賞したほか、映画祭本体とは別機関から授与される国際批評家連盟賞、映画企業特別賞、人・職場・環境賞の3つの独立賞も受賞した。

映画.com
元町映画館にて


2.Ryuichi Sakamoto | Opus

公開日、仕事終わりに鑑賞しました。
TOHO梅田で、SCREEN1で掛かったのがありがたかったです。隣の初老の男性が感慨深げで、終幕に拍手をしてくださったので乗っからせていただきました。素敵な記憶です。

最後のコンサートを、こうして映画にしていただけで、本当にありがたいです。身じろぎすら躊躇われる静謐。
最後に、教授の運指を記憶したピアノが流れるラストシーン。「永遠になる」というメッセージと受け取って泣けました。
病をおしてまで、音楽を遺していただいたのだから、残った人間としてなにか応えたい、と思うのです。
「aqua」を聴くと、いつも(すこしでもマシな未来を、子供たちに手渡したい)と思います。

また、このコンサートが配信された2022年12月の未明。暗い部屋の中、タブレットを見つめていた記憶も、鮮烈な思い出です。「Playing the Piano 2022」。

2023年3月に他界した世界的音楽家・坂本龍一の最後のピアノソロ演奏をモノクロ映像で記録したコンサート映画。

22年9月、東京のNHK509スタジオで行われた坂本龍一のソロコンサート。闘病生活を続けていた坂本は最後の力を振り絞り、自身のためにカスタムメイドされ長年コンサートで愛用してきたヤマハのグランドピアノだけで演奏に臨んだ。坂本の代表作として知られる楽曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」、23年に発表した最後のアルバム「12」の収録曲、初めてピアノソロで演奏するYMO時代の名曲「Tong Poo」など、坂本が自ら選曲した20曲で構成。空音央監督をはじめ坂本が全面的に信頼を寄せたスタッフ陣が入念に撮影プランを練り上げ、親密かつ厳密な映像を生み出した。

2023年・第80回ベネチア国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門出品作品。

映画.com
TOHO梅田にて


3.正義の行方

不勉強にも“飯塚事件”についてはドラマ「エルピス」に登場した事件の参考にされた事件のひとつ…程度の知識しかなく。
鑑賞後、「失敗の本質」の読了後の感じと似ているなと感じました。戦争に突き進む時に掲げる“正義”と闇雲感を想起させるような。ざわざわします。
何なんでしょう、この気持ち悪さ。“忖度”ではなく、ひとりひとりの思い込み…見込み捜査の、一番はじめのボタンの掛け違いから始まったような気がします。

“犯人”と断罪された、けれどその動機も、犯行の経緯もまるでわからない。実質DNA鑑定は覆ったも等しい脆弱な証拠のみで、死刑になった人がいる、という現実。
それが、まるで戦争に突き進んでいく様と似ているのでは、と思います。思い込み。近視眼。体面。引き返す勇気のなさ。人の命の軽さ(歪んだ正義の敵になるものは、軽い)、そして、その自覚のなさ。

西日本新聞社の宮崎さんと、編集局長の言葉が、重いです。

2022年4月にNHK BSで放送され、令和4年度文化庁芸術祭・テレビドキュメンタリー部門大賞を受賞したBS1スペシャル「正義の行方 飯塚事件30年後の迷宮」を劇場版として公開。

1992年に福岡県飯塚市で2人の女児が行方不明となり、同県甘木市(現・朝倉市)の山中で他殺体となって発見された飯塚事件。94年に逮捕され、DNA型鑑定などにより犯人とされた久間三千年(くま・みちとし)は死刑判決を受け、08年に刑が執行された。しかし、執行の翌年に冤罪を訴える再審請求がなされ、事件の余波はその後も続いている。本作では飯塚事件に関わった弁護士、警察官、新聞記者がそれぞれの立場から語られる「真実」と「正義」をもとに、この事件の全体像を描きながら、日本という国の司法の姿を浮き彫りにしていく。

監督はNHKディレクターとして死刑や犯罪を題材にした数多くのドキュメンタリーを手がけ、樹木希林を追った「“樹木希林”を生きる」を監督した木寺一孝。

映画.com
元町映画館にて


4.関心領域

音が、めちゃくちゃ怖いです。

対比が見事だなと思いました。
4年前から収容所の存在が“身近”な子供達は何も思ってなくて、“アウシュビッツの女王”と呼ばれて誇らしげな妻の母は、夜中に部屋を照らす炎の赤さと音に一晩も堪えられず、黙って出ていく。

けれど、観ている私もなんなんだろう、この家族と変わらんじゃないかと思ってくらい気持ちになります。
花盛りの庭が本当に理想的で、まさしく“楽園”で、執着する気持ちもわかる…と思ってしまう。
木漏れ日が射す映画館のロビーでポスターを眺めた時、深淵を覗いた気がしました。

「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」のジョナサン・グレイザー監督がイギリスの作家マーティン・エイミスの小説を原案に手がけた作品で、2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門でグランプリ、第96回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞。ホロコーストや強制労働によりユダヤ人を中心に多くの人びとを死に至らしめたアウシュビッツ強制収容所の隣で平和な生活を送る一家の日々の営みを描く。

タイトルの「The Zone of Interest(関心領域)」は、第2次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランド・オシフィエンチム郊外にあるアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するために使った言葉で、映画の中では強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む収容所の所長とその家族の暮らしを描いていく。

カンヌ国際映画祭ではパルムドールに次ぐグランプリに輝き、第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞、音響賞の5部門にノミネートされ、国際長編映画賞と音響賞の2部門を受賞した。出演は「白いリボン」「ヒトラー暗殺、13分の誤算」のクリスティアン・フリーデル、主演作「落下の解剖学」が本作と同じ年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したサンドラ・ヒュラー。

映画.com
キノシネマ神戸国際にて



5.光る君へ

5/26の第21回「旅立ち」…!神回…!!

まひろ(紫式部)の家を訪れて、定子様のご懐妊と衰弱されている様子について相談する清少納言…からの、枕草子が綴られていくさま。そして定子様が床上げされて枕草子を読んでおられる様子。それを目にした清少納言の静かな慟哭。「たったひとりのかなしき中宮のために枕草子は…」のナレーション。この一連の6分ほどの映像は、神でした。
流れるような美しい手蹟。ひらひら落ちる桜の花びら。行き交う蛍のあかり、舞い散る紅葉の葉を幻視する。
寝込んでいる定子様の枕元に差し入れられる四季。定子様の声で読み上げられる枕草子の一節。
なんて美しく、素晴らしい演出なんでしょう。

というか毎回ほんとに心揺さぶられまくっていて。なかでもやっぱり中関白家(というか定子様と清少納言)推しです…!
特に第21回は、他の場面も、なんだか妙に胸に残りました。なんせ「なんて素敵にジャパネスク」で育った世代なので、「二条邸が火事」の場面は特に、子供の頃に「ジャパネスク」からイメージしていた光景が映像になった感覚で、胸がざわめくというか、本当に奇妙な心境でした。

炎の中の定子様。「生きて」と言ってくれるのが清少納言だけだった…という立場がかなしくて。貴子様も伊周のことばかりで。
ファーストサマーウイカさんも、高畑充希さんも、最高すぎました。

※6/1追記
毎週楽しみにしているぬえさんの「光る君へ」レビュー!今週も最高でした…!


6.虎に翼

毎日NHKプラスに感謝しながら生きています。仕事終わりの帰路、最新話を見る楽しみ…!

5月24日、本当に神回でした。“仲野太賀”という日本の宝の存在に感謝しました。素晴らしい。佐田優三という青年を生きている。魂を吹き込む役者の仕事って本当にすごい。

そして27日週が、もう!!!すべて神回でした。泣いて泣いて、救われて。
岡部たかしさんが本当に好きなので、「話がある」からの一連の流れ、本当に(この人じゃなきゃ…!)と思いました。最高でした。

31日の回。オープニングをラストに持ってくる演出、素晴らしかったです!痺れた…!!


7.星野源のオールナイトニッポン

それなりの期間、「星野源のオールナイトニッポン」のリスナーなので、信じていられました。誠実な人だと、声を聞けばわかるので。

源さんの声が揺れるたび、一緒に胸が痛くなったけど、まさかの新垣結衣さんが電話で登場されるサプライズ!本当に素敵なおふたりです。

「せっかくだからメールを募集する?」「いいんですか?(食い気味)」のやりとり、結衣さんの反応が良すぎて、あっこれはガチのリスナーだ…!と嬉しくなってしまいました。なんか嬉しい。

源さんが「これは答えなくていいよ」と気遣う一方、構わずぐいぐい答えちゃう結衣さんがめっちゃ面白い笑。
そして大量のメールを捌きながら、全方向に気遣いを発揮しながら結衣さんと談笑しつつ、パーソナリティとしての「笑いの提供」も繰り出す源さん、本当にすごいです。バランス感覚というか…尊敬します。

ラストのお便りメール。
いろんな人がいて。“楽しい2時間”を、みんなで作り上げていくラジオなんだなあ、と、改めて感じました。Spotify、何度も聴いてしまいます。神回です。


さいごに

6月以降の公開作品

ほくほくしてます。暑さは苦手だけど、これは夏の到来を楽しみにせざるを得ないですね!!

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