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分別って必要かな。環境にも人にもやさしい素材を開発し、日本の環境問題を私が変える。-Satone

MAKERS U-18にはどんな人が集まっているのでしょう?7期生、谷垣聡音さんに詳しく聞いてみましょう。

9期生エントリー受付終了!10期は2025年3月末開催予定。今冬情報解禁。
詳細はこちら▶https://u-18.makers-u.jp/

簡単に自己紹介をお願いします。

 谷垣聡音です。私が目指してる世の中のビジョンが人にも環境にもやさしい世の中を作るってことで、そのために研究開発をしてます。今進めているのが、お湯に溶けて食べられる生分解性素材の開発です。

お湯に溶ける素材って、どういうことですか?

 お湯をかけてゴミを食べることで、ゴミを減らせるんです。例えば、カップ麺のかやくの袋を開ける手間を省いて、より時短なカップ麺ができて、袋のゴミも出ないんです。他にも応用方法を増やしていけるように、かやくの袋以外にもカップをその素材で成形してみたりとか袋状に成型してその物性を調べたりなどの研究を進めています。

面白いですね。どうして開発しようと思ったんですか?

 海洋プラスチック問題にすごい問題意識を持って、海に流れるプラスチックを減らしたいと思った時に「食べちゃえばいいんじゃないか」って最初思ったんですよ。でも、さすがにプラスチックをそのまま食べるのは抵抗があるので、お湯に溶けるって性質を持たせることができればまだ食べやすいようにできるなと思って、お湯に溶けて食べられる生分解性素材の開発を思いつきました。

 正確にはプラスチックではなくて、素材的には食べられる素材しか使ってないので食べられるんです。

 私が特にやりたいのは、環境に優しいモノをつくるってのもそうなんですけど、環境に優しくても使いづらいとか経済面でコストがかかるとか、使う人や社会に優しくなかったら持続可能じゃないというかサステナブルじゃないと思っているので、人にも環境にも優しいっていうところにアプローチしたくて。食べられるっていう性質を持たせることができれば人にも優しいというかメリットがあるので、ただお湯をかけるだけでカップ麺が出来上がるとか時短になりますみたいなところで開発を進めてます。

 今は、お菓子を梱包してお湯をかけてみたりって実験をしてみたんですけど、それだとまだ袋状だと熱が伝わりづらくて溶け残りが起こっちゃうってことがあって、より溶解性を上げるために実験してみたりしてます。

プラスチック問題にはいつ頃から問題意識を持っていたんですか?

 中学2年生の時に亀の鼻にプラスチックのストローが刺さって血を流している映像を見て、私達が普段何気なく使ってるストローというものが動物たちを傷つけているっていうのに気づいて、ものすごくショックを受けて。まだその時は「これからみんなで解決していかないといけない課題だよね」って認識だったんです。でも、グレタさんなどの若者が世の中に環境問題について訴えているニュースを見て、私も世の中を変えていくためには何か行動を起こさなきゃ、誰も何も行動を起こさなかったら世の中は変わらないから、私もやろうと思ったのがきっかけです。

 動物が好きっていうのもあって、その動物が傷つけられているのを見て、ものすごくショックを受けたんですね。だから違うニュースを見てたら、もしかしたらそっちへにすごい興味を持って取り組んでたかもしれないんですけど、特にその時は体調崩してて感受性が特に豊かだったというかセンシティブな感じになっていたので、ちょうどその時にそのニュースを見て、すごいショックを受けたっていうのが大きかったと思います。

生分解性プラスチックに着目したのはどうしてですか?

 今の研究テーマを始めたのは高校2年生の時なんですけど、その前に身近な素材から生分解性プラスチックを作ってみようと思ったんですよ。その時、牛乳から生分解性プラスチックが作れるっていうのを知って、それをやってみて、牛乳から作れるなら豆乳からも作れるんじゃないかっていう研究を高1の頃はやってたりしてました。なので、プラスチック問題に関する研究を始めたのは高1からっていうことになります。

 生分解性プラスチックって一般的なプラスチックと比べて汎用性が低かったりコストが高かったりして、中々導入が進んでないっていう問題があって、ある市場だけとかある領域だけでもいいから、プラスチックよりも圧倒的に優れた性質とかプラスチックにはない性質を持った素材を開発したいなって思いました。

研究を進めていく中で難しかったことはありますか?

 最初はやっぱり研究の進め方を全然知らなくて誰も教えてくれない状況だったので、力ずくで進めてきた感がすごいあるんですよ。今でもそれに近いと思うんですけど。知らないことで苦労したことはありましたね。たとえば、特許とか権利の話とかになった時に私全然知らなかったので、詳しい話も結構ベラベラ喋っちゃってたんですよ(笑)。後でそういう権利のことを教えてもらってやばいってなって。そういう進め方っていうのはすごい難しかったなって思ってます。今でもできてないんですけど(笑)。

 あとは、高校の中のプログラムで研究をできるんですけど、その後も続けてる人はなかなかいなくて。もっと世の中に実装していくためにアプローチをしてるって人もあまりいないので、友達からは珍しい人っていうか不思議な人、変な人って思われてると思います。最初は化学室で研究する時間をもらったのでそこでやってたんですけど、途中でそのプログラムが終わって、他のみんなはそこで研究を終わりにするんですけど、私はもっと研究を続けたいと思って、色々な研究者の方や会社、大学に場所貸してくれませんかってアプローチをすごくやって、そこに時間かかったんですけど、今は元筑波大学の先生のご縁で企業で研究させていただいます。

今後の目標はありますか?

 私達が普段生活してるときって、ゴミがたくさん家庭から出て、色々な種類に分別してると思うんですよ。でもその分別って本当に必要なのかなって。プラスチックも分けてると思うんですけどちゃんと全部リサイクルされてるのかなって。完璧に上手く回ってはいないと思うんですよ。プラスチックゴミを減らすとか環境負荷を減らすって、もっといいアプローチがあるんじゃないかって思います。

 そこで、適材適所な新しい素材を開発し、社会実装することで便利だからという理由で当たり前のように何気なくやっていた行動が実は環境への配慮につながっていたみたいなことを実現したいです。その積み重ねで、人にも環境にも優しい世の中を実現できるのではと考えています。特に今は、お客さんが片付けするような飲食店に注目しています。例えばチェーン店とかフードコートとかカフェとかでストローが紙ストローに置き換わってるけど、その紙ストローは使いづらくて評判が悪かったりして、あと、プラスチックのカップを飲み残しはこっちで、このゴミはこっちことか、分別が面倒くさかったりすると思うんですよ。それをもっと変えて、飲食店のプラスチックゴミ問題を解決したいというかそこに革命を起こしたいって今思ってます。 もしかしたら今進めている生分解性素材とはまた別のアプローチの仕方をとるかもしれないんですけど、研究開発を進めて社会実装していくのが中長期的な目標なんですけど、もっと長期的な目標でいうと、科学技術を通して世の中を変えていきたいっていうのが一番の目標です。

 家庭ゴミとかも日本ではすごい細かく分別してると思うんですけど、それって本当に必要なのかなっていう。プラスチックなら綺麗に洗って分けてってなってると思うんですけど、それがちゃんとリサイクルされてるのかなって。でも日本人って真面目な人が多いから言われた通りすごい綺麗に分けてると思うんですけど、例えばフランスとかではもっとざっくり分別してるんですよ。それでも日本はヨーロッパよりも環境への意識が低いって言われてるじゃないですか。でもそんなことはないと思うんですよ。みんな言われたことはきっちり守って分別してたりとかストローを紙ストローになっても我慢して使ったりとか、環境への配慮ってヨーロッパに比べて低いわけじゃないと思うんですよ。それがまだシステムに入ってないというか、うまく相乗効果が起こってないから日本は環境への配慮が低いって言われちゃってると思ってて、そこを変えていきたいなって思ってます。

<編集後記>

谷垣さんの想いや理想、そこから湧き出る行動や挑戦、いかがでしたか?
引き続き、応援してます!

[取材日]2022/11/26
© 2022 Satone Tanigaki&ETIC. All Rights Reserved.

<最後に>

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今後とも、応援よろしくお願いいたします。

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