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2020年:私的映画TOP10

2020年に観た映画の中で、面白かった&印象に残った映画TOP10を決めたいと思います!

今年、映画館で観た映画は47作品。自粛期間もあり、なかなか映画館で観ることが難しかったので、見逃した作品も多く、悔しい一年でした。映画との出会いは“一期一会”ではありますが、いつか鑑賞できる機会がありますように。

2020年のNotion映画ノートはこちら。ログっていると、1年前の記憶も鮮明に蘇るのでよいですね!

47作品から10本を選ぶのは、なかなか至難の業でした。なんせ劇場に行くまでにも、相当に厳選しているので、基本”期待外れ”な作品はなくて。しかもものの見方だとか、自分のコンディションによっても「面白い映画」って変わってくるので、本来は選びようがないのですが、今回は「鑑賞から日数が経っていても、心に残る場面がどれだけあったか」を基準に選んでみました。

10位:パラサイト 半地下の家族

キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。(映画.comより)

韓国の映画産業の隆盛を実感しましたね。本当に“うまい”なと。クライマックスのスピード感は圧巻で、息を詰めて観ていました。
今年は結構Netflix漬けになっていて、韓国のホラー・サスペンス系作品をよく観ていたのですが、ほんっとに作品“巧み”だなあと思います。コンテンツを通して文化を輸出するってこういうことか、と実感します。

9位:侍の名のもとに

「侍ジャパン」の呼び名でおなじみの野球日本代表チームに密着したドキュメンタリー。2017年に製作・公開された「あの日、侍がいたグラウンド」に続く第2弾。17年7月31日に稲葉篤紀が野球日本代表トップチーム監督に就任してから、19年11月の「2019 WBSCプレミア12」で10年ぶりに日本が世界一に輝くまでの約800日間を、チーム専属カメラが記録。(映画.comより)

今作も、最高に熱くて泣けました。特に試合中の、ファームやベンチ裏での選手たちのやりとりに、グッとくる。
稲葉監督によるチーム編成からスタートするので、野球ファンじゃなくても、「理想のチームづくりとは」「リーダーはどう振る舞うべきか」といった組織論のヒントにもなると思うのです。

8位:フォードvsフェラーリ

ル・マンでの勝利を目指すフォード・モーター社から依頼を受けた、元レーサーのカーデザイナー、キャロル・シェルビーは、常勝チームのフェラーリ社に勝つため、フェラーリを超える新しい車の開発と優秀なドライバーの獲得を必要としていた。シェルビーは、破天荒なイギリス人レーサーのケン・マイルズに目をつけ、一部上層部からの反発を受けながらもマイルズをチームに引き入れる。限られた資金と時間の中、シェルビーとマイルズは力を合わせて数々の困難を乗り越えていくが……。(映画.comより)

音響が、やばかった!映画館で観てよかった映画です。震えるほどかっこよくて、鑑賞中に手が震えていたのは「シン・ゴジラ」以来。ケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)がテストサーキットに座って息子と夕焼け空を眺めているシーン、美しくて忘れられないです。
ル・マンで絶対王者フェラーリに挑んだフォードの実話を元にしたドラマですが、ベンチャーvs歴史ある大企業(組織に難あり)の構図、現代にも通じるところがあるなと思い、興味深かったです。

7位:ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ

父の死をきっかけに、何年も距離を置いていた故郷の凱里へ戻ったルオ・ホンウは、そこで幼なじみである白猫の死を思い起こす。そして同時に、ルオの心をずっと捉えて離れることのなった、ある女性のイメージが付きまとう。香港の有名女優と同じワン・チーウェンと名乗った彼女の面影を追い、ルオは現実と記憶と夢が交わるミステリアスな旅に出る。(映画.comより)

3Dメガネで観れなかったことだけが心残り。途中まで「やべー、全然わかんない」と思っていたのだけど笑、後半60分間の3Dのワンシークエンスショットは、未だに忘れられないです。色合い、カメラワーク、誰かの夢に入り込んだような不思議な感覚。
「1917」を観た時も感じましたが、“映画への没入感”を実現させる方法は、4DXやIMAX以外にもあるんだなあと思わせてくれました。
色合いがウォン・カーウァイ監督×クリストファー・ドイル撮影監督の作品を想起させて、そこも好きな要素です。これが2作目という衝撃…ビー・ガン監督の今後の活躍に期待大です。

6位:ジュディ 虹の彼方に

1968年。かつてミュージカル映画の大スターとしてハリウッドに君臨したジュディは、度重なる遅刻や無断欠勤によって映画出演のオファーが途絶え、巡業ショーで生計を立てる日々を送っていた。住む家もなく借金も膨らむばかりの彼女は、幼い娘や息子との幸せな生活のため、起死回生をかけてロンドン公演へと旅立つ。(映画.comより)

ミュージカル女優ジュディ・ガーランドが、47歳の若さで急逝する直前に行ったロンドン公演の日々。レネー・ゼルウィガーが本当に素晴らしかった、ショーの場面が圧巻でした。どのシーンも「歌手と客席の間に生まれる奇跡」の空気を感じたのが凄い。
クライマックス付近、近くの座席の年配の男性から、めちゃくちゃ鼻を啜る音が聞こえてきてわかる…泣くよな…!ってなってました。ドロシーファンか、ジュディファンなのかはわからないけど、温かい気持ちで泣けてるといいな…と思いました。「Over the Rainbow」は映画史に残る名場面。痺れました。映画館で”体感”できて、本当によかったです。

5位:さよならテレビ

潤沢な広告収入を背景に、情報や娯楽を提供し続けた民間放送。しかし、テレビがお茶の間の主役だった時代は過去のものとなり、テレビを持たない若者も珍しくなくなってしまった。マスメディアの頂点に君臨していたテレビが「マスゴミ」とまで揶揄されるようになったのは、市民社会が成熟したのか、それともテレビというメディア自体が凋落したのか。テレビの現場で何が起きているのかを探るため、自社の報道部にカメラを入れ、現場の生の姿を追っていく。(映画.comより)

東海テレビの劇場公開ドキュメンタリー第12弾。「人生フルーツ」や「眠る村」を観ていたので、本作も楽しみにしていました。
まるで劇薬のような映画。大好きな“ドキュメンタリー”を、今までのように無邪気に受け止められなくなる予感がしてPを一瞬恨んだけれど、何が“真実”なのかわからんだろ?と改めて突き付けてくれる素晴らしい映画でした、東海テレビのドキュメンタリー映画やっぱり大好き。発信側が観たら限りなくドキュメンタリー、純粋な受取側(視聴者)が観ればフィクションに捉えられる、面白い構造の作品だなと。“観せられているもの”に100%の真実は無いんだという自覚が必要だと再認識しました。

4位:ハニーランド 永遠の谷

北マケドニアの首都スコピエから20キロほど離れた、電気も水道もない谷で、目が不自由で寝たきりの老母と暮らす自然養蜂家の女性は、持続可能な生活と自然を守るため「半分は自分に、半分は蜂に」を信条に、養蜂を続けていた。そんな彼女が暮らす谷に突然やってきた見知らぬ家族や子どもたちとの交流、病気や自然破壊など、3年の歳月をかけた撮影を通して、人間と自然の存在の美しさや希望を描き出していく。(映画.comより)

「本当にドキュメンタリーなのか?」と、開始3分位で不思議な気分に陥った作品です。鑑賞中Netflixの「Roma」を思い出していました、まるでドキュメンタリー映画のようなリアルな手触りのフィクション。こちらはまるで、作られた映画のように見えるノンフィクション。「こんな撮り方が、本当にできるんだ」という衝撃は、いまだに余韻として残っています。まるで神の視点のようでした。誰もカメラの存在を気に留めず、ただただ人生を生きる。取り繕ったり誤魔化したりも何もしない。不思議な、奇跡のような映画でした。
蜜蜂とともに生きる女性の、凛とした姿。自然の美しさ。忘れられない作品です。

3位:タゴール・ソングス

非西欧圏で初めてノーベル文学賞を受賞したインドの詩人ラビンドラナート・タゴールが作り上げた作品の魅力に迫った音楽ドキュメンタリー。イギリス植民地時代のインドを生きたタゴールは、詩だけでなく2000曲以上の歌を作り、「タゴール・ソング」と総称されるその歌は100年以上の時を超え、今でもベンガルの人びとに愛されている。タゴールの歌はなぜベンガル人の心をひきつけてやまないのか。インド、バングラデシュを旅しながら、タゴール・ソングの魅力を掘り起こしていく。(映画.comより)

5月に「仮設の映画館」で、12月に元町映画館で鑑賞しました。映画館で観る(聴く)ことができて、本当によかった。
タゴールの歌で、詩(言葉)で、ベンガルの人々の心の中に、信念、情熱、魂というのか…とても大切なものが刻み込まれているのが、ものすごく羨ましく、尊いことだと思いました。
「歌」で伝えていくのが素晴らしい。哲学を哲学として伝えたら、あるいは詩や随筆だけだったら、これだけ多くの、学のあるなし関係なく広まっていないのでは。歌だったから、街にも村にも、貧富の差関係なく。親から子供へ。成長した子供から子供へ、伝わり続けるのだと思いました。
素晴らしい歌声に満ちた映画ですが、とりわけ、タゴールソングスの先生オミテーシュと、弟子のプリタの重なる歌声が美しくて。闇の中に浮かぶ、たゆたう煙と歌声。一生覚えていたい場面です。

2位:TENET

「ダークナイト」3部作や「インセプション」「インターステラー」など数々の話題作を送り出してきた鬼才クリストファー・ノーラン監督によるオリジナル脚本のアクションサスペンス超大作。「現在から未来に進む“時間のルール”から脱出する」というミッションを課せられた主人公が、第3次世界大戦に伴う人類滅亡の危機に立ち向かう姿を描く。(映画.comより)

めちゃくちゃ楽しみにしていました!そして期待をさらに上回ってくれる。3回観ましたが、初見は“わからなさ”が心地良くて最高なんて、ノーラン監督にしか無理な技じゃないかと思う。3回目はIMAXで観ました、近所にIMAXシアターがある人が本当に羨ましい!
ノーラン監督の作品は、“複雑かつ精緻な構造”、“美しくてまだ誰も観たことがない映像”、“人間のエモーショナルな機微”の3要素が、いつも完璧なバランスで織り込まれていて。もう、完璧としか言いようがないですね。同じ時代を生きていて、本当によかった。ノーラン監督作品はどれも本当に大好きですが、一番「エモい」作品だったと思います。
そして、“映画館”で最高の体験をさせてくれて、ノーラン監督には本当に感謝です。「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」を観た時にも感じましたが、この状況下で、人々を映画館へ向かわせてくれる作品の存在は、本当にありがたい。


1位:なぜ君は総理大臣になれないのか

2019年の国会で不正会計疑惑を質す姿が注目を集めた政治家の小川淳也を17年にわたり追いかけたドキュメンタリー。2003年、当時32歳で民主党から衆議院選挙に初出馬した小川は、その時は落選するも、05年の衆議院選挙において比例復活で初当選。09年に政権交代が起こると「日本の政治は変わる」と目を輝かせる。しかし、いかに気高い政治思想があろうとも、党利党益に貢献しないと出世はできないのが現実で、敗者復活の比例当選を繰り返していたことからも発言権が弱く、権力への欲望が足りない小川は、家族からも「政治家に向いていないのでは」と言われてしまう。17年の総選挙では希望の党に合流した前原誠司の側近として翻弄され、小池百合子代表への不信感から無所属での出馬も考えた小川だったが、前原や地元の盟友・玉木雄一郎への仁義というジレンマに悩まされ、背水の陣で総選挙にのぞむ。(映画.comより)

「TENET」と迷いましたが、この熱さとムーブメントはなかなか体感できるものじゃないなと。そして「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」と「はりぼて」と本作と、傑作揃いだった政治ドキュメンタリー3作品をまとめて、今年の最高傑作だと思っています(勝手にまとめてしまって申し訳ないのですが)。政治に対して関心がなかった私が、“政治って面白いな”と思い、我が事として考えはじめるきっかけになり、本を読んだり政治家の発信内容に目を向けるようになりました。そういう行動変容を齎してくれる作品は本当に貴重だと思うし、それほどのチカラがあった。
忘れられない場面がいくつもあります。カメラは残酷なほど“現実”を映し出す。2017年選挙の結果後の、会場の重たい空気。支援者や娘さんの涙。お父さんの悔しそうな表情。小川議員の背中。でもそこで終わりじゃないのが”現実”の素晴らしいところ。かつ、この映画の面白いところは、“その未来に、私達が関われる”っていうところだと思っています。「なぜ君は総理大臣になれたのか」が次回作になるといいですね。心から願います。
追記:12/28 22:30からの、小川議員と大島監督による舞台挨拶(生配信)を視聴しました。素晴らしかった!ひとつひとつの言葉が明瞭で、そして力をくれる。リーダーになってほしい人だなと、改めて感じました。
生配信はアーカイブ化されるそうです。ありがたい!

ランキング入りを迷ったのが「ジョジョ・ラビット」や「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」「フェアウェル」です。いずれも素晴らしい映画でした。

今年はタイミング的に、劇場での鑑賞を逃してしまった作品も多くて。
・「娘は戦場で生まれた」
・「シェイクスピアの庭」
・「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ」
・「はちどり」
・「WAVES」
・「プラド美術館 驚異のコレクション」
・「海辺の映画館-キネマの玉手箱」
・「イーディ、83歳 はじめての山登り」
・「彼らは生きていた」
・「ファヒム パリが見た奇跡」
・「スペシャルズ! ~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~」
・「マーティン・エデン」
・「おかえり ただいま」
・「異端の鳥」
・「82年生まれ、キム・ジヨン」
・「スパイの妻」
・「罪の声」
・「パピチャ 未来へのランウェイ」
・「おらおらでひとりいぐも」
・「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」
・「燃ゆる女の肖像」
めっちゃ見逃してます…配信では観れない映画もあるのかなと思うと、悔しいですね。本当に「観たい」と思ったときに、映画館に行かなければ。

配信で鑑賞した映画・ドラマ

一方、ステイホーム時間が増えたのと、本格的にNetflix派になったことも相まって、素晴らしい配信作品と出会えた一年でした。

映画だけじゃなく、配信で鑑賞した作品もNotionにログしておいてよかったです。いつか自分的ランキングをまとめたいと思います。

状況的に、劇場公開見送り→即配信となった作品もあったし、“映画並”なクオリティなドラマもありました。
自分としては、ドラマはどうしても「時間を割こう」と思うまでにハードルが高いのだけど、ステイホーム期間中にいくつかトライできてよかったです。
今年の配信モノNo.1はNetflixオリジナルのベルギー製作ドラマ「INTO THE NIGHT」。この設定、このクオリティ。映画館で観れたらたまらないだろうな。
韓国製ホラー/サスペンス系コンテンツにもハマりました。「キングダム」「Sweet Home ー俺と世界の絶望ー」「♯生きている」「The Witch」「THE CALL」は本当に面白かった!ゾンビ/モンスター系といえば韓国、というムーブメントが来そうですね。「28日後…」や「ドーン・オブ・ザ・デッド」「ワールド・ウォーZ」が好きなのですが、ゾンビ映画にはまだまだ可能性があるなあ。
今は「客ーTHE GUESTー」を観ています。面白い!
あとは「オールド・ガード」「アウトブレイク 感染拡大」はかなりハマったのと、「監視資本主義」は相当考えさせられました。


来年も、公開が楽しみな作品がたくさんあります!
・「シン・エヴァンゲリオン劇場版」
・「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」
・「新感染半島 ファイナル・ステージ」(原題「PENINSULA」)
・「さんかく窓の外側は夜」
・「ヤクザと家族 The Family」
・「劇場版 殺意の道程」
・「あの頃。」
・「キングスマン:ファースト・エージェント」
・「ホムンクルス」
・「いのちの停車場」
・「キャラクター」
・「ゴジラVSコング(仮)」
・「シン・ウルトラマン」
・「総理の夫」
・「The Best Is Yet To Come (英題)」
・「孤狼の血Ⅱ(仮)」
・「バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画をつくったら~」
・「TOVE(原題)」

“映画館で映画を観られる”ことが、どんなに幸せなのか。しみじみ実感した1年でした。
映画館を運営される方々、そして映画を生み出してくれるすべての方々に、感謝の気持ちでいっぱいです。
はやく、安心して映画館に通える日が、早く来ますように。それまで、細心の注意をめいっぱい払いながら、映画館にお邪魔しようと思います。

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