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【波紋】

最寄りの映画館、毎月1日は映画の日。
YouTubeで広告が流れてきた「波紋」を観に。

おもしろかった。
誰しもの中にある いや〜な部分や悲しみ、憎しみも、ほらね、あるでしょ?って見せられた感じ。でもクスリと笑えるので、観終わってもイヤな感じは残らない。

荻上直子は好きな映画「かもめ食堂」の監督。

主演の筒井真理子は失礼ながら、2時間ドラマで被害者の愛人で容疑がかかる役とか、連ドラでは看護師さんとか、バーのママとかやる人ねーというイメージ。

夫役の光石研は「バイプレーヤーズ」。変わった人も普通の人も上手。

好きな役者さん揃いなのも観に行った理由の一つ。

江口のりこは今や連ドラで主役をはれる人だけど、やっぱりこういう化粧っ気のない顔で眉毛ボーボーの得体の知れない女が よく似合う。

平岩紙、キムラ緑子も。
あぁ いるよね、こういう人。でもって そういう人って、そうゆう笑い方するよねーみたいな人たち。

安藤玉恵も絶妙。

えぇ!ここに!の柄本明。志村けんとの芸者コントが好きな私には贅沢な使い方。

ムロツヨシは、え?もしかしてこれムロツヨシ?(笑)

磯村勇人。「仮面ライダーゴースト」「ひよっこ」「今日から俺は!」の相良、「きのう何食べた?」のジルベール、と何やっても上手だし、シバ犬系男子が好きな私には見た目もヒットで好きな役者さん。

今回は主人公の息子役。あぁ、ちょっとカッコよすぎるよ磯村くん。なんかもうちょっと若くて線が細くて、世間知らずそうな人の方が良かったかなぁ。その方がもっと歳上の耳の聞こえない女性に(言い方は悪いけど)ひっかかる男に見えたかも。磯村くんはひっかからなそう。あぁ、ひっかかるって思ってる私もイジワルだ。

その息子の歳上の彼女を演じたのが津田絵理奈。失礼ながら知らなかったのだが、本人が生まれつきの難聴。この人が純粋かと思いきや、まぁー嫌な感じで良かった。ホントに憎らしくて(笑)お上手。

一番心がザワザワしたのが、木野花演じる清掃員のおばちゃん。プールに通ってて、主人公にも「運動するといいよ。」って推める。そのプールで着ている水着が絶妙(笑)どこで買うの?って思うんだけど、確かに市営とか区営のプールにいるおばちゃんたちは あぁいう水着を着ているのだ。そしてそれはプールの受付付近でセールで売られたりしているのだ。

プールのサウナで主人公に「復讐したっていいよ!私が許す!」なんとも豪快で愉快なシーン。でも実は おばちゃんにも秘密がある。

3.11からスタートするものがたり。
秘密が主人公に知られたとき、清掃員のおばちゃんは言う「あの日から止まったまんま。」

あぁ、昨年亡くなった母を思い出す。震災前は近所にお友だちもいて、民謡習いに行ったり、それなりに外出もしていた。震災後、あちこち避難して、そこでは友だちも作らず、出歩くこともほとんどなくなった。父や弟が一緒にいたから良かったけど、もしかしたら母一人だったら清掃員のおばちゃんみたいになっていたかも、、、もしかしたら私も、、、他にもこういう人いるんだろうな、、、

そんな風に感じながら、清掃員おばちゃんの家に干してあった水着が頭の中でグルグルする。

母が亡くなって、自分の家と実家も少し片付けたのだか、そのときの心情も思い出した。何に突き動かされているのかは分からない、何かに取り憑かれたように一心不乱に片付けた。今思えば、一緒に自分の心も片付けていたんだなと思う。

とまぁ、私個人としてはしんみりする場面も多かったが、笑える場面も多かった。

新興宗教の歌、歌詞がこれまた絶妙で、振り付けも?なんだけど、それを大真面目にやっているのも笑えてくるし、けどどこかで自分もこうなるんじゃないか、ってはっ!ともする。

「波紋」なので水もかかわる。

主人公が信仰している宗教の緑命水なる高価な水。夫には水道水。息子の彼女には一応 緑命水。息子は自分で水道水を注いで飲む。
初めの3.11後の場面でも、自分たちはペットボトルの水、寝たきりの舅には水道水。
この辺に誰しもある人間の嫌な部分を見せられる。自分で水道水を注ぐ息子は母から離れたくて離れていった。

あぁ、上手くまとまらない。
とりあえず まとめようとせず、ほぉっておいてみる。

3.11からの私、今の私で観て良かったなと感じる作品だった。

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